この1年ぐらい、ささいなことに過剰に感情的な反応をしてしまう人が増えています。
このような状況に陥っている原因は、新型コロナのパンデミック、人種差別や暴力、経済的/財務的不安などの大きな脅威から日々のありふれた煩わしいことまで。
そんなの対処法の1つは、「エモーショナル・アジリティ(感情の敏捷性)」を強化することです。
具体的にはどうすればいいのでしょうか。
「エモーショナル・アジリティ」とは?
「エモーショナル・アジリティ(感情の敏捷性)」という言葉は、2013年にリーダーシップコーチのSusan David博士とChristina Congleton氏がハーバードビジネスレビューの記事で初めて使った造語です。
基本的に、「エモーショナル・アジリティ」は、その名の通り、複雑さや変化に直面したとき生じる問題や感情を考えるために必要な能力とスキルがあること。
David博士がArmchair Expertポッドキャストの最近のエピソードで説明しているように、不確実な時代に「エモーショナル・アジリティ」を向上させるためには、3つの重要なスキルを実践する必要があります。
そのスキルとは、「受容」「思いやり」「好奇心」です。
ウォール街とシリコンバレーでエグゼクティブを務めたことがあり、現在はマインドフルネスのコンサルタントの仕事をしているVanessa Loder氏が、この重要なスキルを向上させる方法を次のように説明しています。
1.受容
MindBodyGreenの記事でLoder氏は、「エモーショナル・アジリティ」は、自分自身と感情を切り離して考えることから始まると語っています。
自分の考えや感情にとらわれずに受け入れる最も効果的な方法は、考えや感情にラベル付けすることです。
「私は悲しい」と言うと、あなたは悲しみと融合して、悲しみの感情はあなたのアイデンティティになり、あなた自身が灰色の悲しみの雲になってしまいます。
一方、「私は自分が悲しみを感じていることに気づいている」と言うと、あなたは自分の感情の観察者になり、灰色の悲しみの雲がただ通り過ぎていくだけの「空」になります。
2.思いやり
自分の感情を特定したら、次は思いやりをもってその感情にアプローチしましょう。Loder氏は次のように書いています。
自分の感情に正確にラベル付けすると、その感情の原因や、その感情に関連してできることを、理解しやすくなります。
ストレスの根底に孤独感がある場合は、誰かとより親密になったり他人とのつながることを求めているかもしれないので、友人に電話をするなど、いろいろな人たちと連絡を取ることが重要です。
一方、ストレスの背後に失望感があるなら、言いにくいことを上司と話し合ったり、誰かに失望を示す時期かもしれません。
3.好奇心
自分の感情が、なぜそういう反応をするのか知りたいと思いましょう。
処理しにくい感情を抱いてしまったときは、「今、この感情は、何が私にとって重要だと伝えようとしているのか?」と自問することをLoder氏は提唱して、次のように説明しています。
あなたの感情が、「君は上司や同僚に対して腹を立てているのだよ」と言っていても、上司に文句を言え、とか、怒りを抑えて幸せそうな顔をしろ、ということではありません。
David氏が言うように、「感情はデータであって、指示ではありません」。
むしろ、キャリアや生活を自分の望む形に近づけていくには何が必要か自問しましょう。
その感情が、自分をどのような価値に向かわせているのか知りたいと思いましょう。それが感情の力です。
感情は、自分の内面の深いところにある真実に導く道しるべです。
もちろん、このような戦略が効果を発揮するにはある程度時間がかかりますし、実践を重ねる必要があります。
あらゆることに対して一般的な喜怒哀楽の感情で反応し、気持ちが高ぶるに任せる方が楽に見えますが、それでは、さらにストレスが増すだけです。
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Image: Getty Images
Source: HBR, Armchairexpert, MindBodyGreen
Elizabeth Yuko – Lifehacker US[原文]