「GRIT(グリット)」という言葉を聞いたことはありますか? 日本語では「やり抜く力」と訳され、後天的に身につけられるライフスキルです。
世界で成功をおさめている、マイケル・ジョーダン、スティーブ・ジョブズもこの力を身につけていたと言われています。
今回は、このやり抜く力「GRIT」の意味と伸ばす方法を、英語講師として多くの子どもに英語を教えてきた体験を交えながらご紹介します。
GRIT(グリット)とは
GRIT(グリット)は、4つの言葉から作られた造語で、日本語では「やり抜く力」と訳されています。下記4つの要素を含みます。
・度胸(Guts):困難に挑み、逆境にたじろがない勇気
・復元力(Resilience):挫折から立ち直る力
・自発性(Initiative):率先して物事に取り組む力
・執念(Tenacity):どんなことがあっても物事に集中しつづける能力
ー『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』P21-25より要約。
この4つの能力が素晴らしいのは「自分でコントロールできるという点」だと、引用元の本には書かれています。
特に強調されているのは、環境や才能にかかわらず、これらの力を伸ばせば、成功できるという事実です。
本の中には、努力を重ねてきたバスケットボールの伝説的スター・マイケル・ジョーダン、大学を中退した後に研究を重ね躍進したスティーブ・ジョブスなどの話が載っており、彼らの成功の秘訣はGRITだったと評しています。
GRITを知ったきっかけ
私は英語講師として、子どもたちに英語を教えているのですが、子どもによって伸び方が違う理由が気になっていました。
そんな時、友人のブログで紹介されていた本を読んでみると、英語講師として子どもによって伸び方が違う大きな理由の1つが、GRITの差だったんだ…と納得。
それと同時に「これは大人にとっても子どもにとっても大事なライフスキルだ。みんなに知ってもらいたい!」と強く思うようになりました。
GRITがあるとすごいと思った話

実際、私もGRITの良い例を間近に見る機会に恵まれました。
英会話のクラスを運営していると、たまにすごい子に出会います。英語を学び始めるタイミングは他の子と同じなのに、とにかく伸びが早いのです。
特に5年前に出会った子(今は高校1年生)は、ぐんぐん力をつけていきました。
英語を習い始めた小6ですぐに「英検5級を取る」と目標を定め、レッスン以外の日も毎日、私が勧めたドリルや過去問に取り組み、すぐに英検5級を取得。
中学時代から始めたハンドボール部でも活躍。キャプテンとして最初は弱かった部をまとめあげ、引退前には、今まで勝ったことがない競合チームにも勝つほどの力を持つチームになりました。
こういう話を聞くと、私はいつも「それは才能があったからではないか?」と疑いをもっていました。しかし、話を聞いてみると、部活での成功も、日々の努力の賜物だったのです。
GRIT研究の大変有名な本『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』のパート1の第2章にも、著者のアンジェラ・ダックワースさんが数学の教師をしていた頃の気づきが載っています。
アンジェラさんは、数学的概念の呑み込みがずば抜けて速い子よりも、こつこつ努力を重ねてきた生徒のほうが学期の成績が良かったことに驚き「才能だけでは結果は出せない」と書いています。
GRITを身につける4つのコツ
では、GRITはどのように身につけたらいいのか? 最後に、『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』から、GRITを身につけ伸ばすコツをご紹介します。
1. 夢を捨て去る
「夢」を見て、将来の姿を思い描くことは楽しい作業です。でも、その「夢」を現実にしたければ、目標を定め、計画を作り、課題を一つひとつクリアすることが大切です。
2. 竹のようにしなやかに
目標を達成するまでの道のりには困難がつきもの。しかし、そこで立ち止まらず、時にはプランBを用意し、竹のようにしなやかな復元力を持って突き進みましょう。
3. 安全な状況から抜け出す
言い訳をやめ「どうすればよかったか」を自問自答しましょう。
また、安全地帯から抜け出し、日々の中でも居心地の悪い状況(レストランで食べたことがないメニューを注文する、知らない通りを歩いてみる…等)をつくり、新しい環境への挑戦に体を慣らしましょう。
4. 4つのルールを理解する
『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』には、GRITの伸ばし方について「内側からの伸ばし方」「外側からの伸ばし方」が、実例とともに詳しく載っています。
読み進めていくとP125~127に「おとなも子どもも「やり抜く力」が身につく4つのルールが書かれていました。見出しだけ引用しておきます。
詳しくはぜひ該当ページをお読みください!
1. 家族全員(パパもママも)、ひとつはハードなことに挑戦しなければならない。
2. やめてもよい。
3. 「ハードはこと」は自分で選ぶ。
4. 新しいことでも、いまやっていること(ピアノやヴィオラ)でもかまわないが、最低でもひとつのことを2年間は続けなければならない。
どんな天才でも、1日で成功を収めた人はいません。数年、数十年、いかなる困難に直面しても、それを乗り越えて成功を掴んでいます。
しかしながら、それは単に「努力をした」「才能があったから」だけではありません。やり抜く力が備わっていたからこそ、大きな成功を収めたのです。
これから、より変化の激しい時代が到来します。多くの困難を乗り越え成功を収めるためにも、やり抜く力「GRIT」を身につけておきましょう。より詳しく知りたいという方は、ぜひ今回紹介した本も読んでみてください。
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Photo: 曽我美穂