私が9歳から13歳だったころ、裏庭に小川が流れている家に住んでいました。友人と、一緒に「小川歩き」をしたものです。
小川の土手で遊ぶ時もありました。水の中を歩き、川が本格的に深さを増し始めるすぐそばまで行く時もありました。水が首のあたりに達する場所まで来たら引き返して、また川を歩いて家に戻るのです。
ほとんどの人が、こうした子ども時代の思い出を持っています。
けれども、現在の基準から見てみれば、11歳の子ども2人を大人の監視なしで水辺で自由に遊ばせるのは、紛れもないネグレクトだと考える人もいるかもしれません。もちろん1990年代当時には、そんな風には考えられていませんでした。
では、なぜ今はネグレクトとされるのでしょうか?
危険とリスクの違い
現代の親は、子どもを守るだけでなく、子どもに危害が降りかからないよう積極的に手を出す傾向があります。俗にいう、過保護な親です。
けれど、マッチ箱を子どもに渡してそれで遊んでいいと言うことと、安全な火のおこし方を教えることは、別の話です。前者は危険な行為ですが、後者はリスクを伴う行為なのです。
危険な行為とは、不注意によって何らかの危害がもたらされる「かもしれない」だけではなく、危害がもたらされる結果に終わる「可能性が高い」ものです。
あえて危険を犯すのは、しばしば無謀です。あるいは、私の息子が教わっている武道の先生の言葉を借りれば、「愚かな行為」と言えるでしょう。
その先生は、「友だちにこう言いなさい。僕は崖から飛び降りない。なぜなら崖から飛び降りるのは愚かなことだから」と教えています。
あなたは、近所の道を横断するときはありますか? そういうときは、多少のリスクはつきものなので、横断する前に左右を見ますよね。
絶対安全とは言い切れませんが、道路を渡らなくてはならない場合もあるので、できるだけ安全に横断できるようにするわけです(でも、高速道路を渡ろうとするとしたら、それは愚かな行為ですよね)。
とっていいリスクといけないリスクを区別する
子どもの発達に関する専門家であるRebecca Weingartenさんは「Today’s Parent」の記事で、親はまず、自分たちが暮らす環境で子どもにとってリスクとなるものは何かについて考えたほうが良いと述べています。
土曜日の夜にニューヨーク市ブルックリンでリスクとして考えられるものは、ルイジアナ州の田舎町でリスクとして考えられるものと同じではありません。
「自分たちに合ったやり方を見つけなくてはいけません。それはほかのみんなと同じようなものではないでしょう――また同じであってはいけないのです」と、Weingartenさんは言います。
リスクを取ること(そして、時にはリスクがもたらす悪い結果を経験すること)は人生の一部ですし、そういうリスクは取って良いのです。
子どもに対して、そうしたことを教えるやり方を探しましょう。あなたにとっても子どもにとっても、多少のリスクを気楽に取れる分野を見つけてから、正しい判断の手本を示しましょう。
たとえば、よく切れるナイフで野菜を安全に切る方法を教えましょう。ケーキの種を熱いオーブンに入れるときは子どもにやらせましょう。木に登っている時は、頑丈な枝を探して試す方法を教えましょう。
「子どもたちのために」何かするのではなく、「子どもたちと一緒に」何かすることを重視しよう、というのがWeingartenさんの主張です。
多くの場合、親は「子どものために」何かしていることに気づきもしないものです。それは幼いころから始まります。
たとえば、平均台を渡る時に手をつないだり、子どもが失望しないように守ってあげたりするのです。
「子どもに自分だけで何かをやらせてみて、小さな叛逆をさせてあげましょう」と、Weingartenさんは述べています。「そのようにして子どもは、自分自身について学んでいくのです」
リスクと対処法をセットで教える
私は息子が2歳の時に、初めてメリーランド州の海岸に連れて行きました。海水がつま先に初めて触れた時、息子はとても夢中になっていました。
最初は、波がかろうじて息子に届くくらいの波打ち際に立って、私たち大人の手にしがみついていました。
けれどその後、年月が経つにつれて、手をつなぐことは少なくなり、海水に飛び込んで水しぶきを上げることが増えました。
息子と同じくらいの歳から同じ海岸で泳いでいた父親と祖父は、息子に波を観察する方法や、体を支えるにはこうすればいいとか、波に飛び込むにはああすればいいとかを教えています。
息子は波に打ち倒され、潜っては浮き上がり、口から海水を吐き出します。そして、そのたびに何かを学び、泳ぎを少しずつ自分のものにしていくのです。
息子がどれほど泳ぎが得意になろうと、海での泳ぎにはリスクがつきものです。けれど息子にとって、それは危険な行為ではなくなるでしょう。
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Image: Fiona Goodal/Getty Images
Source: Today’s Parent
Meghan Moravcik Walbert - Lifehacker US[原文]