ほかの大手テクノロジー企業と同様、Appleもユーザーに関するデータを大量に収集しています。

Googleのように検索エンジンを運営しているわけではないので、ほかの企業に比べると集めているデータは少ないですが、デジタルフットプリントをまったく残さずに、Appleの製品やサービスを利用するのは不可能です。

EUの一般データ保護規則(GDPR)をめぐってはさまざまな混乱が起きました。

しかし、この規則のおかげで、 前回このトピックを取り上げた時と比べて、Appleにユーザーデータに関する情報を請求する手続きは随分楽になりました。

私も自分に関することなら何でも知りたいと思っているタイプなので、早速、新しくなった(らしい)Appleの「プライバシー・ポータル」にアクセスし、同社が私について収集しているデータすべてについて、開示を申請しました。

以下に、個人データの申請方法と、開示されたデータの中で見つけた興味深い内容を説明します。

Appleが保有するユーザーデータの開示を申請するには

これは簡単です。

まずは、Appleの「データとプライバシー」ページにアクセスし、あなたのApple IDを使ってサインインします。サインインのあとに表示されるページで、「データのコピーを取得」という大きな見出しを探してください(確実に目に入るはずです)。

さらに、この項目にある「データのコピーをリクエスト」のリンクをクリックします。

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Image: David Murphy

次に表示されるページでは、取得したいデータの種類をカスタマイズできます。

個人的には「すべてを選択」のボタンを押すことをおすすめします。せっかくですから、Appleが提供してくれるデータを全部見ておきましょう。

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Image: David Murphy

ページ下の青い「次に進む」ボタンをクリックすると、最大ファイルサイズを選択する画面になります。

ここでは、Appleが作成するデータアーカイブの最大ファイルサイズを選択できます。サイズが大きめのファイルを2つ3つダウンロードするより、「数が増えてもかまわないので小さなファイルに分割して受け取りたい」という場合は、好みに合わせて最大ファイルサイズを調整しましょう。

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Image: David Murphy

最後に青い「リクエスト完了」ボタンをクリックすれば完了です。

ただし、多少待つことは覚悟しましょう。同様のサービスを提供するほかの企業と違い、Appleの場合は、データアーカイブ作成にそこそこ時間がかかります。

私の場合は、木曜夜にリクエストを送ったのですが、「個人データがダウンロード可能になった」とのメールを受け取ったのは、翌週火曜の午後でした。

つまりこれは、リクエストしてから数時間で手に入れられることを期待してはいけないタイプのデータということです。

Appleのアーカイブページからデータをダウンロードしよう

Appleから送られてきた、データアーカイブがダウンロード可能になったことを知らせるメールに表示されているリンクをクリックすると、以下のスクリーンショットのようなウェブサイトに導かれます:

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この場合、クリックすればすべてのデータを一気にダウンロードできるリンク(1つのアーカイブにまとめられている場合でも、セクションごとに分けられている場合でも)は表示されません。

そのため、青い下矢印を1つ1つクリックし、分割されている各データを個別にダウンロードする必要があります。これはちょっと面倒ですが、とにかくクリックし続けましょう。

Appleから送られてきたデータの中身は?

こうして送られてきたデータですが、あまり多くを期待するのは禁物です。自分がどのAppleデバイスを保有しているかを忘れてしまったという場合でもない限り(そういう人はあまりいないでしょう)、「Apple IDアカウントとデバイス情報」フォルダには、たいした情報は入っていないはずです。

一方、「Apple Online StoreやApple Store直営店アクティビティ」フォルダには、あなたがAppleで購入したアイテムが記録されています。

私の場合は、2010年以降に購入したデジタルコンテンツの記録が入っていました。ただし、データは汎用性の高いスプレッドシート形式で提供されるものの、コンテンツの詳しい内容まではわかりません。

オーダー番号と取引の内容が記されているだけです。このフォルダではほかにも、Appleのデジタルストアで行ったすべての取引の履歴、これまでの購入額などが確認できるほか、Apple Music、各種アプリやサービス、Apple Store、『TestFlight』アプリでの行動に関するデータが、複数のサブフォルダに収められています。

これらのフォルダの中身を確かめていたところ、ストリーミングを含めて、私がApple Musicで聞いたすべての音楽の詳細を記録した、巨大なスプレッドシートが見つかりました。

リストには、途中でスキップした曲も含まれているなど、すべてを額面通りに受け取れない部分もあるのですが、これまでの履歴を見るのはなかなか楽しいものです。

このスプレッドシートにフィルタをいくつか追加してデータを絞り込み、さらにピボットテーブルを駆使すれば、任意の時期について、自分の音楽の好みを知ることができます。

私も自分のデータを使って、再生回数が多い曲のランキングを作ってみました。それが以下のリストですが、「なるほど」と自分で納得できる曲が並んでいます:

  • Waving Through a Window」(39回):ブロードウェイミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』からのヒットナンバー。万人に愛される曲ですが、キーが高すぎて私にはとても歌えません。
  • You Will Be Found」(34回):第2位も『ディア・エヴァン・ハンセン』の挿入歌で、第1位の曲と感想は同じです。
  • プロローグ」(30回):2017年に、地元の劇団が『美女と野獣』を上演した際に、私はプロローグのナレーションを担当するという、貴重な機会を得ました。再生回数が3位になったのは、この曲を車の中でかけて何度もナレーションを練習したからでしょう。
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また「Store Transaction History.csv」ファイルでは、Appleのデジタルストアで購入したすべてのアイテムを確認できます。

これにはiOS、tvOS、macOSアプリ、アプリ内購入、サブスクリプション、映画、本、テレビ番組など、すべてのコンテンツが含まれています。胃が痛くなるのが嫌なら、第1列の「アイテム総請求額」に記されている数値を合計するのはやめておきましょう。

「Apps And Service Analytics.csv」スプレッドシートには、Appleが自社のアプリでトラッキングしているすべてのデータに関する情報が詳細に記載されています。例えば、『App Store』アプリで、「アップデート」のタブを選択した時刻およびほかの画面に移った時刻、さらには同アプリ内のさまざまなアイテムをタップあるいはクリックした時刻などがわかります。

データ量があまりに多く、おそらくは細かく見る必要もないのですが、Appleが自社アプリでどんな種類のデータを収集しているのかを確かめられますし、これだけ多くのデータを集めていると知るだけでも、なかなか興味深いものです。

また、Appleが提供しているデジタルアイテム(アプリやアルバムなど)に関して、あなたが書いたレビューもすべて見ることが可能です。

すべてのレビューが1つのスプレッドシートにまとめられているので、見るだけでも楽しいですし、以前は愛用していたものの、その存在をすっかり忘れてしまっていたアプリやゲームを思い出すこともできます。

ほかにも、「AppleCare」フォルダでは、不具合が起きたAppleデバイスに関して、これまでに申請した修理リクエストがすべて閲覧できます。

また、「マーケティングに関するお知らせ」フォルダ内の2つのスプレッドシートには、Appleがあなたに送ったすべての広告メールが(開封したかどうか、メール内のリンクをクリックしたかどうかという情報を含めて)記録されています。

最後に、「iCloud」に関しても複数のフォルダがあり、同サービス経由で保存したデータに関する情報が記されています。ブラウザのブックマーク、カレンダーとリマインダー、連絡先(vCard形式で提供)、メモ(テキストファイルで提供)といったものです。

さらに、サイズはかなり巨大になるものの、iCloudファイルや書類、メール、写真についても、選択次第でAppleからの提供データに含めることができます。

私は、データアーカイブが大きくなるのを避けるため、この3つについては選択しませんでした。でも、こうしたオプションがあるということは知っておく価値があるでしょう。

Appleに渡す個人データを減らすには

Appleのハードウェアやソフトウェア、サービスを利用する場合、Appleはあらゆる手を尽くして、あなたの行動に関する情報を手に入れようとしてきます。収集されるデータを制限する方法はいくつかありますが、完全にデータを渡さないようにする方法は、残念ながらありません。

iOSデバイスの場合は、「設定」を開き、画面を少し下へスクロールすると「プライバシー」の項目があります。これをタップしてください。

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Image: David Murphy

「プライバシー」画面をスクロールすると、1番下に2つの追加項目が表示されます。「解析」と「広告」です。「解析」をタップし、Appleに提供したくないものについてトグルボタンをオフにしましょう。多少の不便はあっても、すべて共有しない設定にすることもできます。

一方、「広告」セクションでは、「追跡型広告を制限」をオンにしたり、Advertising Identifierをリセットしたりといった設定ができます。

この設定をオンにすると、あなたが関心を持つだろうとAppleが判断したコンテンツを表示する際に、Appleが保有しているあなたに関するデータが参照されにくくなります。

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Iimage: Ink Drop/Shutterstock.com

Source: Apple(1, 2

David Murphy - Lifehacker US[原文