どんな種類のエクササイズをするときも、背後でインストラクターやコーチが「お腹の芯を引き締めて」と言うことがよくあります。

しかし、それは実際にはどういう動きなのでしょうか。

「お腹の芯を引き締める」には2つの方法があり、それぞれが相反する結果になります。

フィットネスの目標を達成するためには、どちらの方法を選ぶべきか理解することが重要です。

お腹の芯を引き締める方法は2つある

1.おへそを背骨に向かって引っ込める

これは、ピラティス経験者や理学療法を受けたことがある人なら馴染みがあるかもしれません。

おへそを背骨に向かって引っ込めたり、お腹の筋肉を「くぼませる」または「引き込む」ようにします

この動きは呼吸をしながらしても構いません。胃をへこませるのではなくて、筋肉でお腹を締めるのです(鏡で見るとウエストが細く見えることに気づくでしょう。

写真を撮るときのポーズや、ダンサーがパフォーマンスをするとき身体を細く見せようとしてすることがあります)。

多くの理学療法、ヨガ、ピラティスのクラスでこれがよく行われている理由は、あまり知られていない腹横筋の1つである腹横筋を活性化するためです。

1999年の研究では、腰痛のある人は体を動かしているときにこの筋肉をあまり収縮させないことがわかったので、理学療法士は、患者が背中を緊張から保護できるようにこの筋肉を収縮させるように指示し始めました。

残念ながら、この動きは実際には背中を保護する効果はあまり無いことが判明しましたが、それでもよくされるアドバイスです。

このやり方でヨガやピラティスの動きをしている人はたくさんいます。だからと言って、この動きをする必要があるわけではありません。

2.腹筋を収縮させて腹壁全体を硬くする(ブレーシング)

次は、重い物を持ち上げるときや、瞬間的に強い力を受け止める準備をしているときにする動きです。

まず、ブレーシングする(腹筋を収縮させて腹壁全体を固くする)必要があります (ブレーシングは、理学療法の「腹部をくぼませる動き」に代わるものですが、詳しくは自分のパーソナルトレーナーに相談してください)。

重い物を持ち上げるときのブレーシングは、お腹にパンチを受けそうなときの身構え方と似ています。

今すぐ次の動きを試してみてください。

呼吸を止め、腹筋を収縮させます。ウエストの周りの筋肉が収縮する感じです。肋骨を骨盤に向かって引っ張るような感じかもしれません。

これにより、腹横筋が他のすべての腹筋とともに活性化されます(便意を我慢しているような感じがするなら、うまくできている証拠です)。

これは、パワーリフターや他のウェイトリフターがウエイトを持ち上げるために体勢を整えるときの動きと同じです。

ベルトを着用していると、ブレーシングによってウエスト周りの筋肉がベルトに押し付けられます(正面の筋肉だけでなく、ウエスト周りの筋肉全体です)。

このプロセスにより、胴体はしっかりと安定した加圧された柱に変わり、(スクワットをするときのように)大きな重量を支えることができます

または、別の方向に力を加えてもぐらつかずに位置を一定に保てます(デッドリフトをするときがこれに該当します。胴体が、背中、力がかかる脚の筋肉、および腕を一体となり、手で持つバーベルを支えています)。

ブレーシングの注意点

このプロセスには、通常、呼吸を止めてバルサルバ法で筋肉を固定することが含まれます。たとえば、妊娠中や特定の病状があるなど、場合によっては、医師から力んだ状態で息を止めないようアドバイスされることがあります。

それでも、できる範囲でブレーシングすることはできます。バーベルを持ち上げている間は息を止めずに、ゆっくりと息を吐きましょう(健康上の懸念がある場合は、やってもいいかどうか医療従事者に相談してください)。

ジムでウエイトトレーニングをするときは、ここでご紹介した「お腹の芯を引き締める」2つの方法の違いを思い出してください。

そして、お腹をくぼませたり、おへそを背骨に引き寄せたりしないでください。

それは、期待する効果とは真逆の効果になるからです。その動きはピラティスのクラスのためにとっておきましょう。バーベルを使っているときは、しっかりブレーシングしてください。


Source: Wikipedia, Pubmed, New York Times, NCBI