私が在宅勤務を始めてから何とか無事に1年がたちました。自分でも驚きです。ソファで文章を書くという成り行き任せの生活には、良い点がたくさんあります。
例をあげると、ニューヨークのラッシュアワーに地下鉄全線が運行停止になる頻度を考えると、通勤しないですむのは何より嬉しいことです。服装はほとんどカジュアルでOK。健康保険に入っていれば、昼間でも好きな時間に病院の予約を入れられます。
一方で、在宅勤務は閉所恐怖症や孤独感を招きがちです。仕事が一段落して、さあ、外に出てみようかなと思った時、すでに日が暮れている冬は特にその傾向は強くなります。私の場合、5日連続で昼間の外出をせずに自宅で過ごしたこともありました。
それで去年冬を越した時、「来年の冬にまだフリーランスをしていたら、もっと暖かくて明るい気候の土地で過ごすことにしよう」と誓ったのですが、12月が到来したというのに、相変わらずここにいます。
どうやら、これから3カ月はPC以外に話し相手もいない引きこもりの生活になりそうです。本当に気がめいります。そこで、絶望的な気分にならずに在宅勤務をする方法を考えてみましょう。
方法1:仕事の時間を決める
定時で働く職業の人と違って、就業時間が決まっていない人は、何らかの決まりごとをつくる必要があります。
心理学者で『The Social Media Workbook for Teens: Skills to Help You Balance Screen Time, Manage Stress, and Take Charge of Your Life』の著者であるGoali Saedi Bocciさんは「在宅勤務の最大の難点は、ルーティンの欠如だ」と言います。
スケジュールを決めないと、1日中寝て過ごしてしまうかもしれません。
Saedi Bocciさんは、毎日決まった時間に起きて、決まった時間に寝ることを推奨しています。睡眠の時間が変わると、自然な概日リズムが狂い、身体がだるくなったり、気分がちょっと落ち込んだりするからです。
また、仕事を始める時間も終わる時間も毎日同じにすると、脳が仕事と遊びの時間を区別できるようになります。
モンマス大学のAlan Cavaiola教授は「よし。午前9時から午前11時30分まで働くぞ」というふうに、仕事の時間を決めることが大切だと言います。
気が散らない時間を設定することが大切です。
それに、在宅勤務している友人が教えてくれたコツは、仕事を始める前に30分ぐらい自由な時間を持ち、コーヒーを淹れて、朝食をつくり、新聞を読んで、ちょっと散歩に行くなどして頭を覚醒させること。
そして、仕事場にしているスペースの窓やブラインドを開けて、仕事を始める前に室内に陽の光を取り入れることです。
在宅勤務で仕事と私生活のメリハリをつけるコツについて、さらに詳しくはこちらをご覧ください。
方法2:ベッドから出る
私はベッドで何日も仕事をしたことがありますが、これはやめた方が良いです。脳は、仕事のオンとオフ、起きている時と眠っている時を区別できなければなりません。
Caviaola教授は次のように言います。
生活空間とは別に仕事用のスペースをつくってください。仕事用のスペースは仕事専用にしましょう。
1部屋全部を仕事専用にできたらいいのかもしれませんが、必ずしもそうでなくても大丈夫です。
肝心なのは、仕事を始める時は、デスクや台所のテーブル、ソファ、あるいは、太陽がさんさんと差し込む居間の出窓に向かって立ってすることです(これはお勧めです)。ベッドは眠るための場所ですから、とにかく、ベッドから出ましょう。
方法3:まともな服装に着替える
私は寝ていた時と同じ服装でこの記事を書いています。こんなふうだから、台所のシンクに汚れた皿があふれ、よく眠れない日がだらだら続くんですね。
しかしながら、どの専門家も、在宅勤務であってもきちんとした服を着ることを推奨しています。スーツを着ろとは言いませんが、少なくとも寝巻から着替えて髪もとかしましょう。
Saedi Bocciさんが勧める基準は、近所まで外出できる服装であること。
ジャージより、もう少し上下の組み合わせをちゃんと選んで着た気分になれるような服装が望ましいです。ベーシックなもので、家の外に出られるような服装にしましょう。
でないと、ますます外に出なくなりますし、1週間同じレギンスを履き続けてしまう可能性もあります。
方法4:在宅勤務の仲間をつくる
新しい職場で友だちをつくるように、私も在宅勤務をした年にはフリーランスの仲間をたくさんつくり、行きつけの場所で会うことで、在宅勤務特有の孤独感や単調感を解消しています。
喫茶店で文章を書くと普通は気が散りますが、仲間と一緒に仕事をしていると、トイレに行ったりスコーンを買いに席を立つ時、いちいちPCを持ち歩かなくてすみます。
それに、私の場合、そばに仕事をしている仲間がいると、つられて普段よりたくさん仕事ができてしまう傾向があります。「仲間に対する説明責任が生じると効果的です」とSaedi Bocciさんは言います。
喫茶店で仕事をするのは向かない人やコワーキングスペースを使う経済的余裕がない人は、仲間の家に行くか自分の家に仲間を招いて、数時間一緒に仕事をしましょう。
そういうことができる相手がいない場合は、Slackなどを使ってグループチャットをするのも手です。気が散り過ぎない程度にやれば、常に何人かチャットにチェックインする人がいるので、仕事で行き詰まった時は励みになります。
方法5:BGMを流す
テレビやラジオをつけたりベートーベンのプレイリストや波の音の長時間YouTubeを流したりするのもいいと思います。
BGMがあると孤独感が薄らぎますし、上の階の住人の足音や、水道から漏れる水滴の音、鳴りやまない車のアラーム音などを消してくれます。
不要な環境音はオフィスでは煩わしいものですが、家で仕事をしていて1日中そういう雑音が聞こえるのは、もっと煩わしい上に、逃げ場がありません。
私の場合は、最近、下の階に入っているタコスの店が大音量で音楽をかけるので、抗議しているところです。果たしていつまで私の忍耐がもつかですね。
というわけで、私は古い映画や大好きなドラマをBGM代わりに流して仕事をしています。もう何度も見たものなので、内容に気を取られず聞き流せますし、ちょっと休憩したい時は、ちらっと見ることができます。フリーランスを始めてから、『My Best Friend’s Wedding』は、もう5回以上見ています。
音楽を流すのが好きな人もいます。歌詞がある方がいい人もいれば、ない方がいい人もいるでしょう。
「私は家で仕事をする時は、クラシック音楽をBGMにしています」とCavaiola教授は言います。自分に合うものを流してください。脳が飽きないように、ときどき別のものに変えましょう。
方法6:プランナーを活用する
自分を律することのできない人が在宅勤務すると、生産性に死刑宣告したも同然です。
PCの画面を覗き見する上司はおらず、1日の始まりも終わりも決まっていません。午前中Twitterばかりして過ごしてしまい、締切ギリギリになっててんやわんやしそうです。
仕事以外の雑用に関しても同じです。在宅勤務なら、掃除や洗濯は簡単にできると思いがちです。でも、あとでやろうと思っているうちに、どんどん先延ばしにしてしまい、しまいにはネズミが出没するかもしれません。
「在宅勤務は、目標を設定して、スケジュールを守れる人にはウィン・ウィンになります」とCavaiola教授は言います。
でも、だらしない人だと、目標を設定して、その達成を目指して働き、時間管理をきちんとすることに慣れていないので、大変なことになります。
前者に該当するなら幸いです! でも、後者の場合は、プランナーを使うか、バレットジャーナルをつくりましょう。ToDoをチェックリストで管理して、その日のToDoを全部こなせたら、チョコレートや金のシールなどのご褒美を自分にあげてください。
「私は毎日プランナーを使っています」とSaedi Bocciさんは言います。
翌日の目標を書き出します。プランナーがあると、仕事の進捗に責任を感じるようになれます。
方法7:エクササイズする
私は自宅で仕事を始めた時は、もっとエクササイズする時間が持てると思っていました。一般的にはそうなるはずです。デスクにつながれているわけでもなければ、午前9時から午後6時の定時に縛られているわけでもないからです。
でも実際には、通勤のために駅と自宅の間を歩いて往復したり、ランチを食べに職場の近所をぶらぶらしたりすることもなくなったので、全体的には体を動かすことが少なくなりました。
ワークアウトの時間をつくり、その時間は必ずエクササイズしましょう。たとえば、朝一番にジムに行くことにしたら、目覚まし時計が鳴った時、ジムに行くのを先延ばししないでください。そんなことをしたら最後、絶対に行けませんよ。
方法8:とにかく家の外に出る
正気を保つにはこれが最も効果的な方法です。在宅勤務になると、家からまったく出ずに過ごしてしまいがちです。
昼から夜になり、夜は人気ドラマを爆見しているうちに、あっという間に寝る時間になります。誰とも話さず1日が終わってしまいます。たまにはそんな日があってもいいと思いますが、何日もこんな日が続くのは悪夢です。
私は、生産性が落ちてきたなと感じると、天気の良い日には日中に長い散歩をします。長い散歩をする時間がない時は、近所のパン屋までランチやスナックを買いに行きます。自炊したりデリバリーを注文する必要がなくなるので、一石二鳥です。
天気が悪い時は、私は外出せず、自分に話しかける癖がありますが、これでは良くありません。
しっかり雨や寒さに備えた身支度をして、近所を歩きまわりましょう。でなければ、「歩いて」コーヒーショップ、ドラッグストア、駅などに行き、「歩いて」戻ってきましょう。
朝一番に屋外に出てから仕事を始めると調子が良いという人もいますが、私は昼間に外出する方が好きです。いずれにしろ、とにかく日が暮れる前に、外出しましょう。
Cavaiola教授は次のように推奨しています。
休憩もスケジュールに入れましょう。そして休憩時間は外出してください。どこかにコーヒーを飲みに行けば、そこで誰かと会っておしゃべりができるかもしれません。孤独も解消されます。
外で休憩してから家に戻って仕事を始めると、閉塞感が薄らいでいるはずです。
方法9:リモートでも会議に出席する
リモートで仕事をしていると、存在を忘れられそうです。会議に出られないなら、メールやその他の通信手段でアイデアを提案しましょう。できたらスカイプなどを使って会議に出席してください。
主要な支社がある都市に住んでいないなら、自分がいる地域のほかの社員との顔合わせの機会をつくってほしいと会社に頼んでみる、行ける時に本部を訪問してみる、Slackでグループチャットする、などして、煩く思われないやり方で自分の存在を知らしめるのです。
こうすれば、上司に対してもアピールできますし、孤立感も軽減されます。
方法10:定期的なアクティビティを予定に入れる
私はオフィスで仕事をしていた頃、ワイングラスを傾けながら映画を見てひとりで過ごす夜を楽しみにしていました。でも、在宅勤務になると、そんなふうに独りで過ごす夜は楽しさが半減します。特に夜の外出が減る冬場は辛いです。
Saedi Bocciさんは、「在宅勤務の場合、社会との接点を確保することがとても大切だ」と言います。
ヨガスタジオやジムに通ったり、教会やシナゴーグに出席しましょう。外出して人に会うと精神衛生にプラスになります。
毎週定期的にするアクティビティをいくつか持つことをお勧めします。そうすれば、社会との接点ができますし、楽しみにもなります。たとえば、私は毎週日曜日にピラティスに行き、そこで一緒になる人たちと知り合いになりました。
また、毎週ハッピーアワーにも行っています。定期的にトリビアナイトやゲームリーグに参加したり、スペイン語のクラスを取ったりなどして、予定をいっぱい入れましょう。こうしておけば、夕食を共にする友人が見つからない時も安心です。
方法11:在宅勤務のメリットを意識する
オフィスで仕事をしていた頃の私は、自宅のソファで仕事ができたらどんなにいいだろうと思っていました。でも、実際に半年ほど在宅勤務してみると、孤独に耐えられず泣いてばかりいました。
とはいえ、通勤しなくていいのは何よりですし、昼休みに走り回って家の雑用を片づける必要もなければ、歯医者にも行きやすくなりました。仕事中でも可愛い動物のビデオを上司の目を気にせず見ることができます。
午後2時になると、身体から魂が抜けだすような眠気に襲われるのに、そこからさらに4時間もデスクにへばりついていなければならない、ということもなくなりました。
今の私は、いつでも好きな時に長い散歩をすることができます。午前9時から午後6時という定時にとらわれず、一番インスピレーションが湧いた時に仕事をするので、生産性もはるかに高くなりました。
ランチ代もメトロカード代もかからなくなりましたし、飲みたくもない「仕事の後に同僚たちと飲むビール」代も節約できます。職場の仲間意識を味わえないのは寂しくもありますが、社内政治に関わらないで済むのはラッキーです。
在宅勤務に対処するベストな方法は、そのメリットを意識することかもしれません。ふたたび通常の出勤するスタイルに戻ったら、きっと正午の昼寝が懐かしくなるはずです。
──2018年12月06日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
Image: Shutterstock
Source: JALOPNIK, Amazon, MONMOUTH UNIVERSITY