一日を効果的にスケジュールする方法を探している?
それなら、タイムブロッキングを試してみてください。
何カ月か前に、Cal Newport氏が書いたタイムブロッキングに関するすばらしい記事を見つけました。タイムブロッキングとは、特定の時間枠に特定のタスクを割り当てることで、一日を最大限に活用する生産性ハックです。
このメソッドは、パーキンソンの法則(仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する)をその基礎としています。
そんなに厳密にタスクをスケジュールするのは違和感を感じる、という人もいるかもしれません。しかし、もしあなたがいつも仕事の積み残しに苦しみ、締め切りに追われているようなら、ぜひタイムブロッキングを試してみてください。
きっと、先延ばしや注意力散漫、マルチタスキングといった非生産的行為を遠ざける助けになるはずです。
Newport氏はいつも、一日の終わりに15〜20分の時間をとって、次の日の「タイムブロック」をプランしているそうです。
そうすることで、「しかるべきプロジェクトが締め切りに間に合うしかるべきペースで着実に進行していることを確かめる」ことができるのだとか。同氏は、「タイムブロックされた40時間の労働は、そうでない60時間の労働に匹敵するように感じる」と言っています。
生産性が50%も向上するかもしれない(とくに困難なタスクにおいて)と聞けば、このハックを試す誘惑に抗うことは困難です。
1. プランニングに時間を割く
タイムブロッキングを試したくなったら、まず最初に少し時間をかけて、一週間でどんなタスクを達成するかを決めてください。
どうしてもやるべき最重要のタスク3〜5つと、必ずしも重要ではないが、やっておきたいタスクをいくつか書き出してみます(この作業には意思決定アプリが便利)。
次に、たとえば業務時間を標準的な8時間に設定しているなら、その8時間をさまざまなサイズのチャンク(かたまり)に分割し、それぞれのチャンクに特定のタスク(またはタスクセット)を割り当てていきましょう。この作業にはGoogleカレンダーを使うと便利ですが、紙のカレンダーでもかまいません。
下の図は、私が数日前にプランしたタイムブロッキングの実例です(1日分だけ)。もちろん、もっと細かく分割してもかまいません。やると決めたタスクをすべて、無理なく達成できるように、一週間に割り振っていきます。

9:00-11:00:記事執筆のためのリサーチ
11:00-11:30:メールの処理(こうした受動的なタスクもスケジュールしておく)
11:30-12:30:電話の処理
12:30-2:00:ディープワーク(最も生産性が高い時間に最も困難なタスクに取り組む)
2:00-3:00:ランチ(余暇の時間もスケジュールする)
3:00-5:30:記事の執筆
実際にスケジュールを立てる前に、抑えておくべきいくつかの注意点を見ていきましょう。
2. 自分に正直になる
一日にタスクを詰め込み過ぎてはいけません。人はタスクの所要時間を過小評価しがちです。このメソッドで生産性が50%アップすると思えば、なおさら短く見積もってしまうでしょう。タスクをタイムトラッキングした経験がない人は、最初は所要時間の見積もりに苦労するかもしれません。
たとえば、自分がどのぐらいの時間でどのぐらいの量のメールを処理できるのかを把握しておく必要があります。
また、ディープで困難な仕事に、自分がどのぐらい長く集中できるのかを正確に知る必要もあります。ディープワークに4時間を割り当てても、実際は2時間しか集中できないとしたら、残りの2時間は無駄になってしまいます。
無駄にするくらいなら、その余った2時間をほかのあまり重要でないタスクに割り当てるべきでしょう。
自分の仕事のやり方を理解し、タスクの所要時間を予測できるようになると、タイムブロックをうまくスケジュールできるようになります。
その結果、生産性も高まります。
3. 受動的なタスクにもタイムブロッキングは適用できる
受動的なタスクが多いという人は、自分の仕事にはタイムブロッキングは使えないと思うかもしれません。しかし、ありがたいことに、受動的な仕事にもタイムブロッキングは適用できます。
タイムブロッキングをうまく利用すれば、勤務時間中、他人の都合で引っ張り回されることもなくなります。
たとえば…
メールの処理にかなりの時間をとられているなら、2時間ごとに30分の枠をつくって、メールを処理する時間として割り当てます(非現実的だ? メールの署名欄に、生産性を高めるためにメールは1日に数回しかチェックしない旨を書いておくのはどうでしょうか)。
電話がひっきりなしにかかってくる環境なら、ベルが鳴るたびに応対するのではなく、留守番電話をセットして、メッセージを集中的に処理する時間を一日に何カ所かつくっておきます。
こうしておけば、そのほかの時間に仕事を中断させられることもなくなり、結果的に、生産性が向上します。
4. 仕事の邪魔を排除する
理論的にはタイムブロッキングはうまくいくはずですが、そのとおりに実践できなければ成功はおぼつきません。
2時間のディープワークの時間に、Facebookのタブを開いていたり、スマートフォンで電話を待ち受けていたり、同僚から気軽に話しかけられるようでは、やる前から失敗が目に見えています。
周囲の人たちに、あなたの仕事を邪魔してはいけないことを、よく理解させてください(ヘッドフォンをつけるのも有効)。
また、ソーシャルメディアからはサインアウトしておくこと。不必要なタブはすべて閉じ、決められた時間の間は目の前のタスクに集中するようにします。実践してみれば、自分がどれほど生産的になれるかに驚くはずです。
5. 具体的に決めすぎない
人間というものは、タスクの所要時間を予測する能力があまり高くないようです。いくらモチベーションが高くても関係ありません。
タイムブロックで取り組む内容を具体的に決めすぎると(たとえば、パーティー会場を予約するための30分、など)、30分以内に会場を見つけられなければ即失敗ということになります。
そうではなく、タイムブロックに記述する内容は、もう少し広い解釈ができるものにしてください。もちろん、明確なゴールに向かって行なうタスクであることは重要です。
たとえば、「パーティーの計画のための30分」ならOKです。これなら、30分で会場を予約できなくても、会場の候補をリストできたのなら成功とみなすことができます。まちがいなく少しは前進しているわけですから!
生産性システムの実践では、こうした小さな成功を積み重ねていくことが、モチベーション維持の大きな鍵となります。
6. タイムブロッキングで選択肢がなくなるわけではない
タイムブロッキングを採用すると、時間の使い方に自由度が全くなくなると懸念する人たちもいます。しかし、そんなことはありません。たとえば、上で示した私のGoogleカレンダーの例を見てください。
「記事を執筆する」は意図的にあいまいに定義した表現です。
私は常に、書くべき記事の候補を何本か抱えており、その中でそのとき最もやる気を感じる1本を選んで、このタイムブロックで取り組むようにしています。
重要なのは、毎日決まった時間、何らかの記事に取り組むということです。記事の内容は関係ありません。
7. 詳しいメモを残しておく

一日のうちにタスクの切り替えが頻繁に発生する場合、次のタスクに頭を切り替えるのに時間がかかることがあります。たとえば、上記で示した私のスケジュールの例でいえば、12時30分に電話の処理を終えてディープワークに移行する際、時間をできるだけ無駄にしないために、どうすればスムーズに頭を切り替えられるかを考えておかなければなりません。
私はそのために、紙やGoogleカレンダーに、メモを残すようにしています。そのプロジェクトは現在どこまで進んでいるのか、前回は何をしたのか、いまどんな問題にぶつかっているのか、どんな発見があったのか、次にするべきことは何か、などを詳しく書き込んでおきます。
タイムブロックの最後の数分間で、こうしたメモを残しておきましょう。そうすれば、タスクの切り替えをスムーズに行うことができます。
8. 定期的にレビューをする
毎週、毎月、あるいは毎四半期の終わりに(自分に合ったタイミングでOK)、それぞれのプロジェクトの進捗をレビューし、タイムブロッキングがうまくいっているかを確かめてください。また、割り当てる時間を増やすべきプロジェクトがあるかなどもチェックしましょう。
こうして定期的にレビューすることだけが、時間配分に熟達していく唯一のやり方です。レビューをするときは、各プロジェクトについて、以下の質問を自分に投げかけるようにします。
- 前回のレビュー以降、何を達成したか?
- 次回のレビューまでに、どのタスクを達成する必要があるか?
- 現在、そのプロジェクトはどの段階にあるのか?
レビューを重ねることで、意思決定の質と精度が高まっていきます。テクノロジーの力を借りたい人は、こちらのAndroidで使えるタイムブロッキングアプリを試してください。
9. 体内時計を理解する
サーカディアンリズムとウルトラディアンリズムに関するこちらの記事を読んで、自分が最も生産的になる時間を理解し、それに合わせてタイムブロックをスケジュールしてください。
多くの書き手は、朝の早い時間に最も創造的になれると感じています。午後のほうが集中できることがわかっているなら、最も重要なタスクをその時間帯に割り当てるようにします。
10. 仕事ばかりにならないように
仕事ばかりで遊びがないと、頭がおかしくなってしまいます。
余暇の時間もスケジュールしてください。愛する人と過ごす時間を確保しましょう。ひとりで過ごす時間も必要です。
エクササイズの時間も忘れてはいけません。クリスマスのショッピングに出かける時間も、あるいはまったく何もしない時間も必要でしょう。
こうした余暇の時間をきちんとスケジュールしておかないと、カレンダーが仕事ばかりで埋め尽くされて、プライベートライフがなくなってしまいます。
11. 実際に機能するリマインダーを使う
カレンダーのポップアップ、電子メールリマインダー、スマホのタイマー、昔ながらのストップウォッチ、どんなものでもかまいませんが、あなたが必ずチェックする、実際に機能するリマインダーを設定してください。
1つのタスクの10分の延長が積み重なれば、いずれ大きな影響となってほかのプロジェクトの足を引っ張り始めます。時間を延長したくなったときは、本当にそれだけの価値があるかを考えてください。
リマインダーをセットし、タイムブロックの終了時間をきちんと守り、次のタスクにすっきりした気持ちで入っていくようにしましょう。
本質的に、タイムブロッキングとは、一日を時間の塊に切り分ける単純な訓練です。このアプローチに習熟すれば、やるべきことをやるべき期間内にすべて達成でき、その結果、ストレスも軽減されます。
もちろん、モチベーションの維持、所要時間の予測、予期せぬ障害への対応など、乗り越えるべき課題もあります。それでも、このアプローチをうまく使うば、先延ばしや時間の浪費を回避しながら、一日をより効率的に使えるようになるはずです。
その結果、個人の時間をとり戻すこともできるでしょう。
タイムブロッキングの実際のやり方については、下の動画をご覧ください:
あわせて読みたい
Image: Photobank gallery/Shutterstock.com
Source: Google, Polyphasic Society, YouTube(1, 2)
Original Article: Time Blocking — The Secret Weapon For Better Focus by MakeUseOf