世界各国で導入が進んでいる「STEM教育」。日本でもその一環として、2020年度より小学校でプログラミングが必修となります。
教育現場の大きな潮流に合わせ、自宅でプログラミングを概念的に学べる教材や知育玩具が続々と登場し始めています。
遊びながら学べるボードゲーム
今回紹介する『Coder Minds(コーダーマインズ)』も、そうした製品の1つ。「遊びながらAIのプログラミングが学べ、大人も楽しめる」と話題のボードゲームです。
2~4人で遊べるこのゲーム。プレイヤーの役割は、各自1体のロボットを盤上で操作し、ゴールにたどり着かせること。
そのためには、ロボットの行動をプログラミングしなくてはいけません。
「プログラミング」という言葉が出てくると、なにやら難しいイメージがありますが、ゲームではシンプルにカードを並べるだけ。
カードには、「前に1マス進む」、「好きな方向に1マス進む」といった行動指示が記されています。これら複数枚のカードを組み合わせることが、プログラミングとなるわけです。

例えば上の写真は、(左から)「左に1マス進む」、「好きな方向に2マス進む」、「前に1マス進む」のカードからなるプログラミングです。ロボットは、カードの並んだ順に、記載内容のとおりに移動しなくてはなりません。
しかも、カードは自由に選べません。裏返しに積まれた山札から、サイコロの目の数だけカードを引き、それらを使用しなくてはならないルールです。適当なプログラミングだと、行き止まりに突き当たるなんてこともあるので、十分に考える必要があります。
また、カードには「ZAP」という、他のプレイヤーのロボットを「撃つ」ものもあります。撃たれたロボットは、スタート位置に戻ってしまうので、敵から撃たれないポジションの確保も考慮しなくてはなりません。
ゲームに慣れてきたら、上級者向けのカードを加えて、より手ごたえのある内容にできます。
例えば、「左のマスがブロックマスではないマスなら左に1マス進み、そうでなければ右に 1マス進む」といったカードがあります。ややこしさにめげず、意味を把握し活用することで、ゲームの展開を有利にできます。

ルール自体はシンプルなのですが、カードを巧みに組み合わせるところが難しい印象ですね。
実際にプレイしてみて
さて、実際にやってみると、どんな感じでしょうか? とある休日、筆者を含め3人でプレイしてみました。
ゲームには、「トレーニング」、「画像認識」、「自律」の3つの遊び方があり、それぞれに上級者向けのカードを使わない「ベーシック」と、使う「アドバンスド」があります。
今回は初めてということで、「トレーニング」&「ベーシック」でプレイしました。「左に1マス進む」といった基本的なカードだけを用い、ひたすらゴールを目指すものです。
序盤戦でのサイコロの目は、1や2がたまたま続き、あまり考えることなく、少しずつゴールへと進んでいきました。
ただ、大きい目(4~6)が出てくると、考えることが多くなります。都合のよいカードだけ選んでのプログラミングはできないので、ゴールに近づくには不要と思えるカードをどう処理するかで悩むのです。
「ここはいったん下がって、右に行って、2歩進んで、前より好都合なポジションをとる」といった感じになるよう、大人3人がうんうん唸りつつ、ゲームはスローペースで進行していきました。

どの方向へも2マス進めるカードを連続して引いた筆者が有利となり、ロボットをゴール近くまで進めましたが、別のプレイヤーから「撃たれ」てしまい、スタート地点へ。
最終的には、撃たれる心配のない「セーフマス」づたいに工夫して移動していた、一番遅いロボットがゴールするという、意外な展開となりました。筆者は、結局ビリです。
当初は、「子ども向け」と思っていましたが、やってみると奥が深く、一筋縄ではいきませんでした。大人特有の「まじめに勝敗にこだわってしまう」せいもあったでしょう。でも、子ども同士なら、楽しさ優先で和気あいあいと遊べて、知らないうちにプログラミングの感性を伸ばしていけると思いました。
特に「アドバンスド」のレベルがこなせるようになると、かなりの進歩のはず。このゲームで「予習・復習」しておけば、学校のプログラミング授業も、あまりストレスなく臨めるのではないかと感じました。
ゲームの開発者は9歳、日本語版も登場
『Coder Minds』を開発したのは、サマイラさん。7歳にして前身となる『Coder Bunnyz』を生み出しました。このボードゲームは100校を超える学校で採用され、彼女は名だたるIT企業で講演を行うなど、一躍時の人になりました。
9歳の時に考案した『Coder Minds』は、より洗練された第2弾作品となります。サマイラさんの願いは、「世界中のすべての子どもたちがプログラミングを始める」こと。本作は各国で販売され、日本でも日本語版が発売予定です。
その日本語版は、ただいま、Makuakeでクラウドファンディング中(6月27日まで)。予価9698円のところを、25%オフの7274円(税、送料込)で予約購入できるなど早割を実施中なので、チェックしてみましょう。
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Photo: 鈴木拓也
Source: Makuake