体や心に何らかの障がいを持つ方への支援は、その多くが就労支援など福祉の色合いが強いものでした。
IBMが運営するWebメディアMugendai(無限大)に、障がい者とともにつくるビジネスを展開する方々が登場。しかもその領域が、ビジネスとして成功させるには難しいとされるアートだというのです。
「かわいそう」への反発心。自閉症の兄を持つ双子が起業した理由
インタビューに登場していたのは、株式会社ヘラルボニーの社長と副社長で一卵性双生児の、松田崇弥さんと文登さん。
自閉症と診断されたお兄さんがいるお2人は、障がいを持つ人が「変な人」「かわいそう」と思われる現状に、幼い頃から違和感を覚えていたといいます。
そんな折、障がい者のアート作品を見て「自分では到底描けない」と感銘を受けたことをきっかけに、それぞれ勤めていた広告代理店とゼネコンを辞め起業。
アート分野はただでさえビジネス化が難しいジャンルと言われますが、お2人は障がいを持った方が生み出す芸術作品の素晴らしさを知っていました。
実際に、たとえば自閉症の方は決まった行動にこだわる特徴があるといい、その特性がキャンバスに向かうと、繰り返し色を塗ったり、同じモチーフを描き続けたりといった、独特な作品を生み出すことがあるそうです。

工事現場にアートを。関係者すべてが幸せになるビジネスモデル
記事で紹介されていたもう1つの事例が、同社がライセンス事業の一環として展開する「全日本仮囲いアートミュージアム」。これは、建設現場の仮囲いにアートを掲載するプロジェクトで、山手線新駅として誕生した高輪ゲートウェイ駅でも開催されました。
仮囲いに作品を掲載し、作家に使用料が還元されるビジネスモデル。社長である崇弥さんも当初は半信半疑だったそうですが、この成功を後押ししたのがゼネコン出身の文登さんでした。
公共工事には「工事成績評定」と呼ばれる、施工状況や出来ばえ、技術などが採点される仕組みがあり、80点以上なら次の入札で優遇されやすくなるそう。
文登さんはここに着目し、仮囲いアートミュージアムを成績評定に加えることに成功。今では、全国10カ所以上で催されるほどとなりました。
同社はさらに、アート作品をトートバックにする新ビジネスも展開。広告費を出す企業、アートを生み出す障がい者、それを見て楽しむ人々など、関係者すべてに有益となる仕組みを生み出したのです。

同社がミッションとして掲げるのが「異彩を、放て」。障がいがある人々の個性や可能性を「異彩」と呼んでいるそうで、「彼らだからこそ描ける世界があり、できる仕事がある」と、以下のように語っています。
文登:福祉の分野でビジネスの話をすると、「そこまではちょっと」という雰囲気になってしまうことがしばしばあります。なので、「障がいがある方の個性が評価される仕組みをアートを通じて構築したい」という弊社の思いをしっかりとお伝えするようにしています。
崇弥:根底にあるのは、できないことを補おうとするのではなく、できることに照準を合わせた仕事づくりが実現できれば、さまざまな能力を生かせる社会になるはずだという思いです。
その他にも、同社が掲出し話題となった「この国のいちばんの障害は『障害者』という言葉だ」という意見広告の話題など、福祉に興味のある方もビジネスパーソンも楽しめるインタビューの続きは、Mugendai(無限大)よりお楽しみください。
Image: Mugendai(無限大)
Source: Mugendai(無限大)