巷では空前のマラソンブームとも言われているようです。帝国ホテルの「ジョギングステイ」やグランドプリンスホテル赤坂の「アカサカランナーズ」など、皇居近くの一流ホテルではジョガーさん向けの宿泊プランを提供しはじめているほどです。

そして、日本のみならず、米紙「ニューヨークタイムズ」によると、米国でも過去10年間でマラソン人口が20%アップ。これに伴って、ジョギングが原因でケガをする人も増えているそうで、フルマラソンに向けてトレーニングしたことある人の90%がケガの経験を持つという研究結果もあるそうです。

それに関連して、米紙「ニューヨークタイムズ」では、ジョギングでケガをしやすい現代人について考察しています。

 そもそも、ヒトは、汗腺のおかげで暑さにも強く、スプリント型の四足歩行の動物よりも長距離走行に向いている生物なのだとか。また、狩猟時代の人々は、シューズなしで舗装されていない凸凹道を長時間走ったり、歩いたりしても、体を痛めることはあまりなかったとのこと。つまり、人間は元来、走ることに不向きというわけではないようです。

では、現代人はなぜ、走るとケガをしやすいのでしょう?

小さい頃から継続して体を動かしていると、腱や筋肉も鍛えられるのですが、大人になってから急にジョギングをはじめると、長距離を走れるほど体が強くなっていないので、ケガをしやすいのだそうです。また、ハイテクなシューズを履き、人工的に舗装された道で走っていると、好ましくないフォームになりがちで、これがケガにつながるケースもあるのだとか。

これを前提に、ジョギングを安全に楽しむためのコツとしては、長い期間をかけて、ゆっくり少しずつトレーニングすること。また、狩猟時代の人々が狩りの途中で歩いながら休憩していたように、走ることばかりにこだわらず、時には"歩き"をはさむこともポイントです。

このテーマについては、Christopher McDougall著『Born to Run: A Hidden Tribe, Superathletes, and the Greatest Race the World Has Never Seen』でも詳しく紹介されています。ご関心のある方はぜひどうぞ。

The Human Body Is Built for Distance [The New York Times]

Sarah Rae Trover(原文/松岡由希子)