人種差別は、有色人種の人々の安全と幸福を害する疫病です。

人種差別の結果としてさまざまな不当な事実を始終目にしていると、はっきり言えることが1つあります。

それは、「人種差別主義者でない」だけでは不十分であり、積極的に人種差別に反対すべきだということです。

この2つの違いが良く分からない人のために、詳しくご説明したいと思います。

人種差別の定義

まず、人種差別にはいくつもの層があることを理解しておく必要があります。人種差別の基本的な定義は、自分の人種が他の人種より優れているという思い込みから、あからさまに差別したり、偏見を持ったり、不当な扱いをすることです。

人種差別は、ヘイトスピーチや物理的な暴力で人々を虐げるだけに限りません。雇用プロセス、銀行、医療に関して不当な扱いを受けたり、社会経済格差があったり、刑事司法制度で不利になったりと、社会制度の上でも人種差別が見受けられます。

国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館が、人種差別のさまざまなタイプを次のように概説しています

1. 個人の人種差別

個人が人種差別を意識的に、あるいは無意識に支持する信念や視点を持ち、人種差別的な行動をします。具体的な例を挙げると、白人が優越的人種だと思い込むこと、明確な理由がないのに有色人種を雇用しないこと、人種差別的な冗談を言うことなどがあります。

2. 対人的人種差別

個人の間で行なわれる人種差別で、自分の中にある差別意識に無自覚なまま、中傷、偏見、差別的な言動を公に表現します。

3. 組織的人種差別

組織における人種差別で、人種によって待遇、ポリシー、慣行に差別的傾向、不公平、偏見があり、黒人より白人が有利になります。組織のポリシーが人種を特定していなくても、白人を有利にしようとする意図があります。

例:白人の生徒が主流の学校と比較すると、有色人種の生徒が多い学校は、資金不足で、狭い教室で生徒がぎゅうぎゅう詰めになっています。

4. 構造的人種差別

組織や社会全体に広がる人種的偏見が、制度に反映している状態です。白人に特権を与える一方で、有色人種には極端な不利益をもたらします。

例:主流となる映画、メディア、エンターテインメントで、有色人種を犯罪者や「凶悪犯」として描くような人種的ステレオタイプが横行しています。

人種差別反対主義者とは

人種差別主義者でない人なら、すべての人間は尊重され寛容に扱われる権利があることに気づけます。

また、世の中で自分が他人より優越的な存在だとも多くを受け取るに値するとも考えません。人はそれぞれ異なっていて、同じ経験を共有しているわけではありませんが、誰もが「生命、自由、幸福の追求」に関して平等の権利を持っています

ただし、人種差別主義者ではなくても、人種差別的な制度が存在する結果として利益や特権を得ていたら、人種差別に加担している、あるいは、関与していると言われても仕方がありません。

一方、人種差別反対主義者は、人種差別と闘うために積極的に活動します。NAC International Perspectives:Women and Global Solidarityは、「人種差別反対主義とは、制度、組織の構造、政策、慣行、態度を変えることで人種差別を特定し排除する積極的なプロセスを辿ることです。これにより、権力が再分配され公平に共有されます」としています。

なぜ人種差別に対して積極的に抗議の声をあげる必要があるのか

「私は人種差別主義者ではありません」と言うだけでは不十分です。社会の主流から取り残されたコミュニティの人々が、人種差別の結果として国家に殺害や投獄をされたり、医療行為を受けられなかったりして、命を失うことがなくなるのは素晴らしいことです。

人種差別は広く蔓延している致命的な問題で、積極的に取り組んで撲滅すべきです。人種差別を助長しないためには、それを公然と非難して、変化を求めるべきです。

人種差別反対主義者になると、ひどく壊れていて手当すべきことがあるとわかります。人種差別を防ぐためには、あらゆる側面で人種差別に挑み、対抗するための本物の戦略と実践が必要です。

人種差別を無くすために、次のような行動を取りましょう。

  • 友人、家族、同僚が人種差別的な冗談を言うのを聞いたら、はっきり注意しましょう。
  • 疎外された人々を支援する活動で、サポートを必要としていて、評判が良いものに寄付をしましょう。
  • 自分が享受している特権があるなら、なぜその特権を得ているのか、それが他人にどのような悪影響を与えるか学びましょう。
  • 人種差別がある制度(不十分な学校教育、刑事司法の改革、誰でも医療が受けられるの権利の擁護など)の改革に積極的に参加しましょう。

人種差別には長い歴史があるので、一朝一夕にはなくならないでしょう。

しかし、誰もが積極的に自分の役目を果たしていけば、本当に世界を変えることができるはずです。

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Image: Shutterstock

Source: US History, National Museum, NAC International Perspectives

Imani Bashir – Lifehacker US[原文