iOS/Android:AR(拡張現実)と呼ばれるスマートフォンの新しい機能が話題です。これについては2つ、思っていることがあります。ARを使ったほとんどのアプリやゲームは、見掛け倒しで終わるだろうということ。
もう1つは、誰かが最高のメジャーアプリを早く作ってくれないかなということです。テープメジャーの置き場所をよく忘れてしまいますので。
iPhone 8 PlusとPixel 2で試してみた
AppleとGoogleは、それぞれiOSとAndroid向けのメジャーアプリをリリースしています。ApplのメジャーアプリはiOS 12パブリックベータ版で、GoogleのアプリはARCoreに対応したすべてのデバイスで使用できます。
もちろん、多くの人はスマホを一台しか持っていないので、選択の余地はないでしょうが、AppleとGoogleどちらのアプリが優れているのか、気になるのではと思います。
私はiPhone 8 PlusとPixel 2の両方を持っていたので、家の中を歩き回って、どちらが正確に計測できるのかを確かめてみることにしました。
まだテープメジャーをお払い箱にするつもりはありませんが、アプリで物の大きさが測れたら結構便利です。だいたいの大きさがわかるだけでも助けになります。
ラウンド1:飲み物のグラス
ものを書く仕事をする人なら誰でも、デスクに飲み物のグラスが置いてあるはずです。
この記事では、それぞれのアプリが、物の大きさを測るためにARCoreやARKitをどのように使っているのか、細かく解説するつもりはありません。それよりも、計測テストの結果をシンプルにお伝えしたいと思います。

Appleのメジャーアプリ:3.5 インチ

Googleのメジャーアプリ:3.5 インチ

実寸:3.5インチ!
悪くない結果です! AppleもGoogleもグラスの高さを正確に計測しました。グラスの表面反射や透明度のせいでうまく測れないのではと心配しましたが、どちらのアプリもきっちりと仕事をしてくれました。
ラウンド2:テープメジャー
テープメジャーを正確に測れないようでは問題です。さて、結果は?

Appleのメジャーアプリ:5 インチ

Googleのメジャーアプリ:5 インチ
また同点です! いまのところ、AppleもGoogleもとてもうまくやっています。
ラウンド3:ブタのぬいぐるみ
『モアナと伝説の海』に出てくる愛くるしいブタ「プア」の大きさを測る機会がどれほどあるのかわかりませんが、知っておいても損はありませんね。
今回は、プアの長さと高さを測ってみました(横幅はやめておきます。プアはそのあたりは神経質みたいなので)。

Appleのメジャーアプリ:10.5 インチ(鼻からお尻までの長さ)

Googleのメジャーアプリ:11.5 インチ(鼻からお尻までの長さ)

実寸:10 インチ(鼻からお尻までの長さ)

Appleのメジャーアプリ:8.5 インチ(高さ)

Googleのメジャーアプリ:8 インチ(高さ)

実寸:8 インチ(高さ)
長さについては、Googleのアプリはかなり水増ししてしまったようです。
一方、高さは、Googleがぴったりの数字を出したのに対し、Appleは少し高めに見積もりました。
とはいえ、今回はAppleに軍配を挙げたいと思います。単純に、0.5インチのほうが1.5インチよりも誤差が少ないからです。
ラウンド4:バスルームの鏡
このラウンドは少し不公平かもしれません。
私は最初から、ARCoreが平面を検出するやり方では、壁にかかった鏡をうまく読み取れないのでは?と疑っていましたので。
Appleは鏡を検出できたという理由でこのラウンドの勝者となりましたが、果たしてその正確性は?

Appleのメジャーアプリ:27.5 インチ

Googleのメジャーアプリ:0 インチ(鏡の前でスマホを振って、鏡を認識させる努力はしました)

実寸:29 インチ
Appleのメジャーアプリも正確とはいきませんでしたが、1.5インチの誤差は全体のわずか5%です。
だいたいのサイズを知りたいだけなら十分な結果です。私自身は、インテリアの配置を決めるときにこのアプリに頼りたいとは思いませんが、およその大きさがわかればいいときには便利です。
ラウンド5:私の等身大写真
何も聞かないでください。いや、教えましょう。この写真は、私が史上最高のミュージカルの1つ「Forever Plaid」に出演したときにロビーにぶら下がっていたものです。
写真を壁ではなく床に置いているのは、等身大の自分に見つめられると気味が悪くなるからです。

Appleのメジャーアプリによれば、私は横幅 25インチ、高さ 32インチだそうです。

Googleは、横幅 26インチ。

高さ 28インチと計測しました。

実寸は…。横幅 24インチ。

高さ 30インチです。
どちらのアプリも実寸から誤差2インチ以内に収めてきました。
Appleのほうが水平方向の計測が少し正確です。
やはり、どちらのアプリもだいたいの大きさを測るのには十分ですが、レイアウトのために正確なサイズを測りたい場合は少し頼りない感じです。
ラウンド6:バナナ
計測作業をしていたら少しお腹がすいてきました。

Appleのメジャーアプリ:7 インチ

Googleのメジャーアプリ:7.5 インチ

実寸:7インチ
結局は食べてしまうバナナの0.5インチの誤差など気にはなりませんが、Appleのほうが正確な数値を報告しました。
追記(6/30):コメント欄で指摘があったように、Googleのアプリが計測しているエンドポイントは、Appleのアプリが計測しているエンドポイントよりほんの少し外側にあります。0.5インチの違いの原因はこれだと言われれば納得ですが、バナナの実寸は7.5インチよりも7インチに近いので、やはりAppleを勝者としたいと思います。
とはいえ、誤差はわずか0.5インチです。両者とも実寸とほとんど変わらない計測値を報告しています。私としては十分に満足行く結果です。
ラウンド 7:靴箱
私のアドバイスを無視して、収める場所が決まっている家具のサイズを測るのに、スマートフォンを使うのだと言い張るなら、どちらのアプリがより正確かくらいは押さえておきましょう。

Appleのメジャーアプリ:横幅49インチ、高さ23インチ。

Googleのメジャーアプリ:横幅50インチ。

高さ23インチ。

実寸:横幅47インチ。

高さ22インチ。
どちらのアプリも正確とは言えない結果です。Appleは横幅を2インチ、高さを1インチ余計に見積もり、Googleは横幅を3インチ、高さを1インチ余計に見積もりました。
今回の計測で、メジャーアプリを正しく使うことの重要性を実感しました。最初にこの靴箱を測ろうとしたとき、Appleのアプリは高さを48インチあると報告してきました。いくらなんでも高すぎます。
と思ったら、どうやら私がスマホを不適切な角度で向けていたようで、靴箱の正面からまっすぐ向けると、計測値ははるかに正確になりました(それでも完璧ではありませんが)。
勝者:Appleのメジャーアプリ
Appleのメジャーアプリのほうが、Googleのメジャーアプリよりも、基本的に優れているようです。
計測の正確性もさることながら、使い勝手の良さも重要なポイントです。Appleのアプリはスマートフォンを少し動かすだけで、すぐに「平面」を認識してくれるし、操作も簡単です。
測りたい対象物にスマホを向けて画面をタップしたら、マーカーが対象物の端点に来るまでスマホを動かし、またタップするだけです。Googleのアプリは、マーカーをドラッグする必要があり、計測作業にかなり時間がかかりました。
また、Appleのアプリは、マーカーを物体の端や角に自動的にスナップしてくれる点でも、Googleより優れていると感じます。
とはいえ、両アプリとも、今後多くの改善が行われると思うので、来年にはどうなっているかを楽しみにしましょう。
おわかりのように、メジャーアプリはARの完璧な実用例だと言えます。スマートフォンを持っている人なら誰もが日常的に使うようになると思われます。
少なくとも私自身にとっては、バスルームで恐竜が吠えてくるアプリや、リアルでも遊んでいるボードゲームのAR版なんかより、メジャーアプリのほうが明らかに使い物になります。
Image: Lifehacker US
David Murphy - Lifehacker US[原文]