さりげなく香る香水は素敵な印象を与えてくれますよね。自分が気に入った香りを選ぶことはもちろんですが、その香りがまわりの人にどんなイメージを与えるかということも気になるもの。あまりに大人っぽすぎたり、若すぎたりする香りはチグハグな印象を与えてしまうかもしれません。

香水は一度もつけたことがないという初心者の方から、今選ぶとしたらどんな香りがよいのかわからない、というブランクのある方まで、香水マニアのMR. FRAGRANCEさんに10代、20代、30代、40代それぞれの世代に向けたおすすめのメンズフレグランスを教えてもらいました。

ルイ・ヴィトンやエルメス、ブルガリ、トムフォードといったハイブランドの香水から、日本のブランドの香水、人気のムスク系の香水など、さまざまなものがあるので、香水選びの参考にしてみてください。

MR. FRAGRANCE

MR. FRAGRANCE

香水に関わる仕事に携わりながら、6年前にブログで香水の情報を発信するブログを開設。YouTubeやTwitterなどのSNSでも香水の情報を発信している。フレグランスセールススペシャリスト。

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■目次

香水についての基礎知識

-香水の濃度や持続時間

-香水の形状

香水の上手な選び方

-香りのグループを知る

-香りの変化を知る

-価格帯から選ぶ

年代別おすすめ香水ランキング

-10代におすすめの香水5選

-20代におすすめの香水5選

-30代におすすめの香水5選

-40代におすすめの香水5選

香水のつけ方や注意点

-3プッシュを目安に

-首もとはなるべく避ける

-余った香水はルームフレグランスに

香水についての基礎知識

Image:gettyimages
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選び方のヒントにするためにも、まずは香水について基本的なことを知っておきましょう。

香水の濃度や持続時間

香料やエタノールが香水にどのくらいの割合で含まれているかによって、香りの濃さや持続時間が変わります。一般的な香水の種類としては以下の4つがあり、下の図の左から右にいくにつれて香りの濃度が高くなるとされています。

オーデコロン < オードトワレ < オードパルファン < パルファン

香水の濃度と名称に明確な決まりはなく、ブランド側がイメージで名称を使うこともあります。高級感を出すために、そこまで濃度が高くない香水を「パルファン」として販売したり、逆に軽い印象を与えるために、濃度が高い香水を「オードトワレ」として売り出したりすることもあるため、実際に香りが強いのかどうかは名前だけではわからなくなっている部分もあります。
また、濃度が高い香水でもシトラス系は香りが飛びやすかったり、ウッディ系は香りの持ちがよかったりと、香りの種類によって持続時間が異なる面もあります。

香水の形状

香水にはスプレータイプやロールオンタイプ、バーム状に固めてある練り香水などがあります。ロールオンタイプや練り香水は、つけるときにまわりに香りが飛び散らず、つける量も調整しやすいという利点があります。

最近の流れとして、環境に配慮した詰め替え可能な「リフィラブル」な香水も増えてきています。瓶を捨てずに中身だけ移し替えられるので、ゴミを減らせますし、容器がシンプルな分、通常よりも安く入手できるものもあります。

香水の上手な選び方

Image:gettyimages
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香りのグループを知る

香水にはさまざまな香りがありますが、代表的な香りとして、花の香りを連想させるフローラル系、柑橘系の香りのシトラス系、落ち着きのある木の香りのウッディ系、葉っぱの香りを思わせるグリーン系、石鹸の香りのサボン系、お菓子を連想させるような甘い香りのグルマン系などがあります。

サボン系の香り、フローラルの中でも金木犀の香り、紅茶の香りなどが人気の香りです。サボン系は昔からの定番ですが、紅茶や金木犀の香りはここ1〜2年でブームになっています。

香りの変化を知る

香水は肌につけると、時間の経過とともに少しずつ香りが変わっていきます。最初に香るトップノート、少し時間が経ってから香るミドルノート、最後に香るラストノート、それぞれの印象がかなり変わるものもあるので、つけた瞬間だけでなく、時間が経ってからの香りも確認しておくと失敗が少ないでしょう。

香水は香りの変化を想定して作られています。ぜひ香りの変化を楽しみながら、5分経ったときの香りと、6時間経ったときの香りを比べてみてください。

価格帯から選ぶ

高価でも「よいもの」が欲しいという消費者のニーズからか、高価格帯の高級香水が流行しています。ニッチフレグランスと呼ばれる希少香料を使用した独創的な香水の台頭もあり、香水の価格は全体的に上がっている印象を受けます。 いきなり高価な香水を購入することに抵抗がある場合は、香水の量り売りやサブスクリプションサービスを利用して、まずは気になる香りを試してみるのもよいでしょう。

年代別おすすめ香水ランキング

Image:gettyimages
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MR.FRAGRANCEさんに10代、20代、30代、40代、それぞれの年代別におすすめの香水を1位から5位まで選んでいただきました。

10代におすすめの香水5選

若々しさやフレッシュな印象を与える香りで、できるだけ手に入れやすい価格帯のものを選びました。どれも香りの個性が強すぎないので、使いやすいでしょう。若年層には特にユニセックスな香りが流行っている印象があるので、中性的な香りを多く選んでいます。

1位 ブルガリ プールオム オードトワレ 50mL

Image: Amazon.co.jp

ダージリンやカルダモン、ムスクが香る、心地よくリフレッシュできるフレグランスです。香りのタイプはウッディ、フローラル、ムスク。

ダージリンの香りを表現した定番の香り。香水好きの間でも名作と言われています。親しみやすいムスクや紅茶といった香りがベースになっていて、価格の割に高級感が感じられます。

2位 ゲラン アクア アレゴリア ココナッツ フィズ 75mL

Image: Amazon.co.jp

ココナッツウォーターを明るいベルガモットが引き立てる、ジューシーでみずみずしい香りの香水。

ホワイトフローラル系の香りにココナッツの香りが入った、ココナッツの甘さと桃のようなフルーティさのある香水です。あまり癖がないので、つける人を選ばないでしょう。アクアアレゴリアシリーズはゲランの中でも比較的手頃な価格設定であることも魅力の一つです。

3位 クヴォン・デ・ミニム ボタニカルコロン アクアマジェスタエ 50mL

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ミニム修道院のオスマンサス(金木犀)の庭園をイメージした香り。トップノートにアカシアとシトロン、ミドルノートにオスマンサス、最後にシダーウッドが香ります。

金木犀とウッディなアカシアの香りの香水。フルーティなフローラルさもありつつ、ウッディでもあるので、上品な印象を受けます。エルメスの専属調香師として成功したジャン=クロード・エレナがこのブランドの監修をしていることでも有名です。

4位 ニコライ フィグティー 30mL

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トップノートにオスマンサスとオレンジ、次にジャスミンやダバナ、コリアンダーが香り、最後にマテ茶、ユソウボク、アンバーが香る、洗練された軽やかなフルーツティーを表現した香水です。

ニコライはゲラン家の血を引く女性が創業したニッチフレグランスのブランドです。金木犀とちょっとスモーキーなマテ茶がミックスされたような香りで、10代に限らず、どの年代にもおすすめできます。

5位 ジェイセント 沈香 オードパルファン 50mL

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トップノートにオレンジピールとシナモン、ミドルノートにシダーウッドとベチバー、ラストノートにサンダルウッド、アンバー、ムスクやパチョリが香る、上品でモダンさのあるミステリアスな香りの香水です。

ジェイセントは日本の香水ブランドで、香水メーカーには珍しく自社工場で生産をしています。「沈香」以外にも香りのバリエーションが多く、価格も手頃なことも魅力です。 ウッディな香りをベースに、トップノートはシトラスやオレンジピールが香り、甘いのにスッキリとしていて深みもある、使いやすい香水です。

20代におすすめの香水5選

社会人として働き始めるシーンを想定して、さわやかさや清潔感のある、身だしなみを整えてくれるような香水を選びました。

1位 ディオール ディオール オム コロン 75mL

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グレープフルーツブロッサムを軸にしたさわやかな香り。軽やかさがありつつ表現豊かな香りの香水です。

香りの構成要素がホワイトムスクとベルガモットとグレープフルーツフラワーの3つだけという、シンプルでありながらもさわやかさと深みのある香りです。単調な香りは安っぽくなりがちですが、この香りは上品にまとまっていて清潔感もあり、完成度が高いと感じます。

2位 ディプティック タムダオ オードトワレ 50mL

Image: Amazon.co.jp

ほのかにスパイシーでやわらかいサンダルウッドの香り。サイプレスとマートルによってサンダルウッドが鮮やかに引き立てられています。

クリーミーさのある白檀の香りがメインで、そこにムスクっぽい香りやアンバーの甘い香りが入り、肌につけるとやさしい石鹸のような清潔感のある香りが感じられます。人気のある定番の香りです。

3位 エディット ローズモヒート オードパルファン 50mL

Image: aquabouquet.co.jp

伝統的なアジア由来の香料が使用されたフレグランス。ライム、ペパーミント、ラム、スカッシュといった香りに始まり、マグノリア、ローズ、リリーの香りが広がり、最後にアンバーやシダーウッドの香りが残ります。

日本の朱肉ブランドが立ち上げたフレグランスブランドです。ミントや炭酸、ラム酒といったモヒートの香りがきれいに表現されています。さわやかで鼻に抜けるような清潔感もあり、使いやすい香水です。箱やガラス瓶、亜鉛製のキャップなど、容器にもこだわりがあります。

4位 メゾン フランシス クルジャン アクア ユニヴェルサリス オードトワレ 70mL

Image: 楽天

ムスキー、フローラル、シトラスの香りの清々しい、きらめくようなイメージの香水です。

イメージが「素肌と洗い立てのリネン」というだけあって、シトラス系の清潔感を感じる香りです。トップノートにベルガモットがさわやかに香り、そこに少しパウダリーなホワイトフローラルの香りが入って、ラストにムスクが香ります。女性にもおすすめの香水です。

5位 バイレード オードパルファン ジプシーウォーター 50mL

Image: 楽天

トップノートにベルガモット、レモン、ペッパー、ジュニパーベリーが香り、ミドルノートにお香や松葉、ジャーマンアイリスが、最後にアンバーやバニラ、サンダルウッドが香るエキゾチックなフレグランス。

バイレードはスウェーデンのブランドで、ファッションブランドとのコラボや、バイレードの創業者ベン・ゴーラム氏とイケアとのコラボなど、ユニークな取り組みでも注目されています。トップはわりとさわやかなシトラス系で、時間が経つにつれて甘い香りとウッディな香りが出てきて、さわやかでありながらも落ち着きのある香りです。

30代におすすめの香水5選

責任ある仕事に取り組むシーンも増えてくるので、そういったときに周囲に安心感を与えられるような、落ち着きのある大人のイメージの香りを選びました。

1位 アクア ディ パルマ ミルト オーデトワレ 75mL

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シトラスのトップノートに始まり、ミドルノートにマリンやジャスミン、バラが香り、最後にジュニパー、シダーウッド、アンバーノートが残る、フルーティーさが特徴の香水です。

100年以上前に創業された老舗ブランドのアロマティックな香水。トップはレモンやベルガモットのシトラス系、時間が経つとジュニパーベリーの針葉樹のような香りや、ハーブの香り、海を連想させるようなマリンの香りが入って、さわやかさと落ち着きが融合したような印象の香水です。ベーシックな香りなので、使う人を選ばないでしょう。

2位 ペンハリガン ジュニパー スリング オードトワレ 30mL

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ジンのカクテルに着想を得た香水。アンゼリカとブランデー、スパイス、レザー、イリスウッドが融合したアロマティックなタイプの香り。

ジントニックを意識したかっこいい印象の香水です。ウッディな香りも入っているのですが、軽やかさがあるため使いやすいです。

3位 ル ラボ サンタル 33 50mL

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広大な空の下でカウボーイが馬に寄りかかってタバコをふかしているような、古き良きアメリカにインスパイアされた香り。

これもウッディ系の香りです。ウッディな香りにスモーキーさが少しあるのと甘さもあって、肌にのせるとやわらかく香ります。ルラボ特有のムスクっぽい、やわらかな甘さを感じることができる香水です。

4位 トムフォード ウード・ウッド オードパルファン 30mL

Image: 楽天

トップノートにローズウッドとカルダモンが香り、ウード・ウッドとサンダルウッド、ベチパーのスモーキーな香りが広がり、トンカ ビーン、アンバーも加わった温もりと官能的な雰囲気のある香り。

ウードというのは香木の名前で、日本では沈香とも呼ばれています。ウードの香水は「重たい」「きつい」と敬遠されがちなのですが、これはそんなウードの印象を変えてくれるような香水です。 鼻に抜けるようなスッとする香りも入っていて、時間が経つとトンカビーンの甘い香りも出てきます。落ち着きと安心感がありつつ、意外と使いやすい香りです。

5位 エルメス H24 オードトワレ 50mL

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クラリセージ、スイセン、ローズウッドとスクラレンが合わさった、官能的で躍動感のある、きらめくような香り。

2021年に発売された、エルメスのメンズ香水としては15年ぶりの新作。ハーブやクラリセージといったアロマティックな香りを基調としているので、ベースがウッディ系でありながらさわやかさと落ち着きのある香りになっています。 少し甘さもあって、今のトレンドがきれいに取り込まれた作品です。昔からあったような使いやすい香りでありつつ、新鮮さも感じられます。

40代におすすめの香水5選

年齢に合わせて格上げした香水を意識し、上品さと高級感のある香りのものを選びました。

1位 ルイ・ヴィトン イマジナシオン 100mL

Image: louisvuitton

アンバーとブラックティー、シトラスの香りで、官能的でありながら現代的な魅力も兼ね備えた気品が表現されています。

2021年に発売されたばかりの香水です。シトラスの香りがメインでありつつ、あとからスモーキーさのあるブラックティーの茶葉の香りが広がります。 この香りの特徴になっているのがアンブロックスというアンバーの香りなのですが、この香りを表現するのに5年もの歳月がかかったそうです。時間が経つと出てくるアンバーの甘い香りがとてもよい香りで、安価な香水には決して出せない高級感のある仕上がりになっています。

2位 ブルガリ オ・パフメ オーテヴェール オーデコロン 75mL

Image: Amazon.co.jp

シトラス、アロマティック、フローラルの香り。プライベートタイムに深いリラックスをもたらしてくれるような香水です。

歴史的な名香として紹介されることもある、さわやかな緑茶系の香水です。お茶のさわやかさとお茶の粉のパウダリーな感じが、清潔感と落ち着きを与えてくれます。 リラックス感のある香りなので、気持ちを落ち着けるために使ったり、家でゆっくりするときに使ったりするのもよいでしょう。ホテルのアメニティにもよく使われていて、使う人を選ばない、嫌味のない香りです。

3位 エルメス テール ドゥ エルメス オードトワレ 100mL

Image: Amazon.co.jp

柑橘とペッパーの香りに火打ち石の香りが合わさった大地(テール)のイメージの香水。スパイシーでドライな香り。

ジャン=クロード・エレナという有名な調香師が作った香水です。オレンジなどの柑橘にウッディっぽさが合わさった香りなのですが、鉛筆の芯のような香りと表現される複雑さもあり、エルメスらしい高級感と落ち着きのある、上品な香りです。

4位 アールフレグランス オパールシルク オードパルファン50mL

Image: Amazon.co.jp

静寂と心を満たしてくれるやわらかな香り。香調はフレッシュ、オリエンタル。トップノートにマスカット、ヨーグルト、ミドルノートにローズ、ラストノートに乳香と白檀が香ります。

日本のフレグランスブランドの香水です。少しクリーミーで、肌馴染みのよいフランキンセンス(乳香)の香りに白檀のウッディっぽい要素もあります。 トップノートのヨーグルトとマスカットが全体をスッキリとした印象にしていて、優しめの香りですが長続きします。寝るときに使う寝香水としてもおすすめです。

5位 ビュリー オートリプル 大工の聖ヨセフ 50mL

Image: Buly

ウッド、ピンクペッパー、バーベナ、スギの香りの水性香水。ルーブル美術館とのコラボレーションで、ジョルジュ・ドゥラトゥール作の絵画「大工の聖ヨセフ」に着想を得てつくられた期間限定商品です。

大工というだけあって香り自体もウッディ系です。ヘリオトープという甘い香りが入っていて、やわらかく、上品で高級感のある印象を受けます。アルコールやエタノールを含まない水性香水なので、アルコールに弱い方や肌が赤くなってしまう方にもおすすめです。

香水のつけ方や注意点

どんなに素敵な香りでも、つける量を間違えると周りの迷惑になってしまいます。香水をつけるときはどんなことに気をつけるとよいのでしょうか。

3プッシュを目安に

一度につける香水の量は、手首に1プッシュずつ、ウエストあたりに1プッシュの合計3プッシュが目安です。

香水を控えめに香らせたいときや、逆にしっかりと香りを感じたいときはどのような方法があるのでしょうか。

香りは下から上に立ち上る性質があるので、ほのかに香らせたいときは、足首につけるのがおすすめです。逆に香りをしっかりと楽しみたいときはデコルテや鎖骨あたりにつけてみてください。 香水の1プッシュが多いと感じる方は、アトマイザーに詰め替えて使うことをおすすめします。アトマイザーは通常の香水のボトルに比べて1プッシュで出る量が少ないですし、ロールオンのアトマイザーを使うと一度につける香水の量を調整しやすくなります。

首もとはなるべく避ける

香水を首もとにつけると、近くにいる人に香りが広がりやすいので、「香水くさい」と感じさせてしまうことも。特に電車に乗る機会が多い方は注意したほうがよいでしょう。 首元は汗が流れることも多い場所です。香りが流れ落ちてしまったり、汗と混ざって嫌なにおいになったりすることもあるので、香水をつけ慣れている方以外は首もとは避けたほうが無難です。

余った香水はルームフレグランスに

香水を使わなくなったり、使いきれなくて余ってしまったりしたときはどうすればよいのでしょうか。

ルームフレグランス用のアロマストーンやセラミックディフューザーなどに香水を吹きかけて、ルームフレグランスとして使用するのがおすすめです。

おすすめの香水を参考に、気になった香水を試してお気に入りの1本を見つけてみてください。