ロボットに職を奪われるのは、もはやSFの世界だけの話ではありません。

ある試算によれば、世界の先進15カ国において、500万以上の雇用をロボットが奪う可能性があるということです。

また、カンボジアやインドネシアといった国の、とくに縫製産業においては、労働力の半分以上が機械に置き換わる可能性があります。

こうした情報が広まることにより、多くの人が、ハイテクスキルの習得に関心を持ちはじめていますが、その一方で、工作系のスキルを身につけるべきだと考える人たちも増えています。

ロボットが肩代わりできないスキル

2015年のギャラップ(世論)調査では、保護者の90%が高校でコンピュータサイエンスに注力してほしい回答していましたが、2016年のあるアンケート調査では、回答者の60%が高校では工作の授業を重視していると答えています。

良いニュースもあります。ロボットが肩代わりできないスキルもあるということです。

もしあなたがそうしたスキルを持っていれば、将来、ロボット技術が進歩しても職を奪われる心配はありません。

さらにいいことには、そうしたスキルの多くが移転可能であり、転職したり、業界を変わったりしても、キャリアアップに活用することができます。

以下に、ロボットに取って代わられる心配のない8つのスキルを紹介します。

1. 複雑な問題を解決するスキル

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Image: Startup Stock Photos

ロボットはとても賢そうに見えます。テック系カンファレンスでロボットのモンストレーションを見せられると、なおさらそう感じてしまうでしょう。

しかし、そうしたロボットは、プログラマーが教えたことを知っているに過ぎません。

もっとも、機械学習で動くロボットは、フィードバックを繰り返し与えることでどんどん賢くなるのは事実です。

たとえそうだとしても、IT担当者など、複雑な問題を解決するスキルを持っている人は、ロボットに職を奪われることを心配する必要はありません。

複雑な問題を解決するスキルを磨きたい人は、DelftXが提供するコース「Creative Problem-Solving and Decision Making(創造的な問題解決と意思決定)」に登録しましょう。

このコースでは、分析的思考因果モデルゴールツリーなどを使って、難しい問題を解決する方法を学びます。コースの所要時間は20〜40時間で、自分のペースで学習することができます。

Creative Problem-Solving and Decision Making|DelftX(認定コース受講証明書の発行はオプションで50ドル)

2. プロジェクト管理、人事管理スキル

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Image: Unsplash

この、幅広いスキルを含むスキルセットは、さまざまな仕事に適用することができます。

iPhoneアプリを開発する20人のチームを率いている人にとっても、フォーチュン500に名を連ねる大企業で優秀で生産的な人材を管理している人にとっても、このスキルは必要不可欠なものです。

プロジェクトの一部をロボットに任せることはあっても、巨大組織のパーフォーマンスを包括的にマネジメントする仕事はロボットには、とうていできません。

また、人事管理には、心理学から人的資源に関する法律の問題まで、さまざまなテーマが含まれています。 人事管理の専門家が担当しているこうした仕事のすべてをロボットが肩代わりするのは不可能です。

Cybraryが提供する「Project Management Professional(プロジェクト管理プロレッシュナル)」コースは、プロジェクト管理と人事管理の両方のスキルを学ぶことができます。

テクノロジープロジェクトの管理をする人を対象としたコースですが、ほかの分野で働く人にも有益です。

このコースでは、プロジェクトの準備、計画、フェーズ管理などについて学んでいきます。所要時間は5.5時間で、CEU/CPEのクレジットを10ポイント取得できます。

コースのモジュール6では、人事管理担当者にとって特に重要な内容を扱っています。

そこでは、 プロジェクトのチームメンバーの集め方権限委譲のやり方ハロー理論など重要なテーマを学びます。

そのほか、スケジュール管理や予算管理といった科目もあります。

Project Management Professional(PMP)|Cybrary

3. 運動競技スキル

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Image: Thomas Borges

スポーツと、その観戦は、世界中で楽しまれている二大娯楽であり、オリンピックのようなスポーツイベントは、開催地にかかわらず大勢の観客を集めています。

プロのスポーツ選手は、チームスポーツや個人競技でライバルに打ち勝つために、体のコンディションを整えたり、新しいスキルを身につけたり、すでに持っているスキルに磨きをかけることに膨大な時間を費やしています。

プロスポーツは、ロボットの影響を受けづらい業界です。

ロボットがフィールドを走るのを観戦しても、あまりおもしろくはありません。プロスポーツの魅力のひとつは、人間ならではの不確実性にあります。

あなたがすでに活躍しているスポーツ選手で、スキルをもっと伸ばしたいと考えているなら、「Athlete Learning Gateway」コースが役に立ちます。

このコースには、スポーツ心理学運動生理学ベストパフォーマンスのためのスマートな食事といった科目が含まれています。

このコースが特徴的なのは、履修に時間がほとんどかからないことです。1時間以内で修了できる科目もあります。

スポーツに関する知識を身につけたいけどトレーニング以外のことにあまり時間を使いたくないという人は、こちらのコースをチェックしてみてください。

Full course library|Athlete Learning Gateway

4. 自信とリーダーシップのスキル

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Image: EnergePic.com

自信があると、人脈をつくったり、自分のスキルを表現したり、意見を述べることが、より簡単にできるようになります。

自信は、さまざまな形であなたの人生を助けてくれるものです。また、自信は、特定の職種、とくに法律関係では必要不可欠な特質でもあります。

弁護士が法廷で弁護をするときに、口ごもったり、足元を見つめてばかりいたら、裁判官はどのような印象を持つでしょうか。

また、リーダーシップスキルとは、チームメンバーに良い模範を示し、個々の才能を花開かせて、共通のゴールに向かってチームをまとめあげる能力であり、自信と同じく価値の高いスキルです。

ロボットはプログラムされた機械であり、人間が持つような自信やリーダーシップスキルを模倣することはできません。

自信を高めたいなら、「self-confidence.co.uk」が提供するオンラインコースを履修しましょう。

この6週間のコースに参加した学生たちは、よりリラックスできるようになり、ストレスの多い環境でもうまく立ち回れるようになったと報告しています。

リーダーシップスキルを伸ばしたいなら、International College of Management Sydneyの講師が指導する、「Management for a Competitive Edge」コースに登録してください。

このコースのモジュール4で、グループの作り方や、さまざまなリーダーシップスタイルの使い方など、リーダーシップの重要事項を学ぶことができます。

自信に関するコース|self-confidence.co.uk

Management for a Competitive Edgeコース|Open2Study

5. クリティカルシンキングと判断能力

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Image: RaxPixel.com

ロボットも批判的に思考し、判断を行いますが、そうしたスキルはプログラマーが与えた知識に基づいたものにすぎません。

また、ロボットは学習もしますが、そのための情報を与えるのはプログラマーです。たとえ教育を施されたロボットであっても、人間のようにすばやく、知識に基づいた意思決定を行うことはできないでしょう。

クリティカルシンキングと判断能力を高めたい人は、 ハーバード大学が提供する、オーディオコース「Critical Reasoning for Beginners(論理的思考入門)」に参加しましょう。

6つのポッドキャストエピソードに分かれていて、聞いたり読んだりしたものを評価し、情報に基づいた判断を行う方法を教えてくれます。

そのほかにも、議論の妥当性の検証、認識、分析、構築などのトピックが扱われています。

Critical Reasoning for Beginners|University of Oxford Podcasts

6. 共感スキル

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Image: iPrice Group

最も先進的なロボットでも、共感を示したり、人の感情を理解するという重要スキルを、本当の意味で行使することはできません。

このスキルはとりわけ、慈善事業で働いたり、統計的に恵まれない人びとをサポートしたり、医療業界で人びとを手助けするときに役に立ちます。

共感力のある人間になりたいなら、「Activating Empathy: A Roadmap to Changemaker Classrooms(積極的共感:教室の変革者)」コースが助けになります。

教育者を対象としたコースですが、積極的関与、省察的行動などのトピックを扱っているので、どんな分野の仕事にも応用できます。

Empathy Action Plan(共感アクションプラン)を作成して、新しく獲得したスキルを日常生活に適用することで、コースの認定証をもらうことができます。

Activating Empathy: A Roadmap to Changemaker Classrooms|Ashoka

7. 傾聴スキル

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Image: Unsplash

すぐれた傾聴スキルがなければ、仕事での成功はおぼつきません。カスタマーサービス担当者は、顧客の意見に耳を傾け、彼らの不満を解消します。

心理学者は、患者のことばに耳を傾け、心の問題を診断します。これらは、傾聴スキルが重要な役割を果たす仕事のたった2例にすぎません。

人びとの話に耳を傾けるスキルを磨きたいなら、Global Mindsetが開発し、LatitudeUが提供する「Listen for Understanding(理解のための傾聴)」コースに参加しましょう。過去の参加者からも高い評価を獲得しているコースです。

過去の参加者たちは、仕事に傾聴スキルを活かしたり、困難な対人関係に取り組むときの助けになったと報告しています。

Listen for Understanding|Global Mindset

8. ロボット工学とハードウェアの修理

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Image Credit: JÉSHOOTS

ロボットにつきものなのが誤動作です。誤動作が起きると、人間がエラーコードを読み取り、問題を診断し、修理を行わなければなりません。こうした仕事に興味がある?

ロボット工学の基礎を学ぶには、レディング大学のオンラインコース「Begin Robotics(ロボット工学入門)」がお薦めです。このコースでは、週に3時間のレッスンが1カ月間行われます。

コースは定期的に開かれているので、都合の良い日程を選んで参加しましょう。ロボットの歴史、能力、解剖学などのトピックを学ぶことができます。

または、edXが提供し、ソウル大学の教授が教えるコース「Robot Mechanics and Control, Part I(ロボット機械学と管理、 Part I」を履修しましょう。

このコースでは、ロボットの内部の仕組みを探求し、エラーが起きたときに何をすればいいかを学びます。

同教授によるライブコースも定期的に行われますが、スケジュールが合わないときは自分のペースで学習することもできます。

Begin Robotics course|Future Learn

Robot Mechanics and Control, Part I|edX

自分の価値をどうやって高めますか?

ロボットがあなたの仕事を肩代わりできるようになると考えると、心穏やかではいられなくなると思いますが、上で紹介したスキルを身につけることで、企業内におけるあなたの価値を高めることができるはずです。

また、こうしたスキルは業界をまたいで活かせるものばかりなので、転職やキャリアチェンジを考えている人でも問題ありません。

ロボットは素晴らしいものです。しかし、ロボットは人間ではありません。ロボットは、私たち人間が互いに与えあっている人間的なつながりを、与えることができません。

結局のところ私たちは、仕事という場面においても、ほかの人たちとともに働き、人間的なつながりを持つことを必要とし続けるでしょう。

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Source: The Guardian, USA TODAY, FMW Fasteners, DelftX, Cybrary, Athlete Learning Gateway, self-confidence.co.uk, Open2Study, University of Oxford Podcasts, Ashoka, Global Mindset, Future Learn, edX

Original Article: If You Have These Skills, No Robot Will Ever Take Your Job by MakeUseOf