こんにちは。セールスコンサルタントの伊庭正康です。

あなたの会社にも、人事異動のタイミングがあると思います。恐らく、大きな変更があるとしたら決算月または半期決算月ではないでしょうか。そこで常に発生するのが、 “人事異動前は身動きがとりにくくなる”という問題です。

もちろん、自分が異動するかもしれませんし、そうでなかったとしても方針やミッションが変わる可能性があります。“下手に動くと、結局は徒労で終わる”といったことにもなりかねません。

では、この時期あなたは、待つ人ですか、待たない人ですか?

目端の利く人は、まだ何も決まっていない時から準備に入っています。スタートダッシュの遅れが、次の計画を達成するためのリスクとなることを知っているからです。

この春が人事異動のタイミングの人も少なくないでしょう。そこで今回は、出遅れないためにも、人事異動が決まる前から動くコツをご紹介します。

伊庭 正康 株式会社 らしさラボ 代表取締役

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リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社 らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理など、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。近著に、『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』(日本実業出版社)』『数字を上げる人のセールストーク・営業のキホン(すばる舎)』など著書多数。「無料メールセミナー」も好評。公式サイト

人事発令が出てからでは、遅い!

情報を制する者は戦いを制す」と言います。上司、同僚はもちろん、取引先などから情報を探りながら、先に動く、これこそがビジネスの定石です。

ある著名な飲食コンサルタントから聞いた話です。「ダメな店長は人がいなくなるとわかってから募集をかけ、できる店長は、部下の生活環境の変化などを把握し、人がいるうちから募集をかける」のだと。

これは、人材募集に限らず、何ごとも「わかってから動いては遅く、情報を収集した上で予見して動く」ことの大切さを示唆するものでしょう。

まず、人事異動の発令前にやるべきことは、3つです。

・情報を把握する(上司、同僚、取引先などと会話をする)。

・その上で、準備できることは、1日でも早くやっておく。

・先に提案しておきたいことがある場合は、先にしておく。

これだけでも、仕事の成果は大きく変わります。

一例を紹介しましょう。私がかつて勤めていた会社に、与えられたすべての目標を達成した敏腕な部下がいました。彼は10年間、営業・営業管理職に従事し、四半期目標を1度も未達成になったことがないのです(なんと累計40回)。偉業としか言いようがありません。

ただ、着目すべきは、彼とほかの人との違い。スキルも高いのですが、特筆すべきは「情報を入手し、早い時期に段取りをつけている」ことでした。

たとえば、上司から「来期は新規開拓に注力する必要がある」と聞けば、あらかじめ新しい販促手法(新規開拓のやり方)を考えて、上司に提案。「残業の抑制が課題になる」と聞けば、先んじてアシスタントを採用する準備もしていました。すべて、人事発令が出る前のことです。

人事発令の前に進めておくべきこと

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Image: blocberry/Shutterstock.com

では、どんなことを先に進めておけばよいのでしょうか。代表的な例を紹介します。

・異動の可能性があっても、「その先の提案」を進めておく。

・異動の可能性があっても、「備品の不足」が予見されるなら手配する。

・異動の可能性があっても、「人不足」が予見されるなら手配する。

・異動の可能性があっても、「宴会・パーティー」の習慣があるなら手配する。 

・今期の利益が計画以上に出ているのであれば、「余裕があるからこそできる」ことを考える。

・異動がなかったとしても、いつでも引き継げるように資料だけはそろえておく。

できることは、たくさんあります。結局は、「コストの持ち出しになってしまうリスク」「撤退できないリスク」を避ければ問題ないということ。また、ほかの会社を巻き込む際は、先に事情を伝えれば問題ありません。

余談ですが、前述の目標を外したことがない彼ですが、その後は最年少で部長職となり、役員の道も期待されていたのですが、フリーのコンサルタントになるため退職をしました。

しっかり業務の引き継ぎを終えた彼に尋ねました。「家族がいるのに、収入は大丈夫?」。なんと、独立初月の月収が会社時代の3倍だと言うのです。常に先のことを考え、準備をしている彼らしい状況だと関心をしたものです。

あえて、ビジネスパーソンを2つに分けると「待つ人」と「待たない人」に分けることができます。しかし、待たないことは、仕事の成果はもちろん、長い目で見てもリスクヘッジができることでもあるのです。ぜひ、人事異動のタイミングがあれば、「待たない人」になるきっかけにしてください。


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