内向的な人にとって、会議は恐ろしいイベントです。
とっさの質問に答えたり、グループの前で発言しなければならないのは、恐怖でしかありません。
多くの人は内向的な人を単なる恥ずかしがり屋だと思い込んでいます。しかし、そうではありません。内向的な人も、自分の意見をきちんと表明したいと思っているんです。ただ、そうする前に、情報を処理し、考えをまとめる時間が必要なだけです。
人口の50%は内向的な人たちだということを鑑みれば、会議の責任者は、内向的な人を外向的な人に変えようとするのをやめなければなりません。そのかわりに、内向的な人が心地よく会議に参加できるような配慮をすべきです。
もしあなた自身や職場の同僚が、会議が苦手で悩んでいるなら、きっとこの記事がお役に立てることと思います。以下に紹介する戦略を自分で試したり、上司に教えてあげることで、内向的な人でも会議に自信を持って参加し、自分の意見をきちんと表明することができるようになるでしょう。
そしてその結果、会議自体も生産的なものになるはずです。
1. アジェンダを事前配布してもらう
内向的な人びとは、いつもこの問題で頭を悩まされています。
会議の冒頭でアジェンダが配られ、何を話すべきかその場で急いで考えねばなりません。内向的な人には準備する時間が必要です。

この問題を解決するためには、少なくとも会議の数時間前には、出席者全員に簡単なアジェンダを配布してもらうようにすることです。
質問事項が決まっているならそちらについても事前に知らせてもらいます。外向的な人にとってはアジェンダなど必要ないかもしれません。
しかし、内向的な人にとってはとても重要なものです。スムーズに事が運ぶように、上司に、Wordで使える会議アジェンダテンプレートがあることを教えてあげましょう。
チームでEvernoteを使っているならアジェンダテンプレートを簡単にセットアップできます。
また、『Amazemeet』のような会議アプリを使えば、合理的かつ効果的な会議を設計することができます。こうしたアプリを会議の準備に活用すれば、内向的な人たちも、会議が始まる前から積極的に発言できるでしょう。
事前準備ができれば、内向的な人たちも会議で発言しやすくなります。また、アジャンダの事前配布は、内向的な人ばかりでなく、誰にとっても有益なはずです。
アジェンダが配布されたら、会議が始まるまでに自分の考えを書き出しておきます。そうすれば、会議で関連する話題が出たときに、タイミングよく発言できます。
2. 必ず発言するように心がける
会議で発言したいことがあるなら、最初のチャンスを逃さないようにしましょう。ベストなのは、全体の熱量がまだ低い冒頭の5〜10分です。

早い時間帯に発言するほうが、会議が熱を帯び、外向的な人たちが主導権を握るようになってから口を挟むよりもずっと楽にできるはずです。
最初の数分間で発言できなかった場合でも、少なくとも会議が終わまでに何らかの意見を述べるよう心がけてください。
これをチャレンジなのだと考えてください。すべての会議で必ず何らかの発言をするような、マイクロ習慣を身につけましょう。
3. 匿名で意見を言う
会議で発言したいが激しい反応が返ってきそうで不安なときや、人と対立するリスクを冒したくない場合は、匿名で意見を言うのもひとつの方法です。

それには、『Attentiv』(10人までのチームなら無料)というサービスが役に立ちます。社内の重要な意思決定に関して、匿名のディスカッション(上記画像参照)を設けることで、チームの誰もが、過剰な反応を恐れず、率直な意見を言えるようになります。
また、『AnonymousEmail.me』のような無料の匿名電子メール送信サービスを利用して、自分の意見(会議をより良くする提案を含む)を表明するのもひとつです。
4. ファシリテーターを買って出る
会議のファシリテーターとは、議論をガイドする役割を持つ人物のことです。通常は公平な立場に立ち、議論を脱線させないよう配慮しながら、参加者すべてによる合意形成に導くことがファシリテーターの目的となります。
この役割をサポートするリソースやメソッドがたくさんあります。たとえば、『Coggle』のようなマインドマッピングツールや、『ChoiceMap』(廃止)や『Decision Buddy』(廃止)などの意思決定アプリが挙げられます。
内向的な人が持つ、大局的な視点で物事を眺めたり、複雑なトピックの微妙なニュアンスを把握するなどのスキルは、まさにファシリテーターにぴったりのものです。
また、内向的な人は、会議で居心地が悪い思いをしている人のことをよく理解できます。会議で参加者一人ひとりの意見を引き出すのに、これほど向いている人物はいないということです。
自信がある人は、会議の中でファシリテーターに名乗りをあげてみましょう。自信がない人は、上司に話して、次の会議でファシリテーターの役割をやってみたいと伝えることができます。そうすれば、余計な注目を浴びずに、役割を全うすることができるでしょう。
また、ファシリテーターに会議の主宰やアジェンダの作成を任せれば、会議をさらに効果的なものにすることができます。
5. 部屋の中のゾウを指差す
内向的な人たちは、一般に、明晰で戦略的な思考者であり、先へ進む前に解決すべき重要な質問や問題を見極める力があります。

適切な質問をして、議論を正しい方向へ導くことが、内向的な人が担う役割です。とはいえ、会議で演説をする必要はありません。要所要所で適切な質問をすることで、議論を正しい方向へ向かわせることができます。
報酬体系の変更について話す必要があると思います。その点についてはどうなっていますか?
上のような発言は、議論を非生産的なものから生産的なものへとすばやく転換させる力があります。また、質問という形で終わることで、発言のバトンを別の人に渡することができます。
質問すべき事項がたくさんある場合は、事前に書き出しておき、会議中にタイミングよく繰り出せるようにしましょう。
このテクニックを使うと、会議の主役にならずとも、しっかりした考えのある人物であるという印象を残すことができます。
6. 時間をもらう
会議ではよく、自分にスポットライトが当たり、何か答えなくてはいけないプレッシャーにさらされることがあります。
そうなると、口がうまく回らなくなったり、何も言えない自分に情けなさを感じてしまったりします。

こうした問題を解決する方法はシンプルです。考える時間をください、と言ってみればいいのです。会議の後半で改めて答えることにしたり、会議が終わってから関係者にメールをすると約束するのもいいでしょう。シンプルに次のようにお願いしてみてください。
どれを選ぶべきなのか今すぐには答えられませんが、時間を何時間かもらえれば、考えをまとめてお伝えできるかと思います。
こうして頼めば、通常は、情報を処理して質の高い回答を出すための時間をもらうことができます。
7. 練習、練習、練習
人前で話すとあがってしまうようなら、練習も1つの解決策です。まず、自分がなぜ人前で話すことを怖がっているのかを考えてみてください。

何を言うか考える前に、話すこと自体を意識しすぎているのかもしれません。自分には発言する価値がないと思い込んでいるのかもしれません。あるいは、会話の中に入っていくのが苦手なのかもしれません。
残念ながら、こうした苦しみを一瞬で消す特効薬はありません。練習こそが一番の解決策です。ひとりで練習してもいいですが、あまりおすすめはできません。
そのかわりに、パブリック・スピーキングの悪魔を撃退する方法を学び、3人以上で会話をする練習を定期的に行なうようにします。
言いたいことが浮かんだら、勇気をだして発言する練習を積んでいきましょう。また、ペーシングという技法を試してみることもできます(ベンジャミン・ザンダー氏のTEDトークを参照)。注目を浴びることに慣れてください。
コンフォートゾーンから出て人前で話す経験を積むことが、コンフォートゾーンを広げる唯一の方法です。
コンフォートゾーンが広がると、人でいっぱいの会議室にも恐れを感じなくなっていくでしょう。
ほかには?
自分が内向的かどうかわからない? それなら、MBTIテストを受けてみましょう。
自分が内向的なタイプだとわかったら、上で紹介した戦略を利用して、事前準備をしっかり行ない、会議をうまく乗り切ってください。
とにかく試してみてください。そうすれば、うまく機能することがわかるはずです。
うまくいくことがわかったら、自分以外の内向的な同僚や知人に教えてあげましょう。
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Image: fizkes/Shutterstock.com
Source: YouTube, Udemy, Introvert Zone, Amazemeet, Coggle, MBTI
Original Article: The Introvert’s Guide to Surviving Meetings at Work by MakeUseOf