2016年、Appleが「Night Shift」と呼ばれる新機能をiOSに導入しました。
これは、日没後にスマートフォンの画面を、暖かい色(青、緑、紫よりも赤、オレンジ、黄色に近い色)を使うように自動的に調整してくれる機能です。
現在では、ほとんどのスマートフォンに、似たような機能が搭載されています。この機能を使うことで、睡眠の質が向上すると思うかもしれません。
しかし、ある研究者グループが、この考えに疑問を投げかける研究を行いました。
「Night Shift」機能は睡眠の質を向上させない
ユタ州のブリガム・ヤング大学(GYU)が発表した新しい研究によると、最近の電子機器の多くに搭載されている「Night Shift」機能は、実際には睡眠にまったく影響を及ぼさないことがわかりました。
BYUの心理学教授Chad Jensen氏とCincinnati Children's Hospital Medical Centerの研究者らは、被験者を3つのグループに分けて、それぞれ異なる指示を与える実験を行いました。
1つ目のグループは、寝る前に「Night Shift」機能をオンにしてスマートフォンを使用し、2つ目のグループは、「Night Shift」機能をオフにしてスマートフォンを使用しました。3つ目のグループは、寝る前にスマートフォンを使わないようにしました。

研究者らは、3つのグループの総睡眠時間、睡眠の質、入眠後の覚醒度、入眠までの時間を測定し、比較しました。
全体的に見ると、3つのグループに違いはありませんでした。Night Shiftを使ったほうが、Night Shiftを使わずにスマートフォンを使った場合や、スマートフォンをまったく使わなかった場合より結果が良いとは言えませんでした。
実験の詳しい内容
この研究に参加したのは、18歳から24歳の成人167人で、全員が毎日スマートフォンを使用しています。
被験者らには、最低でも8時間以上の睡眠をとるように指示し、手首に装着した加速度計で睡眠活動を記録してもらいました。スマートフォンの使用状況は、実験を始める前にインストールしたアプリでモニターしました。
3つのグループの睡眠結果に大きな違いがなかったため、研究者らは被験者を睡眠時間の長さでグループ分けしてみることにしました。

睡眠時間が7時間以上だった被験者の間では、スマートフォンの使用状況によって睡眠の質に差が見られます。
就寝前にスマートフォンを使わなかった人たちは、「Night Shift」の使用の有無にかかわらず、スマートフォンを使った人たちよりも、よく眠ることができていました。
一方、睡眠時間が6時間以下のグループでは、睡眠に差はありません。
「ものすごく疲れているときは、寝る直前に何をしていたとしても寝てしまうということでしょう」とJensen氏は言っています。
睡眠圧力が非常に高いので、就寝前に何をしても影響が出ないのです。
睡眠に問題を抱えていますか?
十分な睡眠をとることは、心身の健康を維持するうえで非常に重要です。十分な睡眠が得られていないという人は、安眠をサポートしてくれるウェブサイトやアプリを試してみてください。
Night Shift機能は、画面を目に優しくなるように調整してくれますが、それで寝付きが良くなったり、睡眠の質が向上するわけではありません。
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Source: BYU
Original Article: Study: Your Phone's "Night Shift" Doesn't Actually Help You Sleep Better by MakeUseOf