私がランニングを始めたのは2009年7月。当時体調を壊し気味だったので、何かスポーツをして強くなりたいと思ったのがきっかけでした。

でも、私は生まれつき体が小さく、運動神経もゼロに近い......そんな私にもできるスポーツなんてあるのかな?と考えながらスポーツ用品売り場をウロウロしていたときに目に入ったのが、かわいいランニングスカートだったのです。

ランニングなら人に迷惑をかけずにマイペースにできるし、かわいいウェアもある。さらに、イケメンランナーとの出会いなんかもちょっぴり期待したりして。そんな不純かつ明確な動機のもと、私は走り始めたのでした。

はじめは1キロも走れなかった私ですが、それから2年半強、練習を重ね、ついに今年、フルマラソン完走を達成したのです! 

こうしてランニングを続けていく中で、シューズ選びの重要性も学びました。今回は、私が選んだ3足目のシューズの使用感をご紹介します。

 2年半前、勢いで走り始めたものの、最初は全然走れないし、楽しさもよくわかりませんでした。でも、仲間たちとの出会いに恵まれ、練習を重ねていくうちに少しずつ長い距離を走れるようになっていきました。そして迎えた今年2月にフルマラソンに参加。タイムはギリギリだったけれど、何とか完走を果たしました。運動なんてまったくできなかった私が、42.195キロも走れるようになるなんて! Finishゲートをくぐった瞬間は、涙が溢れて止まりませんでした。

2年半強のランニング生活の中で、私が出会ったシューズは2足です。最近は店頭で「1キロ○分用」とタイムによって分類されていたりするので、私はその中から一番遅い「1キロ7分用」を選んでいました。それらのシューズはだいたい底が厚く、足を守ってくれるクッションがたくさんついています。私のように6時間かけてフルマラソンを走るようなランナーは、このようなクッションがついていないと足を痛めてしまうのです。

そんなフワフワなシューズをずっと履いていた私にとって3足目のシューズは、「チャレンジ」ともいえるもの。それがニューバランスの「ミニマス」でした。このシューズを手にとった瞬間、私はその軽さに思わず驚きの声を上げました。

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ニューバランスは1906年にアメリカのボストンで創業。足裏にある3つのアーチを安定させるためのアーチサポートインソールと、矯正靴の製造からスタートしたそうです。「足に問題を抱える人たちに、履くだけで『新しい(New)感覚(Balance)』をもたらしたい」という理念が名前の由来だとか。

ニューバランスのシューズは、あのスティーヴ・ジョブズも愛用していました。ジョブズのファッションの定番は、黒いタートルネックにジーンズ、足元はニューバランスの991モデル。また、去年見事にゴールを果たした間寛平さんのアースマラソンを支えたのも、ニューバランスのシューズでした。

創業から100年以上の時を超え、今でも多くの人の足元を支え続けるニューバランスのシューズには、創業当時からの「思い」がしっかりと受け継がれています。その証拠に、今でもニューバランスのシューズはアメリカとイギリスの工場で、靴職人たちが手縫いで製造しています。1つ1つのシューズに、靴職人たちのクラフトマンシップが息づいているのです。

私が手にした3足目のシューズ「ミニマス」は、そんなニューバランスが「Less is More」という理念をもとに、「シューズの機能を最小限に削ぎ落とし、人間の足に本来備わっている機能を呼び戻すことで、効率的なランニングフォームを身につける」というコンセプトで開発したシューズです。まさに裸足に限りなく近いシューズ

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アメリカのマサチューセッツ州で生まれた「ミニマス」には、ウルトラマラソン・ランナーであるトニー・クルピカのアドバイスが随所に活かされています。彼の妥協のないトライアルの果てに、機能を極限までそぎ落とし、つま先とかかとの厚みの差(前後差)は、なんと4㎜という薄さ。だから足本来の動きを活かした自然な足位置で走ることができるのです。

そして、私が「軽い!」と感じたのにもきちんと理由がありました。それは、抗菌作用をもったインソール(中敷)とアッパーを一体化さることで、従来より100gもの軽量化に成功しているからです。

こんな靴底にクッションのないシューズは、私のように速く走れないランナーには縁のないものだと思っていました。実際「ミニマス」は3時間〜4時間程度でフルマラソンを走るランナーに最も適したシューズです。私が履くと足を痛めてしまうのでは......という不安もあって、最初は正直怖いと思いました。それでも挑戦してみようと思ったのは、「フォームの矯正ができて、効率的なトレーニングができる」と聞いたから。

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おそるおそる履いてみると、とにかく軽い! そのままゆっくりランニングすると、靴ではなく自分の足で走っているという感覚がありました。その分、はじめは疲れやすい。でも、ふと気がつくと、体の重心から下りて足裏全体で着地していることを感じ、「フォーム矯正になる」というのも納得でした。

翌日は、早速ふくらはぎが軽い筋肉痛に。心地よい痛みが、このシューズで走ると、ふくらはぎの筋力アップにもなることを教えてくれました。筋力アップといっても、太くなるわけではなく、キレイな筋肉がつくということなので、この先が楽しみです。

履くだけで筋力アップやフォーム矯正につながる感じがするので、普段履きにも愛用しています。春っぽい黄色もお気に入り。

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去年の秋から始まった大会シーズンもそろそろ終わりです。次のシーズンに向けて、今からのトレーニングはこのシューズと一緒に頑張っていきます。

次の目標は11月の大阪マラソン! これまでの記録より速いタイムでゴールしたい。そして、今は無理だけど、いつかこのシューズでフルマラソンを走れるようになりたい。そんな夢も、このシューズなら叶えてくれそうです。

シンプルに走る

このシューズを履いて走っていたら、自然とそんな言葉が頭に浮かんできました。

最後に、ランニング初級者から中級者へとステップアップしつつある私が考える、シューズ選びのポイント3点をお伝えします。

(1)自分の足に"フィット"するものであること。試着したときにピッタリくる感じが大事。

(2)長い時間を一緒に過ごすものだから、履くと楽しくなるような、お気に入りの"色とデザイン"であること。

(3)より速く、より長く走るために、今の実力よりも少しだけ"チャレンジ"したものであること。

「ミニマス」は私にとって、この条件をすべて満たしてくれたシューズです。

(尾越まり恵)