敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。今回は、アメリカで人気の食材宅配サービスPlatedの主任シェフを務めるエレナ・カープさんの仕事術です。

エラナ・カープさんって何をしている人?

「How I Work」シリーズでは、特にチャレンジングな仕事をしている人を紹介するようにしています。

その点、食材宅配サービスのレシピを作る仕事もかなりチャレンジングな感じがします。なぜならどのレシピも「一般ウケすること」「簡単に作れること」「小分けして国中に大量に配送できる食材を使うこと」という条件を満たさなければならないからです。

最近アメリカで人気の食材宅配サービス「Plated」(昨年食品会社のAlbertsons 社に買収されました)で、その仕事を担当しているのがエラナ・カープ(Elana Karp)さんです。

料理のキャリアを邁進中の彼女に、レシピの創作と試食、料理の作り方のビデオの撮影のことなど聞いてみました。

居住地:ニューヨークシティ

現在の職業:Platedの料理長兼共同設立者

仕事の仕方を一言で言うと:マルチタスク

現在の携帯端末:iPhone X

現在のPC:MacBook Pro

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── まず、略歴と現在の仕事に至るまでの経緯を教えていただけますか?

私は、常に料理に興味を持っていました。自宅で料理することも世界中を旅しながら地元のレストランで知らない料理を試してみることにも大好きです。

6歳から料理をはじめ、キッチンで両親の手伝いをしていましたが、すぐに料理が大好きな趣味の1つになりました。

大学卒業後、Teach for America(教育困難地域にある学校に常勤講師を赴任させる教育NPO)で高校2年生に教えるように。そのとき真っ先に気づいたのは、生徒たちには健康や栄養に関する知識がほとんどないということでした。

それで、私は人々の食生活を変えることにフォーカスするキャリアを歩みたいと思いました。

そのためには、プロの料理のトレーニングを受ける必要があるとわかっていたので、パリに行って、まさに最高のシェフたちから学ぶためにコルドンブルーに入学しました。

コルドンブルー卒業後、家族や子供たちに料理の仕方を教えるスモールビジネスをはじめ、地元ニューヨーク市の小学校のために放課後に栄養のことを教えるプログラムを開催しました。

設立されたばかりのPlatedのことを知り、入社してゼロから料理のプログラムを構築しました。

人々が「もっと料理して」「もっと良い食生活をする」助けになることに参画する機会を得たことにワクワクしました。

変化を成し遂げ、全国規模で人々の生活に影響を与える一員になれると思うと、信じられないぐらい嬉しく思いました。

──最近の1日の流れを教えてください

私の1日は必ずコーヒーではじまります。朝食が大好きなので、普段は出勤前に自分でスクランブルエッグと発芽穀類のトーストを作ります。自分の仕事で一番好きな点は、キッチンを出たり入ったりして、いろいろなことを幅広くしながら過ごせることです。

1日たりとも同じ日はありません。

たとえば、ある日は、朝からデスクに向かって次のメニューのためにリサーチしたりレシピを概念化していることもあれば、また別の日は、社員イベントの計画をたてるためにBAWSチームの同僚たちとミーティングすることもあります。

BAWSとはBad-Ass Women Societyのことで、職場で女性に悪影響を及ぼす問題に関して対話ができるようにすることを主旨とした社内支援システムです。

でも、必ずテストキッチンとスタジオで過ごす時間を持つようにしています。最近、午前中にPlatedのビーフヌードルのレシピを料理するデモビデオを録画した日もありました。

ランチはテストキッチンで、これから発売される予定のたくさんのレシピを料理チームと一緒に試食することもあります。

午後は、会議を出たり入ったりすることが多く、メニューのプランニング、マーケティングのキャンペーン、顧客からのフィードバックの分析、次に店頭に置く物の考案などしています。

1日の終わりには、デスクでたまったメールをチェックしたり、締切ギリギリのものを片づけたりします。

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Platedの料理チーム:テイラー・ポンドさん、ミシェル・クレシュさん、エラナ・カープさん、シャナ・クーパーさん、リズ・ディンスモアさん、ギゼッペ・イアコペッリさん
Photo: Plated/Lifehacker US

── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?

「コーヒーメーカー」(ボダム社のフレンチプレスを使っています。大型のやつです)、「Instagram」「Google Map」。

レストラン予約サイトResyを使って、ニューヨーク中のレストランを予約しています。通知機能が特に気に入っています。

人気の新しいレストランのテーブルを予約するときは、Resyがテーブルの空を通知してくれます。

この機能のおかげで、予約不可能な店にも行けています。

── 仕事場はどんな感じですか?

仕事場はとてもオープンなスペースになっていて、私は料理チームとスタジオチームの入り混じった中に座っています。

いつもラップトップを携帯していますが、デスクには大きなスクリーンがあり、レシピを調べたり、ドラフトを見直したり、撮影したばかりの写真やビデオをチェックするとき使っています。

テストキッチンで過ごすのも大好きなので、そこに小さなテーブルを置いて、ときどき料理の現場地に近いところで仕事しています。

── お気に入りの時間節約術やライフハックは何ですか?

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Photo: Plated/Lifehacker US

チキンやその他の蛋白質を調理した後、その鍋でディグレージング(鍋の残り汁にワインなどを加えてソースを作ること)することです。

これをすると2ついいことがあります。おいしいソースが簡単にできることと、食事の後片付けが楽にすばやくできることです。

やり方は、ワイン、水、スープストックのような液体を料理し終わった後のまだ熱い鍋に入れます。

これで、鍋底に残っている焦げ付きが緩んで浮かび上がってくるので、かき混ぜて風味豊かなソースを作ります。

こうすると、鍋にこびりついていたものもすっかりとれてしまうので、あとはさっと洗うだけで鍋がきれいになります。

試行錯誤のうえたどり着いた、おいしいガーリックトーストの作り方

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──仕事場で採用しているプロセスで、興味深いもの、珍しいもの、こだわりがあるものがあれば教えてください

私たちは、真剣にレシピをテストしています。

レシピが書き出されてテストキッチンで初めて試作されると、シェフが全員集まってその料理を正式に試食するのです。

風味から構成までさまざまな特徴について、各人が意見を出し合ったり、テスターとライターに率直なフィードバックをしたりすることも。

私には、こうした試食はとても大切なので、たとえ会議中でも、料理ができたらすぐに会議を抜け出して試食に立ち会います。

──ToDoはどうやってトラッキングしていますか?

私は凝り性というぐらい、カレンダーに何もかも入れます。

仕事のことも私生活のことも、その中間のことも、何もかもGoogleカレンダーに入れています。

すべての予定を1カ所にまとめておきたいからです。

だから、良かれ悪しかれ、カレンダーに載っていないものは、うっかり忘れてしまう可能性があります。

──どのように充電や休息をしていますか?

私の場合、スパが完璧にリラックスできる場所です。

携帯電話がつながりにくいのも良い点です。

日常のルーティンから無理にでも隔離されますから。

それに、マッサージやフェイシャルを上手にしてもらうと、生まれ変わったような気分になれます。

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Photo: Plated/Lifehacker US

──仕事の合間に何をするのが好きですか?

最近、新しいアパートに引っ越して、そこを何もかも改装中です。特にキッチンには力を入れています。

──今、何を読んでいますか? おすすめの本はありますか?

Ed Catmull著『Creativity Inc.』をおすすめします。

数年前に読んだのですが、そのときはPlatedが開業して急成長しているときでした。

ビジネスを拡大しているときに創造性を解き放つという筆者の考えが私の琴線に触れ、仕事に対する賢いアプローチの仕方を教えてくれました。

──これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください

数年前に、私は夜眠れなくなるほど大きなミスをしてしまいました。

その体験を通して、シンプルにして貴重なアドバイスを得ました。

それは、同じミスを繰り返さない限り、ときにはミスを犯しても構わないということです。それどころか、ミスを犯すと、思いがけないやり方で成長と学びの機会を得られるという利点があります。


Image: Plated/Lifehacker US

Source: Plated

Nick Douglas – Lifehacker US[原文