一部では景気後退が終わったとの見方はあるものの、依然不透明な経済情勢。米紙「ウォールストリートジャーナル」によると、米国でも支出や借金を減らし、貯蓄する傾向にあるそうです。

とはいえ、「何のためにいつ、どこまで貯めればいいのか?」を把握し、そのとおりに貯蓄するのはなかなか難しいところ。同紙の記事では、タンスの仕組みを貯蓄に応用するというユニークな方法を紹介しています。

そもそも、なぜタンスの仕組みが貯蓄に使えるのでしょう? それはタンスが、普段よく使うもの、季節に応じて使うものなど、目的や用途に応じて整理するという思想のもとに作られている身近な家具だからです。

たとえば、生活費の備えはさながら下着コーナー。洗濯物が乾きづらい時期に備えて下着を多めにストックしておくように、万一の病気や失業に備えて、家賃やローンの支払・生活費といった必要経費を数か月分は貯蓄することが不可欠といった具合。

では、ライフステージにあわせて、どのような貯蓄をすべきなのか、見ていきましょう。

1:就職したての時期(20代前半)

貯蓄用と借金返済用の2つの区別は必要。就職当初の給料から貯金をするのは大変かもしれないが、習慣化することが大事。一方、クレジットカードの支払など債務の支払額が過大になれば、これを清算する必要があるかもしれない。これら2つの"棚"のバランスがとれれば、さらに、老後の備えのための貯蓄や趣味・余暇のための資金に、新しい"棚"を設定してもよい。

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2:家族ができたら(20代後半~30代)

オムツ代や日々の育児は家計にそれほどインパクトを与えないが、子供の将来に備えて教育費のための"棚"はつくっておいたほうがいい。子供が小さい頃から備えておけば、その分、蓄えは増える。また、病気や失業に備えた臨時家計分や老後の備えのための"棚"も必要。

3:子供が自立したら(50代~60代)

子供が自立したら、自分たちの退職後に備えた貯蓄に専念すべき。しかしこの時期は、実はなかなか貯蓄が難しい。子供の経済的な自立は遅くなりつつあるし、親の介護や療養にお金がかかることも多いからだ。

4:退職したら(60代~)

全ての貯蓄"棚"を整理する時期。時間軸で貯蓄を分けておくのがポイント。今後5年間の生活に必要な資金を予測し、現金預金と株式などへの短期的な投資の割合を決めると同時に、ここ5年から10年は必要ない資金は中期預金、20年は必要ない資金は長期預金として分けておく。また、生活費のほか、レジャー用の資金は別に管理するのもよい。

先のことを一度に見通すのは難しいですが、ライフステージごとに大まかな家計プランは立てておくほうが望ましいですね。これらのコツを参考に、中長期の視点で家計を見直してみてはいかがでしょう?

A Savings Plan That Will Sock You Into Action [Wall Street Journal via Sree Sreenivasan/Twitter]

Kevin Purdy(原文/松岡由希子)