佐々木俊尚さんの『仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)』が出版されてから、日本でも、オフィス以外の場所で自由に仕事をする「ノマドワーキング」という考え方が、広く知られるようになりました。
本書は、その実践編とでも言うべき、すでにノマドワーキングをバリバリと実践している方が書いた本。仕事の9割をオフィス外で作業されているということですから、かなりの本格派ですね。
本書の中で、紹介されているノマドワーキングの三種の基本ツールが
- ノートパソコン(Let's Noteなど)
- スマートフォン(iPhoneなど)
- ノート(モレスキンなど)
この三つの基本ツールについては、ライフハッカーの読者の方々なら、それぞれ造詣が深い方も多いでしょう。
基本ツールで使う、ツールに関しても、Evernote ,Gmail ,Google calendar , Google Apps , Dropbox , SugarSync ,はてブ、Twitterなど、おなじみなものが多いです。
ツール自体はおなじみなモノが多いですが、あらためて読むと、自分の使い方と違ったり、「おっ!そんな使い方もできるかの!」という新しい発見が色々ありますね。
さて、本書の特徴は、それらのツール類よりも、むしろ徹底した場所へのこだわりでしょう。
続きます。
僕は、カフェなどの自宅の外で作業するときは、「単なる気分転換」「必要なものしか持っていかないで強制力を働かせる」くらいに思っていましたが、本書を読むと奥が深い。
まずは、作業をアイデア出しなどのイメージや直感が重要な右脳系、見積書の作成などの精緻で論理的な能力が必要となる左脳系に大枠で分類します。そして、それに応じて場所選びをするというのですから、年期が違います。
また、その場所もスタバ・ドトール・ルノアールなどのカフェはもちろん、公園からカラオケボックスまで実に多彩。
とにかく、場所などの環境に対しての熱い思いがビシビシと伝わってきます。
たとえば、著者はルノアールで「柚子ティー」を頼むのが好きなようですが、そんなことは「私はルノアールでは柚子ティーをよく頼みます」と一言で済ませれば良いところを事細かに丁寧に説明してくれます。
少し長いけど引用しますね。
注文するメニューも大体決まっており、最近はまっているのが「柚子ティー」です。柚子ティーとは、いわゆる「お茶」や「紅茶」のような茶葉を利用したものではありません。ゆず皮を砂糖や蜂蜜に漬け込んだもの(柚子ジャム)をお湯や水に溶かした飲み物です。
レモンの三杯ものビタミンCが含まれている柚子ティーは、風邪予防などに適した飲み物といわれています。私が気に入っているのは、なんといってもその香り。柑橘系のさわやかな香りは、体を緊張感から解き放ち、新陳代謝を促進してくれます。大作の企画書に取り組むにはいい飲み物です。
まず、柚子ティーを飲んで心身リラックスし、身体を活性化させたところで、高いモチベーションで企画書作りに取り組むのです。
どうでしょう? 僕は普段はコーヒー派なのですが、この文章を読んで「ルノアールに行ったときは柚子ティーを頼もうかな」と思いました。
他の部分も、丁寧に書かれているのですが、この柚子ティーのところは特に出色でした。
他に、面白いなと思ったのは、レゴブロックを持ち歩いて、色々組み合わせてiPhoneのスタンドを作ってしまうところですね。本書ではiPhoneスタンドが事例で載っていましたが、アイデア次第で色々活用できそうですよね。
また、ツールや場所の紹介などにとどまらず、セキュリティ関係の強く言及してるところも、机上の空論ではなく、普段からきちんと実践されてるんだなということを感じました。
他人がいる場所の電話では会社名、個人名などを言わない
は、僕も今日から実践しようと思います。
かといって、「G13型トラクタ求む」とか「賛美歌13番リクエストします」などと暗号化するのはやりすぎかな。スパイ気分で楽しげですけどね。
iOS4でiPhoneもBluetoothキーボードに対応になりましたし、これからますますノマドワーキングの幅が広がりそうですね。その時のためにも、今からこの本で場所選びをしておくのもいいかも!
(聖幸)