空の旅を心から楽しめない理由はいくらでもあります。
チケット代、窮屈さ、B席に座っている迷惑な乗客、などなど。けれども、フライトアテンダントのほうがもっとひどい目に遭っているかもしれないということを忘れてはいけません。しかも、それが彼らの仕事なので、文句を言うわけにもいきません。
つまり、飛行機に乗るときには、フライトアテンダントのことを思いやることが大切なのです。
とくに、機内でよくある迷惑行為の原因になっているのが、「コール(呼び出し)ボタン」のようです。
先日も、フロリダからテキサスへ向かう短いフライトで、アテンダントがPAシステムでこんなアナウンスをしていました。
「先ほどコールボタンを押したお客さまがいらっしゃいます。緊急のご用件でなければ、呼び出しをお取り消しくださいますよう、お願い申し上げます。飛行機はまだ、フライトアテンダントが機内を歩いても安全な高度に達しておりません」。
フライトアテンダントも、乗客と同じぐらい乱気流の影響を受けるのです。
コールボタン関連のエチケットについて取り上げた、「The Points Guy」の記事には、飛行機に乗っていて、ミニチュアボトルのワインが欲しくてたまらなくなったときに思い出すべき基本ルールがいくつか紹介されています。
コールボタンを押してよいとき、悪いときどっち?
■緊急の場合:OK
たとえば、心停止が起きたとき。陣痛が始まったとき。あなただけに見えるモンスターが翼の上にいて、エンジンにちょっかいを出しているとき。このような場合は、コールボタンを押してください。
フライトアテンダント協会(AFA)でインターナショナルプレジデントを務めるSara Nelson氏は、The Points Guyに対して、「コールボタンは本来、緊急時のためのものです」と述べています。
ただし、乗客が自分の座席で緊急事態に見舞われることはめったにありません。
あるとすれば、飛行機が降下しているようなときだけ。
そのような場合は、ボタンを押すのではなく、酸素マスクを装着してください。フライトアテンダントも緊急事態に気づいているはずですから。
■自分の居場所を教えたいとき:OK
フライトアテンダントが乗客の誰かを探して、PAシステムでアナウンスを行うケースがあります。
その「誰か」は、飛行機から降りるときに補助が必要な乗客かもしれませんし、迷子の子どもかもしれません。あるいは、ほかでもない「あなた」かもしれません。
コールボタンはこのような場合のためのものでもあると、Nelson氏は言います。
つまりこのボタンは、満員の飛行機の中で自分の居場所をフライトアテンダントに簡単に教えられる手段なのです。コールボタンを押せば、狂ったようにわめき散らす必要はありません。まさに理想的な使い方です。
■身動きがとれないとき:OK
窓側の席に座っているのだが、隣にいる人が眠り込んでいるせいで、通路に出られないとき。
赤ちゃんを抱っこしていて、狭い機内を自由に動き回れないとき。
このような場合も、コールボタンを押して助けを求めてかまわないでしょう。フライトアテンダントにとっても、子ども(や大人)に泣きわめかれるより、そのほうが良いでしょうから。
そういえば、子連れの場合は、子どもがコールボタンで遊ばないように気をつけましょう。「かわいい」では済まされません。
■早く飲み物がほしいとき:NG
著述家でエチケットアドバイザーのDiane Gottsman氏は、ブザーを鳴らす前に、こう自分に問いかけるようにすすめています。
「これは自分でどうにかできることなのか? それとも助けが必要なのか? この問いがリトマス試験紙です」
「乗客の空の旅を快適なものにするのがフライトアテンダントの仕事ではありますが、彼らが従事しているのはサービス業ではありません。フライトアテンダントはウェイターではないのです」とGottsman氏は語ります。
「コールボタンは、本当に助けが必要なときのためのものです。のどが渇いているのに、ドリンクカートがまだ来ない…そんなときは、じっと我慢して待ちましょう」
これは興味をそそるトピックです。
私はこれまでに何度も、フライトアテンダントがなるべくたくさんのドリンクを売ろうと必死になっている飛行機に乗ってきました。このようなケースなら、ちょっとくらいブザーを鳴らしても歓迎されるかもしれません。
ですが、基本サービスで供される飲み物の場合、カートがすぐそこまで来ているのであれば、コールボタンを押しても、すぐに自分のところに来てはくれません。水を出したり、ゴミを回収したりといったサービスの提供が必要なことは、フライトアテンダントもよくわかっています。
待っていれば、あなたのところにも適度な間隔で来てくれるはずです。
フライトの主要目的は、乗客を目的地まで運ぶことだという点をお忘れなく。
5つ星の食事とサービスをお望みなら、それにふさわしいお金をニューヨークの高級レストラン「パ・セ」などで使いましょう。
Image: LASZLO ILYES / Flickr
Source: The Points Guy
Aimée Lutkin - Lifehacker US[原文]