プロジェクトは完遂させるために生まれてくるもの。しかし一方で、世の中には成果をあげられないまま終わっていくプロジェクトも、少なくありません。「9rules」のクリエイターPaul Scrivensさんは、数々のプロジェクトを手がけてきた経験から、「次の成功につなげる上で、プロジェクトの失敗も重要だ」と説いています。

 Scrivensさんは、自身の経験を振り返り、ブログメディア「Drawar」の記事で以下のように述べています。

これまで多くのプロジェクトをスタートさせてきた。中には、立ち上げられないままのものや、他者の手に渡ったものもある。多額の収益を生み出せたかという観点でいえば、これらは失敗だとみられるだろう。しかし、前進して何かを学ぶという意味では、どれも失敗だったとは思っていない。問題なのはむしろ、「失敗したくない」という思いから、それらを手放せないケースが多いことだ。

その理由は何だろう?そのひとつは、自分が満足できるところに、プロジェクトを着地させるために必要なものが何か、自分でわかっているからだ。あとは実行あるのみ、というわけ。しかし、ほかのものを見つけてもなお、そのプロジェクトを成功させられると自分に言い聞かせてしまうことがある。

成功するか?失敗するか?その確率いかんで、プロジェクトのスタート自体が面倒になるのはなぜだろう?人生は学習の積み重ねだが、それは座学や書物のみによって成立するものではない。実践から、新たなことを学ぶことができる。自分にとっては、すべてのプロジェクトがこれに役立ってくれている。

失敗は、自分の名声にかかわると考えるかもしれないが、失敗に耐えて、その向こう側にある成功をつかむことができる。言い換えれば、前進するためには、ときにはプロジェクトを途中で断念することも必要。プロジェクトを終わらせることで、自分の貴重な時間や資源、思考を、将来のプロジェクトのために確保するのだ。前進し、次のプロジェクトに挑戦しよう。

成功も挫折も知らず、楽しみも苦しみもない中途半端な人生を送る貧しい魂よりも、失敗もありながら、偉大なことをやりとげ、輝かしい勝利をつかむほうがずっといいセオドア・ルーズベルト

成功とは、情熱を失うことなく、ひとつの失敗から次へと向かう能力だウィンストン・チャーチル

政治家や実業家など、世で「成功者」と言われる人々も、輝かしい成功の裏には失敗や挫折もあるもの。そこから何かを学び、ふたたび前進したからこそ、今日があるというわけです。人生やキャリアの「成功」を中長期で捉え、次への更なる飛躍のため、「いまは退く」という決断もときには必要のようですね。

Letting Things Die [Drawar]

Paul Scrivens (原文/訳:松岡由希子)