「U.S. News」はまたもや、すべてのダイエットについてのランキングを発表しました。
その最新の結果とは…すべてのダイエット法の違いは「食べ方の違い」だというものです。
驚きですね。その記事では、さまざまなダイエットの長所・短所をわかりやすく比較しているのですが、「あるダイエットが別のダイエットよりも優れている」というランキング宣言の概念そのものが、そもそも破綻しています。
以前取り上げた「農薬残留量の多い野菜や果物12選(英文記事)」という記事で見てきたように、ランキングでは、各対象物がほかの対象物と競い合っていること、および、リストの上位にある対象物は、下位にある対象物よりも優れていること、という前提があります。
けれども、果物や野菜はそれぞれに体に良いものです。
それぞれを競わせる必要がないのは、自分の子どもたちの中で一番好きな子は誰かを選ぶ必要がないのと同じです。さまざまなダイエット方法も同じです。
そもそも「ダイエット」とは?
いずれにしても、「ダイエット」とは実際何なのかという疑問が生じます。英語のダイエットという単語は、さまざまな異なる意味があるからです。
もし誰かが「ダイエットする」と言えば、私たちは、カロリーを減らして体重を落とすことだと思うでしょう。
ですが、「野生のキツネザルの“ダイエット(食事)”は種によって異なります」という文脈では、ダイエットという単語が、特定のキツネザルの食生活を総体的に説明している言葉だと読み取れます。
ランキング内のダイエットは当てにならない
U.S. Newsのデータベースにある51種類のダイエットは、奇妙なごちゃまぜの形式になっています。
「ボリュメトリックス(Volumetrics)ダイエット(エネルギー密度の低い食品を摂取することで、空腹感を感じずに減量するというダイエット法)」のような、食生活に対する曖昧なアプローチもあります。
『Noom』や『Weight Watchers』といった、減量促進を目的とした市販品も混じっています。科学的根拠に欠ける過激なダイエットも、同列に扱われています。
このような、まったく異質なアイテムを一緒くたにすることは、まったくもって誰の助けにもなりません。
ただ、どのような形であっても、ダイエットの定義に当てはまるとは到底思えない「レモネード・ダイエット(Master Cleanse)」のような、とびきりひどいオプションはメインリストの対象から外されています。
つまり、「ベスト」35だけをランク付けしていることから、U.S. Newsもこの問題についてある程度はわかっているようです。
このランキングについては、何日間も頭を悩ませることができます。
たとえば、炭水化物を制限するアトキンスダイエットとケトジェニックダイエットは2つの異なるものとしてリストされていますが、これは議論のあるところです。
また、その両方がリストで「実行不可能」と説明されている「ローフード(火を通さない食べ物)ダイエット」よりも低い評価となっているのです。
広く知られているU.S. Newsの大学ランキングと同様に、このダイエットランキングも、健康的な食生活や減量の参考にしてもらうためではなく、新たな不安を募らせ、議論を巻き起こす何かを人々に提供するために存在しているように思えます。
ダイエットの現実的な選択方法は?
減量したいなら
あなたが減量したいと思っているならば、まず最初に、すべての減量ダイエットは同じ仕組みで効くということを理解してください。
減量ダイエットは、「実際にカロリーを燃やせる量」よりも抑えて食事をするためのフレームワークを提供しているのです。
それを実行するための「ベスト」なダイエットとは、「あなたにとって最も継続しやすいやり方」です。
ケトジェニックダイエットが優れていると思う人たちもいれば、断続的な断食がうってつけだと考える人たちもいます。
低脂肪食品を食べることや、完全菜食主義を好む人たちもいるでしょう。
カロリーを極端に減らすことなく、繊維質やビタミン、たんぱく質といった重要な栄養素が奪われない限りは、どのダイエットを選ぼうが構わないのです。
健康的な生活を送りたいなら
体重の増減を望んでいるかどうかによらず、健康的な食事の基本(英文記事)はとても単純です。
たくさんの果物と野菜、十分なたんぱく質、多すぎない程度の糖質を摂取することです。
もし医者に掛かるほどの健康上の懸念を抱えているなら、そうした問題を考慮に入れることも忘れないでください(たとえば、ダッシュダイエットは、血圧を下げるための実行可能なガイドラインに載っています。
このダイエットでは、さまざまな栄養素の中でも、ナトリウムを減らし、カリウムを多く摂ることが求められます)。
指南を仰ぐために出費をいとわないのであれば、最新の減量ダイエット製品を買い込むよりも、食事療法士に相談することをおすすめします。
継続可能な自分に合ったアプローチを
あなたが望んでいるのは、より健康的な食生活ですか? 減量ですか? それとも、その両方でしょうか?あなたの目的に合った、そして継続可能なアプローチを見つけてください。
何らかの枠組みが必要なら、ダイエット用のレシピを提供してくれたり、そのダイエットに洒落た名前を付けてくれたりする本を買うのも良いでしょう。
ランキング最上位の地中海式ダイエットも良いですね。
ですが、29位にランキングされたパレオダイエット(原始人食)も、バカげた根拠にもかかわらず(私の理解が正しければですが、原始人はアーモンド粉とココナッツオイルから大量の「ピザもどき」を作っていたそうです)、案外うまくいくかもしれません。
──2020年10月29日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
Source: US News(1, 2) The Atlantic, Mayo Clinic, Eatright.org