『僕らの時代の幸福論』で、幸せになるための考え方について述べてきました。
それでは、お金と時間をどう使えば、より幸せを感じられるのでしょうか。コスパよく幸せになるには、何をすればいいのでしょうか。
「モノよりも経験を買うほうが幸福を感じやすい」とよく言われます。『「幸せをお金で買う」5つの授業(中経出版)』によると、以下のように述べられています。
“物質的なもの(美しい家から高級万年筆まで)は、経験を買うこと(旅行、コンサート、特別な食事など)ほど幸福をもたらさない”
“使った金額が2ドルだろうと20万ドルだろうと、形のあるものよりむしろ経験を買ったほうが、出費に対する後悔が減ります”
“経験的な買い物に対する満足感は時が経つにつれて増していく傾向があるのに対し、物質的な買い物に対する満足感は減少する傾向がある”
お金と時間を投資すべき経験を判別する方法

では、どういう経験にお金や時間を投資すればいいのでしょうか。
同著によると、以下4つの基準を満たす経験だそうです。
- 他の人々と交わることによって、社会的なつながりが生まれるような経験
- この先何年にもわたって、楽しい気持ちで繰り返し語ることができる思い出話につながる経験
- あなたが感じている自分という人間、あるいはあなたがなりたいと思っている自分像に密接に結びつく経験
- 他の選択肢と簡単に比較することができない、めったにないチャンスを与えてくれる経験
これらの経験が得られるような、お金と時間の使い方になっているかどうか、自身を振り返って使い方を整理してみてはいかがでしょうか。
2年ほど前に私も整理してみたのですが、その結果、上記「2」の「思い出話につながる経験」がかなり不足していることに気づきました。
それからは「思い出」を量産すべく、お金と時間を積極的に投資しています。
幸せをもたらす、記憶に残る思い出を作るための公式

それでは、記憶に残したいような「思い出」はどうやって作れるのでしょうか。
そこで、自分の記憶にある「いい思い出」の共通点を探していったところ、2つのキーワードに集約できました。それによって導かれた式は、こちらです。
いい思い出 = 非日常 × 大切な人
いつもと同じ状況だと印象に残らないので、「非日常」的なものが記憶を強化してくれます。また、生涯にわたって付き合いたい人たちとのイベントが記憶に彩りと深みを加えてくれます。
ウィスコンシン大学の研究によると、人が何にいくら使うのかを調査し、購入品目と幸福度を関連付けたところ、プラスの関連が認められたのは、旅行・映画・スポーツイベント・ジムの会員権など、「レジャー」のカテゴリーのみだったそうです。
私は去年の1年間は「40歳定年」と題し、仕事から離れ、「大切な人たち(家族・友人)」とレジャーで「非日常」を過ごし、思い出を量産していました。お金を稼ぐことよりも、その使い方を学ぶ期間にしたかったからです。
私は子ども時代、切手やコインのコレクターでしたが、いまは「思い出収集家」です。
経験は財産に。投資すべき価値がある

Googleの元人事トップであるラズロ・ボック氏はいいます。
「お金は人生の経験ほど重要ではない」
この言葉に影響を受け、去年は「貯金」を「経験」に変換していきました。
たとえば、家族でオーストラリア旅行に行き、40万円ほどの出費がありましたが、たとえ10倍の400万円でその思い出を買い取るというオファーがあっても、売却したくはありません。思い出は投資先としてリターンがかなり大きいようです。
もちろん、お金をそんなに使わずとも良質な思い出は作れますし、うまく「ストーリー」を加味できれば、さらに幸せのコスパはあがります。
たとえば、仲の良い友達2人と1日断食をし(=ストーリー)、翌朝、一緒にファミレスで雑炊を食べる。そんな経験は、高級フレンチに2万円を使うよりも、幸福感が高く、賞味期限の長い「思い出」として財産になるのではないでしょうか。
それでは、あなたは何に「お金と時間」を使っていますか?
上述した4種類の経験に使われるように調整してみてはいかがでしょうか。経験にお金と時間を注ぎ込む「経験投資家」になるのもいいかもしれません。
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