敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。

今回はGoogleのアプリ開発者であると同時に、個人的な興味からサイドプロジェクトとしてセキュリティリサーチも手がけるフェリックス・クラウスさんの仕事術です。

Appleが好きでも嫌いでも、フェリックス・クラウス(Felix Krause)さんの話には耳を傾けたほうが良さそうです。

どのMacのアプリもユーザーのスクリーンショットがこっそり取れてしまうことや、iOSアプリが偽のログイン画面を使ってパスワードを盗む可能性があることを指摘して、MacOSとiOSの脆弱性を明らかにした彼のセキュリティリサーチは、米Lifehackerでも何度か取り上げてきました。

Googleのアプリ開発という本業のかたわら、こうしたリサーチを行なっているクラウスさんにインタビューして、FastlaneやMaster Keyという自分宛てにメールを送信するアプリのこと、セキュリティリサーチのこと、TwitterとGoogleで仕事をすることになった経緯を聞きました。

居住地:主にニューヨークを拠点とするデジタルノマドの生活

現在の職業: Fastlane @Google(iOS/Android のアプリ開発に必要なさまざまな作業を自動化するツール)にモバイルCIシステムを構築すること

現在の携帯端末:iPhone X

現在のPC:2017年版の15インチのMacBook2台(仕事用と私生活用)

仕事の仕方を一言で言うと:実用主義

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ニューヨークで仕事中に窓から見える光景
Photo: Felix Krause

── まず、略歴と現在の仕事に至るまでの経緯を教えていただけますか?

2010年にマウンテンビューのGoogle本社を訪れて以来、カリフォルニアのGoogleで働くことが人生の目標になりました。学校を決めるときも、どんなテクノロジーを勉強するか決めるときも、この目標達成を念頭に置いて選択しました。

高校時代にさまざまなインターンシップや副業を体験した結果、大学では、iOS開発者のための自動化ツールを開発したのですが、それが予想外にうまくいきました。

大企業が、私が開発したFastlaneというツール使ってリリースプロセスの自動化を始めたのです。数カ月のうちに、複数の企業から「我が社に入社してfastlaneの仕事を続けて欲しい」ともちかけられましたが、結局Twitterに入社することに決めました。

入社して1年半後に、Fabric(Twitterの開発者向けツール部門)がGoogleに買収され、現在に至っています。

今はデジタルノマドをして暮らしています。このスタイルを選んだ理由はこちらのブログに書きました。「デジタルノマド生活の1年」について書いた最近の記事はこちらです。最近は毎月ニューヨーク市内でまだ暮らしたことのない地区を転々としています。

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バリで仕事中
Photo: Felix Krause

──最近の1日の流れを教えてください

現在はニューヨーク市に住んでいます。多くのハイテク企業はベイエリアに拠点があるので、私はリモートで仕事をしています。朝起きると1時間ぐらい受信通知をチェックしてから、オーディオブックを聴きながら30分ぐらい歩いて、オフィスに出勤します。

オフィスでは、コーディングや集中力を要する作業はランチタイムまでに片づけることが多いです。私の場合、チームのほとんどが西海岸にいるので、会議はたいてい午後に行なわれます。

会議は非効率的で、非同期通信を通して行なわれるものがほとんどなので、あまり好きではありません。でも、大企業には、「会議ありき」の根深いカルチャーがあるので、どうしようもないですね。

── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?

使っているデバイスの数は多くありません。

スマートホームもスマートウォッチも使っていなくて、スマホとMacBookだけです。この2つを組み合わせて使っていると、他のディバイスは特になくてもいいですし、あと、信頼できないプロバイダーがいくつかありますしね。

アプリケーションに関しては、Major Keyをかなり使っています。これは私が開発したオープンソースのアプリで(App Storeにはありません)、思いついたことをすぐに書き留められます。

人と話している最中に素晴らしいアイデアが浮かんだときや、それについて何か書いてフォローアップする必要があるとき、とても便利です。 他に使っているアプリは次の通りです。

  • Arc:自分のロケーションのトラッキング用(以前使っていたMoves Appは、Facebookがシャットダウンしました)。
  • MyFitnessPal:食生活の細かいトラッキング用
  • Swarm:訪れた場所のトラッキング用
  • Bear Notes:iCloud Notesで大量のデータを失ったので。マイグレーターは私が作りました。
  • Fantastical:すべてのプラットフォームのカレンダーとして使用。
  • Tweetbot:私が開発しました。個人的には、かなりカスタマイズした設定で使っています。
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Fastlane関連の作業中
Photo: Felix Krause

── 仕事場はどんな感じですか?

私はいろいろな場所から仕事をしているので、いつもAppleのマジックキーボード、マジックトラックパッド、マジックマウスと一緒にRoost Standを持ち歩いています。

おかげで、ほとんどの場所で人間工学に基づいた作業環境をセットアップできます。 Googleのオフィスには、32インチのモニターがあって、MacBookをクラムシェルモードで使用しています。

── お気に入りの時間節約術やライフハックは何ですか?

真っ先にしたいアドバイスは、定期的に使用するアプリは全部カスタムでショートカットを設定して簡単に開けるようにしたほうがいいということです。

それについてはこちらに書きました。あと、最近見つけたVimiumは、キーボードのショートカットだけ使って、ほとんどのウェブサイト上をナビゲートできます。 それから、以前触れましたが、Major Keyで、間違いなく私の人生は楽になりました。

私の場合は、アプリを作ることと自分で使うことを明確に分けています。Macを使っているときは仕事モードに入っていて、携帯電話を使っているときは読書モードです。

ですから、Major KeyとMail To Self(廃止されてしまったので、自分でこれと似たものを作るつもりです)のようなアプリから、Macに必要なものを送信すると、Macで仕事モードに入ったとき見られるのでとても便利です。

──ToDoはどうやってトラッキングしていますか?

TrelloとInbox Zeroを相当使っています。

Trelloは、ショートカットをすべて習得すると、使うのが楽しくなります。私のTrelloのバックログは基本的に無限で、いつも何かすることがありますし、やりたいことをどんどん思いつくんです。

全部は到底できないだとうと思っていますが、それでも、1つ1つのアイデアをリサーチしながらメモやリンクを付けられるようにトラッキングしたいんです。

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えーと、どこかでノマドワーク中。
Photo: Felix Krause

──どのように充電や休憩をしていますか?

ほぼ毎日ジムに行っています。自信がつくだけでなく、頭をクリアにするのに必要だからです。ヘッドホンをつけて、ウエイトリフティングをしながら、現実を忘れます。ジムでこの境地に達するには、しばらく時間がかかりました。

散歩も大好きです。夜のマンハッタンを散策して、友人たちと橋を渡ったり、美しいニューヨークの夜景を楽しんだりするのは、実にいいですね。

──仕事の合間に何をするのが好きですか?

最近、日に3回気分をトラキングしたり、朝、雨が降りそうなときはメッセージを受け取れるなどの、さまざまなテレグラムボットの開発に取り組んでいます。

また、@ortaさんと一緒にプルリクエストのルールを定義するツールとしてdangerを共同設立しました。

それ以外に、時間があるときプライバシーに関するリサーチを発表してきました。これは本業とは無関係で、ただの個人的な興味でしていることです。

こうした投稿は予想以上の注目を集め、私のTwitterは数週間利用できなくなりました。

──今、何を読んでいますか? おすすめの本はありますか?

Homo Deusのオーディオブックを聴き終えたところです。社会がテクノロジーによりどのように変化するか書いてある素晴らしい本です。

──挑戦中の課題はありますか?

個人の幸福を認識する方法については、まだまだやるべきことがたくさんあると思います。

私はWaitButWhyの記事が大好きで、「人生の長さを週単位で表すとどうなるか」という記事や、「キャリアの選択」に関する記事が特に好きです。

人生を週で表すスプレッドシートとキャリアの記事に出てくるタコみたいな絵は私が作りました。

気分をトラッキングするボットの開発を推し進めて、ある気分になるのかなぜなのか深堀しやすくすることで、さまざまな傾向を検出できたらいいなと思っています。

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Image: Courtesy of Felix Krause

Source: Fastlane, Github(1, 2, 3), Felix Krause(1, 2, 3, 4), Apple, My Fitnesspal, Swarm, Flexibit, The Roostand, Google, Twitter, Danger, Amazon, Wait Buy Why

Nick Douglas – LifehackerUS[原文