生産性のあくなき探求において、ToDoリストは不可欠なツールです。
巷には、生産的なToDoリストを維持するための数えきれないほどのアプリ、戦略、理論、手法があふれています。
でも、それって間違っていませんか? ToDoリストが、むしろ足かせになっていませんか? 実は、生産性の高い人たちの多くは、ToDoリストを使っていません。
彼らのアイデアに学び、ToDoリストを使わずに生産性を高める方法を考えてみましょう。
ToDoリストが非生産的な理由
もちろん、タスクリストにもメリットはあります。でなければ、こんなに流行っているはずがありません。でもその裏には、深刻なデメリットもあるのです。
たとえば、ToDoリストは先延ばしのツールにもなりえます。
仕事中、タスクに着手せず、ただリストをいじっていたことはありませんか。私自身、そんな経験が何度もあります。ToDoをいじっていると、実際は何も進んでいなくても、なんとなく生産的な気分になれるのです。
別のデメリットとして、ToDoは「自分は十分にやった」という感覚を鈍らせます。
なぜなら、リストの全項目がクリアされることなど、ほとんどないからです。筆者の場合、確か3,4年前に1度あっただけ。つまり、ToDoリストで生産性向上の方法は見つけられても、充足感は得られないのです。
ToDoリストが永遠に空白にならない理由
ToDoリストの全項目をクリアできない理由の1つは、時間を考慮していない点にあります。きわめて詳細なリストを作っているなら別ですが、10時間の仕事と10分の仕事が並列に並んでいるケースがほとんどでしょう。
同じ理由で、すぐに終えられる重要でないタスクをたくさんこなすだけでやった気になってしまうという弊害もあります。
いずれにしても、常にやることがあるのはいいことだと思うかもしれません。でも、あまりにリストが多いと、プレッシャーで判断力が鈍ります。
たとえばリストに47個のタスクがあると、脳はそれを拒絶しはじめます。プレッシャーのあまり、ネガティブな感情が沸き起こることもあるでしょう。
そうなるとあなたは完全にマヒ状態になり、何も手に着かなくなります。
もちろん、ToDoリストで生産性が高まっている人も大勢います。ですから、自分にぴったりの生産性向上システムを見つけることが何よりも先決です。ToDoリストを使うも使わないも、あなた次第なのです。
ただ、筆者はToDoリストではなく、以下の方法をオススメします。
カレンダーで生きる
Daniel Markowitz氏は、Harvard Business Reviewの記事において、「living in your calendar」というタスクリストを紹介しています。アイデアはシンプルで、各タスクの長さを予測して、リストからカレンダーに移動するだけです。
タスクをスケジュールに組み込むことで、単なるToDoリストの代替ではなく、たくさんのメリットがあります。
まず、特定の行動に専用の時間が与えられていると意識することで、そのタスクに集中できるようになります。また、スケジュールの詰め込み過ぎを避けられるという人もいます。
現在進行中のタスクの数を可視化することで、優先順位をつけやすくなるとともに、新しい依頼を受け入れるかどうかを判断しやすくなります。
Kevin Kruse氏は、ビリオネア、オリンピック選手、オールAの学生、起業家200人以上に対し、タイムマネジメント術や生産性向上テクニックをインタビューしています。
その中で、ToDoリストを使っていると答えた人は何人いると思いますか? なんと、ゼロです。でも、Living in your calendarを実践している人はたくさんいました。
過去にタイムブロッキングを紹介しましたが、Living in calendarは、まさにそれです。特定のタスクに専用の時間を決めて、それを守ればいいのです。
2分間ルール
ToDoリストがすぐに埋まってしまう理由は、小さなタスクを詰め込み過ぎだから。そのせいでタスクの数ばかりが目立ち、ストレスへとつながります。
この対策として便利な方法が、2分間ルール。「2分以内に終わるタスクなら、リストに加えずにその場でやる」というシンプルなルールです。
これだけで、驚くほどの項目がリストから減ると思います。クレジットカードのアクティベーションをする、メールを返す、席を立ってストレッチするなどなど、ちょっと考えるだけで、2分でできることの多さにきっと驚くことでしょう。
こうしてリストから項目を減らしていくうちに、いつの間にかリストそのものが不要になっているでしょう!
習慣の構築に集中する
やらなければならない大きなタスクについては知っているでしょう。
重要なタスクを先延ばしにするために、小さなタスクが使われていることもわかっています。では、リストにずっと残っている「家の掃除」「食材の買い出し」「メールの整理」などのタスクはどうしたらいいのでしょう。
そんなときこそ、習慣の出番です。
帰宅前の30分(あるいは出社直後の30分)に、受信箱の整理をする習慣をつけてみてはいかがでしょう。食材は決まった曜日の会社帰りに買って帰ることにしてみては? 不在時の電話への折り返しは、曜日を決めてみては?
習慣は、何もないところから作れます。習慣を増やしていくたびに、ToDoリストから項目が減っていくでしょう。
最終的に、大きなタスクのみが残ります。そのときこそ、タイムブロッキングやカレンダーが真価を発揮するときです。
タスクの自動化と委任
繰り返します。リストを埋めてストレスの元凶になっているのは、小さなタスクです。この問題には、自動化が役立ちます。
たとえば、お金関係は自動引き落としにすることでかなりの時間を節約できます。フォローメールの自動化も、(送っているメールの量にもよりますが)かなりの時間節約になるでしょう。
デジタルタスクの大半は、IFTTTやZapierで自動化できます。スマートホームテクノロジーを使えば、家回りのことも自動化可能です。それから、Arduinoを使った家の自動化も検討してみてください。
自動化が無理なら、誰かに頼みましょう。助けを求めるのは難しいかもしれませんが、うまく頼めるようになれば、人生が大きく変わるはずです。
家回りのことなら、配偶者や子どもに頼んでみましょう。職場でなら、あなたのタスクをうまくこなしてくれそうな人を選びます。友達どうしでも、次の集まりの幹事を任せてみるだけで、あなたの時間節約につながります。
身の回りに頼める人がいないなら、アシスタントを雇ってみては。特に、週に数時間程度のかんたんな仕事を頼むなら、バーチャルアシスタント(VA)がお得です。あなたの生産性向上に、VAはかなり頼りになる存在です。
自動化や委任は、最初はそれなりの時間がかかりますが、ひとたび動き出してしまえば、驚くほどの効果を生み出してくれます。
それでもダメなら、リストの作り方を変えてみる
すべてのタスクをスケジュールに組み込み、2分間ルールを実践し、習慣を改善し、自動化や委任の方法を見つけたら、もはやToDoリストは不要になっていませんか? それでもまだ手放せないなら、ToDoリストそのものの作り方を変えてみましょう。
私のオススメの方法は、3アイテムToDoリスト。その名の通り、3つだけタスクを書き出すリストです。

3つに限定されているため、優先度の高いタスクを選ばなければなりません。これで、大きなものに集中できるはずです。
かんたんではありませんが、試してみる価値はあると思います。リスト上のタスクを減らしていくプロセスは、かなりの解放感が得られますよ。
ToDoリストをやめて生産性を高めよう
生産性向上を求めてこの記事にたどり着いた人は、ToDoリストを使わないというアイデアに驚かれたかもしれません。確かに、多くのアドバイスに反する方法なので、奇妙に映るのもわかります。
でも、確かな証拠がたくさん出ているので、ぜひ試してみてください。生産性向上の営みには、終わりがありません。それでも、ToDoリストを捨てることが、あなたにとって次なるステップになると信じています。
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Image: MakeUseOf
Source: Harvard Business Review, Forbes, James Clear, Becomming
Original Article: How to Be More Productive Without a To-Do List by MakeUseOf