トイレットペーパーのセットは上から/下から問題や、GIFの読み方は「ジフ/ギフ」問題のように、エスカレーターを歩く/立つ人問題は、ショッピングモール、空港、会社、駅の出口などで日々接戦を繰り返し、争いは永遠に続きそうです。

現実の世界では、エスカレーターの片側に立つ傾向が見うけられます。歩く人は邪魔なので、立つ人と互いが少しずつ譲り合っているのです。

歩くのをやめてみたら…

2015年ロンドンの地下鉄の実験で、ロンドンの交通当局が上りエスカレーターでは、左側を歩く人用に空けるのではなく、左右共に立ったままでいるよう利用者に指示しました。

この変更によって、エスカレーターが2秒毎により多くの利用者を運べることがわかりました。

全員がエスカレーターで歩くのをやめたら、ある一定期間で28%多くの利用者を運べます。

この理由は、エスカレーターを歩いて上ると、その人の前後により多くのスペースが必要になるからです。

通常速度の街中での車の車間距離と、高速道路で必要な車間距離を比べて考えてみてください。エスカレーターを歩く人が必要な大量のスペースは、歩くことで得られる時間をすべて相殺するのです。

より多くの労力を費やし、より悪い結果を得ていることになります。

歩く人を優先すべきではない

さらに悪いことに、とても長いエスカレーターでは、ほとんどの人が歩いても意味がないとわかっています。したがって、エスカレーターの右側だけにじっと人が固まっています。

Quartz」で指摘しているように、誰かが歩く時のためだけに、全員がエスカレーターの片側を空けているのです。

たまに歩く人を王様のように扱うのはなぜなのでしょう?

あくせく働く人、急いでいる人、30秒間じっと立って息を整えることすらできない人を、敬うよう教育されてきたからです。

エスカレーターの半分のスペースを全員が無駄にして、自分たちの速度を下げているというのは、なんとも屈辱的です。こんなことは終わらせましょう。

「歩く側」でじっと立ってみよう

軽蔑されるのではなく、英雄視されたいのであれば、今度混雑しているエスカレーターに乗った時は、「歩く側」に移ってじっと立っていましょう

あなたの後ろに人を貯め、エスカレーターの左右どちらも満員の状態で人が乗るようにしましょう。わからない人もいるかもしれませんが、実際はそうすることで全員の速度を上げているのです。

ただ、このルールは混雑しているエスカレーターの場合のみ適用されます。当然ながら、エスカレーターに乗っているのがあなただけなら、歩いた方が速く上れます。

あなたが歩くことで他の人のスペースを使って、速度を落としているような、お互いが作用し合っている状況の時のみ有効です。

そのような場合は、とにかく立っていましょう。馬鹿みたいだと思いますか? 意味もなく数秒を無駄にしていると思いますか?

私もかつてはエスカレーターで歩いていて、そのように感じていました。そして、ある日このツイートを読んだのです。

ありふれたツイートに、お決まりのコメントですが、忘れられませんでした。

エスカレーターで歩いて上ろうとする度に、催眠術師にトリガーを植え付けられたみたいに、怖くなったのです。

エスカレーターを歩いて上ると気分が悪くなるのです。階段を駆け上がってもそうはなりません。

VRで気分が悪くなったような、車の中でスマホで遊び過ぎたような、方向感覚が無くなるような感じで疲れるのです。

必要以上に他の人にぶつかる割に、ほとんど時間が節約できないので、歩くことに疑問が出てきたのです。

それで私はエスカレーターで歩くのをやめ、気分がよくなりました。スマホでメールをチェックしたり、黙って周りを見渡したり、息を整えたり、目の前の人の背中をじっと見つめたりしています。

瞑想的な時間ではありませんが、慌ただしい生活の中で、できるだけ擦り減らないようにできる瞬間です。

そして、下りる時は階段を使っています。

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Image: Hasin Farhan

Source: The Guardian, Quartz, Twitter

Nick Douglas - Lifehacker US[原文