経済的自立? セミリタイア? いいですね!
FIREという言葉を聞いたことはありますか?
FIREは、経済的自立・セミリタイアの略語です。20〜30代で収入の大部分を節約し、30代または40代で退職できるという考えに基づいています。
しかし、この漠然とした目標には、安定した十分な収入、そして貯蓄への徹底した献身が不可欠です。
20代前半から投資すると複利のおかげで貯金が貯まることは確かですが、FIREの魅惑的な前提には挫折者も大勢います。
このムーブメントについては、貯蓄の予測を楽観し過ぎている、出産や育児を考慮していない、長期間倹約するという消費習慣は現実的ではない、もともと富がない人には達成できないなどの批判があります。
ですから、この「セミリタイア」については少々懐疑心を持ってアプローチしたほうがいいかもしれません。
FIREとは何ですか?
定年と聞いて思い浮かぶのはおそらく50代後半または60代の人ですが、それには理由があります。
それが普通だからです。結局のところ、(アメリカでは)社会保障給付は62歳から始まり、59.5歳でペナルティなしで個人年金口座から引き出すことができるようになっています。
FIREを支持する人は、だいたい30代〜40代ですが、20代で退職したい人もいます (「素晴らしいけれど、年収は3万5千ドル(350万円)だし、学生ローンの返済もあるのに?」と思っている人もいるでしょう。FIRE支持者の多くは、FIREが可能なのは特権だと認めています)。
FIREコミュニティの共通の目標はセミリタイアですが、哲学的に言えば、経済的自立に重点が置かれています。
「セミリタイアではなく、夢や願望を追求する自由を手に入れるということです」と、『You Can Retire Early!』の著者であるDeacon Hayesさんは述べています。
彼によると、実のところFIREは「働くかどうかを選択する自由」なのだそうです。
The Rule of 25として知られているのは、経済的自立のための具体的な定義です。
純資産が年間経費の25倍ある場合、経済的自立と見なされます(たとえば、年間経費が4万ドル(400万円)だとしたら、純資産の合計が100万ドル(1000万円)あると、経済的に自立していると考えられます)。
FIREは誰のため?
高収入だけれど魂が吸い取られるような仕事をしている人には、FIREはとても魅力的に見えるでしょう。
しかし、『Work Optional:Retire Early Non-Penny-Pinching Way』の著者、Tanja Hesterさんは警告しています。
仕事が嫌だからセミリタイアするというのは、良い理由ではありません。退職したら、退屈したり目的を失ってしまうはず。
FIREを達成するのはすごくたいへんなことで、集中力や決断力が絶対必要です。一攫千金を目指す人や仕事が嫌いな人には向いていません。
これは、キャリアから逃げるのではなく、長期的に計画された全体的なライフスタイルのアップグレードということなのです。
「セミリタイアする正当な理由は、フルタイムで働いている時には追求するのが難しいけれど、人生で仕事以外のビジョンを持っているから」とHesterさんは言います。
経済的自立を達成することで、私たちは感謝の念を持ってキャリアの段階を去り、自分たちがコントロールできる人生にステップアップするのです。
経済的自立に経費削減は必須ですが、FIREコミュニティの大勢が認めているように、ある程度の収入もなくてはなりません。
「FIREが実行可能なのには、特権が大きく関わってきますね」と、『Meet the Frugalwoods: Achieving Financial Independence Through Simple Living』の 著者のLiz Thamesさんは言います。
所得格差や、生活できる最低賃金が払われていないという深刻な問題があります。ですから、収入が支出よりずっと多いことは大抵の場合特権であると皆が認識していることは言っておきたいです。
Hesterさんは、「多くの仕事に価値を見出さなかったり、生活賃金を約束しない国で、誰でもセミリタイアするのに十分な貯蓄ができる」と考えることは、現実的ではないと付け加えます。
ですから、収入が10万ドル以上(1000万円以上)ではなくても、経済的自立を達成した人は大勢いますが、やはり高収入であることは確実に物事を進めるのにプラスです。
FIREのルール
FIREの基本的な計算はシンプルです。
収入より支出を低くして、差額をインデックスファンドのような手数料の低い投資に充てます。
賃貸物件や受動的な収入源などの他の投資も、経済的自立を達成するための重要な要素です。
倹約もそうです。生活費が少なければ少ないほど、残りの人生のために貯めなければならないお金も少なくてすみます。
このようにルールはいたってシンプルなのですが、それを達成するとなるとまったく別の話になります。
FIREを実行することは、ほかの経済的目標を達成するのと同じ考え方が関与しています。最終的には、我慢をすることではなく、行動と特権がポイントになります。
たとえば、Thamesさんの倹約ライフスタイルは、多くの人からは犠牲的だと思われているそうです。
でも、倹約は自分を犠牲にしているわけではないのです。
倹約しているからといって、何かを失っているわけではありません。自分にとって大事なことにはお金を使います。充実した生活を送るために買わなければならないものなんて、そんなに多くないんです。
FIREへの第一歩
もし上に挙げたことが魅力的で可能性があるなら、最初に取るステップは、自分の「なぜ」を理解することです。これには、専門家たちも同意しています。
「セミリタイアを希望する場合には、確固たる『理由』が必要です」とHayesさん。
友人と温めていた事業を始めるために仕事を辞めたいのか? 年に2週間以上の休暇が取りたいのか? 愛する人たちともっと一緒に過ごしたいのか?
どんな理由であれ、やる気を利用して計画を立て、苦しい時でもそれを実行し続ける。自分の理由がわかれば、進む道を決めたいと思うでしょう。
その次のステップは、自分の経費を追跡することです。
銀行やクレジットカードの明細書、オンラインの支出などを確認して、どれが意味のある購入かまたは必要な購入なのかを決めます。
「ほとんどの人は、自分が実際に使っている額を知ってショックを受けます」とHesterさん。
追跡を開始したら、自分のライフスタイルを維持するのに必要な1年の経費を把握し、倹約するために削れるところを探して、もっと貯金をします。ここはFIREで最も難しいステップです。
後は、貯金が複利で増えていくことをじっくり待つだけですから。
経費をクリアしたら、次は純利益を見て比較するステップです。
Thamesさんは、収入から固定費を差し引いて、その後で必要に応じて自由に使える費用を調整するそうです。
その後のステップは、数学と力学になります。
Mendonsaさんは、自分のポッドキャストで、経済的自立の10の「柱」を示しています。 それは以下のようになります。
- 家関連の経費を減らす
- 中古車を運転する
- ケーブルテレビの契約をやめる
- 税制上の特典がある401(k)、 457、 403(b)、IRA、 HSAなどを最大限に活用して、節税する
- 安い携帯サービスを使う
- クレジットカードの特典や賢明な経済的習慣を使って旅行費用を捻出する
- 食費を削る
- 収入を増やし、収入源を複数に増やすことを考える
- 手数料の低いインデックスファンドに投資する
- 4パーセントルールを使う:もし貯金から毎年4パーセントを引き出して経費に充てることができれば、経済的自立を達成したことになる。
ほかの経済的な目標と同様に計算するのは簡単なのですが、機知や勤勉さや忍耐が必要です。FIREを現実にできるかどうかは、あなた次第です。
あわせて読みたい
Image: Shutterstock
Source: Investor.gov, Financial Times, WellKeptWallet, Amazon 1, 2, 3, Tanja Hester, Frugalwoods, Choosefi
Kristin Wong, Mike Winters - Lifehacker US [原文]