「大人になったら何になりたい?」は、大人が子どもにするほぼ定番とも言える質問です。
自分が子どもの頃、散々この質問をされてうんざりしたはずなのに、大人になると今度は自分が同じ質問を子どもにしていませんか。その質問は、子どものためにならないようです。
何になりたい? と子どもに聞くべきではない理由
私も我が子にこの質問をしてしまった親の1人です。
でも、大人は子どもに特定の職業に就いて欲しくて、この質問をしているわけではありません。私の場合は、子どもが大きくなるに連れて、なりたいものが変わっていくのが可愛いくて聞いているだけです。
でも、心理学者のAdam Grantさんは、「大人になったら何になりたい?」と子どもにあまり聞き続けると、子どものためにならないとThe New York Timesに書いています。
子どもに職業を無理に決めさせるのは良くありません。「大人になったら何になりたい?」と聞かれたとき、「父親になりたい」、「母親になりたい」と言う答えは求められていませんし、ましてや、「誠実な人間になりたい」という答えも求められていません。
他人に対して思いやりを持つことが一番大切だと言う親は多いですが、子どもは成功することが一番大切だと思ってしまいます。
職業でその人を定義するということは、何を達成したかで人間の価値を決めることです。
また、この質問は、誰にでもたった1つの天職があることを暗示しているとGrantさんは指摘しています。
私はまだ15年しか現在のキャリアを歩んでいませんが、時が経つに連れて興味があることや優先したいことが変わると、キャリアも変わります。誰もが職業に関しても進歩の途上にあるからです。
それに、これが天職だと思うことに出会っても、それを職業にしない人が多いのは、どんなに好きでもそれで生計を立てられるほど才能に恵まれていないことが多いからです。
「どんな問題を解決したい?」と聞こう
「国際的な教育の普及」に携わるJaime Casapさんは、「何になりたい?」でなく「どんな問題を解決したい?」と子どもに聞くことを推奨しています。
特定の職業でなく、どんな人間になりたいかという方向に意識を向けていくのです。思いやりがあり、きちんとしていて、精力的であることは、大人としていくらでもほしい特性です。
息子に起きた変化
私はしばらく息子に「大人になったら何になりたい?」と聞かないようにしてきました。すると、将来に対する息子の考え方が変わってきたことに気づきました。
1年前は「ビデオゲーム制作者」になりたいと言っていた息子が、今はいくつもの選択肢を考えられるようになったのです。当面なりたいものは、ホットドッグ専門のレストランのオーナー、おもちゃ屋のオーナー、プロのサッカー選手、そして、ビデオゲーム制作者(相変わらずです)だそうですが、それ以外にもいろいろ考えているようです。
息子は、なりたいものを思いつくままに並べ挙げると、「僕はどの仕事をしたらいいと思う?」と私に聞きます。
そんなとき、私は肩をすくめてこう言います。
どの仕事を選んでも、あなたならきっととてもうまくいくと思うわ。答えを見つけるために考える時間がたっぷりあることが子どもの特権よ。そして、大人の特権は、いつでも気持ちが変わったら新しいことを試せることなの。
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Image: Thanasis Zovoilis/Getty Images
Source: The New York Times
Meghan Moravcik Walbert – Lifehacker US[原文]