お菓子売り場で駄々をこねる子ども。それを根気強くさとす親。スーパーで日常的に見かける光景です。
虫歯のリスク、バランスのとれた食生活、夕飯のタイミングなど、お菓子による悪影響をあれこれと並べ立てて説得しようとする親がほとんどでしょう。
でも、口を出さないほうが効果的なこともあるんです。
子どもは世界について学ばなければなりません。彼らは大人からの温かい共感を受けることで、力強く育ちます。そのためにも、子どもの視点を尊重したしつけが必要です。
しつけといっても、単純な制約や家庭での約束事を説明するのに、1時間のプレゼンをする必要はありません。
何度言っても片付けない娘が快く動いた方法
私がそれに気づいたのは、玄関に放置された娘のリュックにつまづいて転びそうになったときでした。
長い仕事を終え、疲れ果てて帰宅した夜のことです。これでもう、同じ目に遭うのは何度目だろう。そう思ったら、腹の底から怒りがこみ上げてきました。
家に帰ったらリュックをかけるようにって何度も言ったでしょ! そのために、わざわざキャビネットを買ってリュック置き場にしたんじゃない。子どもたちそれぞれの専用フックまで取り付けたんじゃない。それだけのかんたんな習慣を、あなたたちはいつになったら身につけてくれるの?
いや、怒鳴ってもしかたない。私は1つ、深呼吸をしました。
うちの子たちのなかでも特にアヴァは、いくら叱責しても逆効果であることは経験上わかっています。間違いを正そうとするほど動かなくなり、かえって時間がかかるのです。
付箋にリュックの気持ちで希望を書いてみた
ふと思いつき、近くにあった付箋を取ってこう書き記しました。
アヴァちゃん、わたしは床に寝るのは好きではないんだ。だから、壁にかけてほしいな。
あなたのリュックより。
それをリュックの上に貼っておいたのです。
1時間後、片手に付箋のメモ、片手にリュックを持ったアヴァがキッチンに駆け込んできました。驚いたのはそのときの彼女の表情。なんと、笑みをたたえていたのです。
ママ、見て見て! 笑っちゃうでしょ。リュックが文字を書くなんて!
アヴァは、メモを私に渡すと去っていきました。私があとを追うと、アヴァは文句ひとつ言わずに、決められた場所にリュックをかけていきました。
文章でコミュニケーションをとろう
これがブレークスルーとなり、我が家には新時代が訪れました。
制限や矯正が必要なときは、できるだけ文章でコミュニケーションを取ることにしたのです。そうすることで、子どもとのやり取りから感情を取り除くことができます。
我が子らの場合、きつい言葉は偏桃体を刺激するようです。
偏桃体は、感情や闘争逃走反応を司る脳の部位。一方で、文字は前頭前皮質にアピールするようです。前頭前野は、合理化、問題解決、クリティカルシンキングなどを司る脳の部位です。
今では、毎日のスケジュール、家事のお手伝い表、スクリーン時間の制限などをキッチンの壁に貼っています。
これには副次的な効果があって、祖父母やその他の保育者に対して、我が家のルールを知ってもらうことができます。そのため、夫も私も不在で誰かに助けてもらうときでも、子どもたちは嘘をつけないのです。
言葉を使うときは短く言うのがコツ
もちろん、言葉が必要なときはあります。ただ、そのようなときでも私はできるだけ短く伝えるように心がけています。
食べたお皿がそのままだったら、それを指さしながら、笑顔で「お皿」と言います。あるいは、腕時計を叩きながら「宿題の時間だよ」という具合です。
子どもの成績が悪いときやあまりにもひどい行動をしたとき、私は「近所を一回りするくらいの時間で話をしよう」と約束するでしょう。
そうすることで、私は効率的に話さなければならないし、子どもが私を無視する可能性も下がるはず(長い講釈はあきられるのが常です)。
とはいえ、口を出したくなる気持ちをこらえるにはかなりの自制心が必要です。また、メモやできるだけ少ない言葉で言いたいことを伝えるには、クリエイティビティも必要です。
でも、試してみればわかるはず。親が口を出さなければ、子どもは口答えをしません。疲れ知らずの5歳児でも、議論好きな高校生だろうと、みんな穏やかな家を好むでしょう。
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Image: PAKULA PIOTR / Shutterstock.com
Katherine Reynolds Lewis - Lifehacker US[原文]