何年も前に、私は「鍋をかき混ぜるときは、円を描くようにかき混ぜるよりも、前後にまっすぐ動かしてかき混ぜるほうが効果的だ」という記事を見ました。
しかし、どちらのかき混ぜ方がより効果的なのでしょうか?そして、どの程度の違いが出るのでしょうか?
円を書くより、真っ直ぐのほうがいい?
私には、まっすぐ前後に動かす方が効率が良いように見えました。
幸い、Cook’s Illustratedの人たちが、私が一番興味が無い分野に興味を持ってくれています。
それによると、特筆すべき1つの例外を除いて、左右にかき混ぜる方がはるかに効果的なのだそうです(詳しくは後述します)。
この方法をテストした人たちは、ビネグレットソースを乳化したり、クリームや卵白を泡立てたりして、どちらの動きが材料を素早く効率的に混ぜられるか確認しました。
いずれの場合も、泡立ては左右の動きが大変効果的でした。
そのやり方だと、ビネグレットソース(シンプルに油とビネガーだけでできています)を15分間完全に乳化させておくことができ、生クリームを4分で、卵白を5分で角がピンと立つようにすることができました。
円を描くように混ぜると、全体的に効果はなく、ドレッシングは完全には乳化せずに水っぽく分離したままで、生クリームや卵白の泡立ては、左右に混ぜて泡立てるのに比べて2倍以上の時間がかかりました(それぞれ10分、12分かかりました)。
これには主要な理由が2つあります。
手を前後に動かす方が、円を描くように動かすよりも簡単なので、より強く、より長く混ぜることができますが、せん断力も強くなるからです。
泡立て器をボウルの中で一方向に動かすと、液体も泡立て器と一緒に動き始めます。
しかし、その後、泡立て器は逆方向に引きずられ、まだ泡立て器に向かって動いている残りの液体に力がかかります。
かき混ぜたり叩いたりすると、液体は泡立て器と同じ方向に進むので、せん断力は小さくなります。
ヴィネグレットの材料を密閉容器に入れて前後に振ると、泡立て器を使うよりも安定した乳化状態になるのも、せん断力のなせるワザです。
また、ソースやスープ、シチューなど、それほど大げさではない用途でも、左右にかき混ぜるとメリットがあります(さらに、前後に動かすことで、スプーンが鍋やフライパンのより広い面に触れることになり、食材のくっつきや焦げ付きを防ぐことができます。
卵白だけは例外
唯一、卵白だけは、独特の粘性があるため、この「往復運動」の恩恵を受けることができません。
卵白は粘性が高いので、泡立て始めたばかりでも、生クリームを泡立てたときよりも卵白がたくさん泡立て器に付着します。
そのため、泡立て器の溝が広くなり、より多くの空気を閉じ込めることができるのです。
左右に泡立てると、逆の動きがせっかくできた溝を乱してしまうので、空気を閉じ込めてボリュームを出すプロセスが遅くなります。
叩くように混ぜると、泡立て器が液体の外に出る瞬間が生じるので、この広くなった溝が長持ちして、より多くの空気を閉じ込めることができます。
この場合は、せん断力よりもその効果の方が、素早くボリュームを出す上で重要です。
ですから、卵白を泡立てるときは円を描くように、それ以外のときは左右の動きで混ぜるようにしましょう。
そうすれば、ドレッシングやソース、ホイップクリームの撹拌がもっとうまくいくはずです。
Source: Cook’s Illustrated, Stack Exchange