前編では、Gmailの4勝1分けと、Gmailの優位でしたが、まだまだ対決は折り返し地点。後半戦でOutlookの巻き返しは見られるのでしょうか? いよいよ後編がスタートです。

■ストレージ容量■

マイクロソフトExchangeとOutlookを併用するケースでは、ストレージのための領域がバカになりません。企業なら、ふつう、サーバに残しておけるデータ量を制限しているはずです。だいたい100 MBから2 GBくらいが通例でしょうか(メールの保管コストってバカにならないのです)。

Gmailユーザは、6.76 GBを無料でもらえます(有料なら25 GBが1年で50ドル)。提供されるディスク容量はどんどん増えています。

企業の経営者にとっては、ディスク容量を制限するというのは当たり前の話。ファイルの保存先をリンクすればいいのに、どデカい添付ファイルを送ったりするヤツがいますからね。だからユーザは毎週のようにディスクの掃除をしたり、別のところに保存し直したりしないといけないわけです。なにせお金がかかるんで、分からないでもないんですけどね、クライアントの話を聞いていると、このディスク容量の制限って結構不評なんですね。

(Exchangeを使わず、単体でOutlookを使用している場合には、ディスク容量は別に何の心配もいりません。むしろ気をつけなきゃいけないのは、バックアップですね)

OutolookもGmailもストレージに関してはたくさんのオプションがありますが、実をいうと、この私も、Exchangeのディスク掃除にはうんざりなんですよ。ストレージ容量が将来もっと低コストになるか、コストを企業側で負担してくれるようになるまでは、Googleに軍配を挙げておきます。

●ストレージ・スペース対決の軍配:

低価格もしくは無料で容量を提供してくれるGmailの勝ち。でも、ホスト側の容量制限がもっと太っ腹になれば話は別。

おっと、またGmailの勝ち星が増えましたよ。気になる対決の行方は、以下にて。

 ■ユーザインタフェース■

ユーザインタフェースは対照的です。GmailはシンプルOutlookは重装備

  • Gmailのスレッド表示はOutlookよりシンプルです(Gmailはスレッド表示にあまり場所をとっていませんが、Outlookはスペースを広くとっています)。
  • Gmailの場合、なんといっても検索です。検索がインタフェースの中心です。
  • Outlookならドラッグ&ドロップが使えます。
  • Outlookには並び替え機能があります。Gmailビューに並び替え機能がないのは理解できなくもないのですが、やっぱり不便です。
  • どちらもショートカットキーが割り当てられていますが、Outlookのほうが見つけやすいですね(画面に表示されてますから)。
  • Gmailのメッセージを1行ずつ表示させると、各メールの最初の何文字かだけしか表示されません。Outlookにはメッセージ内容を表示させるスペースがありますので、大まかな内容を簡単に見渡せます(Google Readerに似た機能があります)。

MS Officeユーザには、Outlookが使いやすいです。もしメールの世界で仕切り直しをはかりたいのであれば、Gmailも候補に挙げておいてよいでしょう。

●ユーザインタフェース対決の軍配:

引き分け。こればかりは主観の問題ですので。

■ワークフロー■

私は、GmailもOutlookも両方使ってます。ワークフローが全然違うので使い分けているのです。Outlookはメールの仕分け方や管理の仕方に、何種類ものオプションが用意されています。メールを階層的にきちんと分類・管理していれば威力を発揮するのがOutlookです。これに対して、Gmailのワークフローにはあまり選択肢がありません。その代わり、メールの居場所が分からなくても、簡単に検索できます

ある業務にはGmailの幅の狭さがかえって強みになるでしょうし、また、ある業務ではOutlookの多彩な機能が力を発揮するでしょう。

いくつもの業務を抱えながら仕事をする場合には、Outlookの拡張機能(仕事、仕事の共有、メッセージフラグ、共有連絡先など)が役に立ちます。ビジネスの分野でOutlookが幅を利かせている理由が分かりますね。

メールの利用が仕事とあまり関係ないのであれば、フィルタやラベル、検索が使えるGmailはお薦めのひとつです。でもメールを使っている人であれば、返事を後回しにしたいとか思うでしょう? Google Appsにはデフォルトで仕事管理をサポートしていないので、ワークフローということについてはOutlookに軍配があがりますね。幸いRemember the Milkというオンライン・アプリがありますので、これを併用すればGmailで仕事管理もできるようになりますが。

●ワークフロー対決の軍配:
Outlookの勝ち。ワークフローをサポートする様々な機能があります。

■モバイル■

特定のデバイスを使用するのであれば、OutlookかGmailか、どちらか一方に決めて使用したほうがいいでしょうね。GmailにはBlackBerry用のJavaアプリがありまして、これがiPhoneを含むたいていのモバイル・デバイスで動作するんです。MS ExchangeにもActiveSyncというのがありまして、メールに限らず、仕事やカレンダーや連絡先のアイテムまで最新の状態に同期してくれます。

ExchangeにもGmailにもモバイル・デバイスからネットでアクセスするための、軽量版のインタフェースがあります(Gmailはモバイル・ブラウザからアクセスするか、直接m.google.com/a にアクセスすれば使えます。Exchangeの場合は、知られていないことも多いのですが、Outlook Mobile Access (OMA) というのがあります。アドレスはExchange管理者に聞いてください)。

マイクロソフトがモバイル環境をサポートしているなんて知らなかったという人が、多いのではないでしょうか。まあ、Exchangeサーバがない環境でOutlookを単体で使っているのでしたら仕方がないでしょう。でも私はあえてマイクロソフトに軍配を挙げたいですね。Exchangeはメールだけでなく、カレンダーや連絡先や仕事の同期をとってくれますし、ActiveSyncを使えばオフラインでも情報にアクセスできるからです。(もしExchangeサーバにアクセスできないOutlookユーザでしたら、Gmailは使ってみる価値大アリです。メールの中心はGmailにして、IMAPアプリとしてOutlookを使えば、モバイル環境はかなり向上します)。

●モバイル対決の軍配:
OutlookとExchange併用の勝ち。もちろん、Exchangeが使えないなら、Gmailでモバイルが使いやすくなります

■サポート■

さきほどがGoogleの有料プランを利用したいという友人が、設定方法について助けを求めてきたんですが、彼女は結局解決できずにGoogleをあきらめてしまいました。一事が万事というわけではありませんが、サポートという意味ではGoogleよりマイクロソフトのほうが分かりやすいです。

Exchangeであれば困ったことは電話でサポートしてくれるのですが、Googleには電話サポートというものがないんですね。

何でも自分でやるというユーザならGoogleで迷うことはそう多くないと思いますが、ごくまれとはいえ重大な問題が生じたときには、やはり専門家集団が頼りになるわけです。

●サポート対決の軍配:

サポート体制ではやはりOutlookの勝ち。

■まとめ■
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(注:これはあくまで私の意見であって、Lifehackerの意見ではありません。私は実際どちらも好んで使っていますし、要は特徴がまったく異なっているということなのです。)

■結論と展望■

OutlookGmailはメールへのアプローチが全然違うのですね。Googleは機能を徐々に増やし始めていますし、マイクロソフトも検索を強化したり複雑な機能をシンプルにしようとしています。両者の特徴は対照的ですが、どちらも日々進化しています。

私個人としては、仕事用にはOutlookを使い、Googleはソーシャル・メディアやウェブに絡んだ目的に使います。仕事もプライベートも一緒にして、どちらか一方を選ぶ人もいると思います。それもたいへん結構です。

ひとつはっきりしているのは、最近のGmailがビジネス目的にもグンと使えるようになってきたということです。Googleは、Postiniを利用した企業レベルのサービス(コンプライアンス文書の保管、サービス内容同意書管理、スパム対策など)も提供し始めています。私の予想では、Google Search Applianceとの統合が進めば、そのうちマイクロソフトと互角になるのではないでしょうか。

同時にマイクロソフトもソフトウェア分野でグングン発展しています。とくにExchangeやCRMと連携する分野ではすごいことになっています。Googleもぼやぼやしていられません。

Jared Goralnick(原文/訳:ココ・カチョル)

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