こんにちは。家計再生コンサルタントの横山光昭です。

長く続いているマイナス金利時代にあって、どのようにすればお金が貯まるのか、お金を有効活用できるのか、考えている人は多いのではないでしょうか。

そこで、マイナス金利時代に合わせた、貯蓄を増やす方法を考えてみたいと思います。

横山光昭(よこやま・みつあき)

横山光昭さん

家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー 代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は55万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計270万部となる。また、お金の悩みが相談できる店舗を展開するmirai talk株式会社の取締役共同代表も務める。

マイナス金利はいつまで続くの?

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Image: Markus Gann/Shutterstock.com

日銀による「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」政策が導入されたのは、2016年1月。超低金利時代に突入し、今年で4年目になります。

金融機関が日銀に預けるお金の一部の金利がマイナスとなったため、私たちの預貯金の金利もほぼゼロと言ってもよいほど低い状態になっています。これは皆さん周知のことですよね。

このマイナス金利は、経済を活性化し景気に良い影響を与えたという評価がある一方で、物価上昇率2%を達成できず、地方銀行の経営を悪化させるなどの悪影響についても話題となり、賛否両論ある政策です。

私たち生活者も、預貯金しても増えない一方で、住宅ローン金利が下がりマイホームを持つことを検討しやすくなったり、正直、良いんだか悪いんだか、という印象を持っているのではないでしょうか。

このマイナス金利は、一体いつまで続くのでしょうか。

預貯金をがんばっても増えることはないし、長期保有で目減りする可能性が大きいと言われてしまうと、少々心配です。

物価上昇率が1.4%まで上がった、という報道があったかと思えば、少し経つと「景気は下方修正」などと言われ、良い状況なのか、悪い状況なのかすらわかりにくくなっています。

デフレが脱却したと判断されれば、マイナス金利政策は終わりだろうということはわかっても、どういう局面で脱却できたと判断できるのか、物価上昇率だけで判断できるのかなど、疑問に思うことはたくさんあります。

ただ、今年に限っていえば、10月に消費税増税が控えています。景気は安定しない状態になるでしょう。

また、仮に景気が上昇し、物価上昇率が2%になったとしても、これまでに、ゼロ金利政策を解除した後に景気が後退した経験を2000年と2006年にしています。

安易にデフレ脱却の判断はしにくいので、様子を見ながら、もうしばらくは慎重にマイナス金利の状態を続けていくものと思われます。

ですが、アメリカも、EUもこういった金融政策は転換期を迎え、終了しています。日本も早くそうなりたいものです。

100万円の最適な運用方法は?

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Image: Qualit Design/Shutterstock.com

では、このマイナス金利時代、100万円が手元にあったとしたらどのように運用すれば良いのか。

預貯金しても増えない状況であり、かつインフレになると物価上昇でお金の価値が下がります

たとえば、100万円を持っていても、インフレ化すると95万円とか、90万円の価値しかないということになりかねないのです。貯蓄した金額自体は減らないけれど、価値が下がるということです。

こうなると、単にお金を持っているだけでもリスクがあるといえます。

同じリスクがあるのであれば、できるだけ最小限のリスクに抑えつつ、預貯金よりも大きな利回りで運用することを考えた方が得策です。お金の価値が下がるリスクに備えることにもなります。

低リスクでおすすめの投資は?

その運用とは「投資」です。なかでも、長期的に積み立てながら分散投資ができる、投資信託を積み立てていくのが良いと考えます。

100万円があるのなら一気に投資に当てるのではなく、毎月コツコツ積み立てるやり方のほうが、日々の相場の影響を受けにくく、特に初心者には良いのではないかと思います。

そして、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」などは、積み立て投資がしやすく、非課税での運用ができるので、投資をはじめるのなら検討の対象になると思います。

やり方によっては3%ほどの運用益を目指すこともできる可能性があり、預貯金よりは効率が良い資産の持ち方です。

おすすめしにくい投資は?

ほかに、外貨預金、国債、貯蓄型の保険なども検討材料に入るかと思いますが、外貨預金は為替リスクがありますし、国債はリスクがない代わりに利率もあまり良いとはいえません。

貯蓄型の保険は、保険部分と貯蓄部分が混同している場合が多く、貯める増やす目的としては効率が悪いですし、満期が来る前に解約すると元本割れになることもあるため、あまりおすすめはしません。

家計優先で無理なく、貯蓄するには?

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Image: Leigh Prather/Shutterstock.com

マイナス金利の状況下では、預貯金で資産を保有するよりは、投資信託を積み立てていく方が効率が良いことはおわかりいただけたかと思います。

ですが、単に「投資が良いというならすぐはじめよう」というのはいけません。

投資をするにはまず、家計の状況が整っていなければ、家計が破綻する方向に傾いてしまいます。

家計の状況が整っている状態とは、毎月の収支が黒字であることと、万が一の時に生活を守るための現金が準備できている状態のことです。

生活防衛資金として手元に残す貯金額は?

たとえば、毎月のやりくりがイレギュラーな支出があっても乱れないように、使えるお金として生活費の1.5カ月分を準備し、生活防衛資金としては最低でも生活費の6カ月分を準備します。

ここ数年以内に使う教育費や、マイホームの頭金などは別に準備します。これらの生活防衛資金や別の準備資金が揃ってから投資をはじめると安全です。

ただ、今の景気では、生活防衛資金をつくるにはかなりの期間が必要というケースもあります。その場合、毎月きちんと貯蓄をしつつ、その一部の少額を運用資金として積み立てていく、並走させるやり方もあります。

運用をはじめるには、家計の基盤をしっかりつくることが前提になる、ということを忘れないようにしてください。

預貯金だけでは効率よくお金が増えていかない今、リスクの少ない運用を考えることは、100万円を減らさず、増やしていくために、マイナス金利時代を乗り切るために必要な考え方でしょう。

長引くこの低金利時代に合わせて、無理なく賢く、資産形成させていきましょう。


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