資本主義システムの中で働いていると、ある種の暗い感情を抱くようになります。

これらの感情や自己認識には名前がついており、「インポスター症候群」のようにパンデミック以前からなじみのあるものや、「燃え尽き症候群」のようにここ2年ほどで特によく耳にするようになったものなどがあります。

ここに、Anna Codrea-Rado氏が新しい造語を付け加えました。素晴らしい仕事をしていることは誰の目にも明らかなのに、自分は生産的でないと感じてしまう症状を表すものです。

これは「productivity dysmorphia(意訳:生産性に対する過剰な執着)」と名付けられており、Codrea-Rado氏によると、「燃え尽き症候群、インポスター症候群、不安性が交差する場所に位置づけられる」ものなのだとか。

たとえば、あなたがコーヒーショップを経営しているとします。あなたはある日に、業者への発注を済ませ、店内すべてのマシンを掃除して、プロモーションの準備をしました。それから、従業員の翌月のシフトを調整し、届いたすべてのレビューやメールに返信しました。

実に多くを成し遂げています! やるべきタスクをすべてこなし、従業員のニーズと公平性に配慮しながら、勤務スケジュールまで作成したのですから。

それなのになぜ、自分は十分な仕事をしていない、うまくやれていないと感じるのでしょうか?

それが生産性に対する過剰な執着です。でも心配は要りません。この感情と闘い、不安を解消する方法はあります。

1. ToDoリストをつくる

この症状と闘う鍵は、自分が目標を達成していること、良い仕事をしていることを知的に理解することです。そのためには、事実を目に見える形にすることが重要です。

まず、ToDoリストをつくるようにしてください。リストが長くなっても焦る必要はありません。

あなたは、しかるべき時にしかるべきことを成し遂げることができます。あなたには十分すぎるほどの能力があるのです。

ここで重要なのは、タスクを達成するたびに印をつけることです。自分の成功と勝利をその目でしっかりと確認することが大切です。

たとえ1日の終りにリストの半分しか印がついていなかったとしても大丈夫。半分は達成していることを理解してください

十分にやれていないと感じても、それはそれでOK。達成できたタスクに意識を向け、自分が多くを成し遂げたことを認めてください

私たちは現在、絶え間なく変化する環境に適応しながら働くことを余儀なくされています。今日はオフィスに出勤し、明日は自宅でリモートワークといったように。

お金や家族、社会状況に関する心配ごとも生産性に影響を及ぼします。同僚が病気になれば、負担はさらに増加します(昨今ではよくあることです)。

あなたもきっと、通常より多くの責務を担っているはずです。自分が達成した仕事を正確に記録しておきましょう(上司に昇給の交渉をするときにもこの記録が役立ちます)。

2. ポジティブなメッセージを受けとめる

メールやSlackで、自分がした仕事に対する感謝の言葉をもらったときは、「とんでもありません」などと返信して終わりにしてはいけません。

少しの間立ち止まり、メッセージを読み返してください。それが上司からのものでも、外部の関係者からのものでも同じです。私たちは毎日、自分が達成した仕事について、たくさんのフィードバックを受け取っていますが、忙しさのあまり、しっかり受け止めていないのです

せっかく投げかけてもらえたポジティブな言葉を素通りしてはいけません。それこそがこの悪習慣のなせるわざなのです

スマートフォンやパソコンにフォルダを作成し、ポジティブなフィードバックをもらうたびに、スクリーンショットを撮影し、保存しておきましょう。

Slackで、自分の仕事が褒められたら、必ずこのフォルダに保存してください。友人から「最近よくがんばってるね」と褒められたり、顧客から「あなたの商品が大好きです」と言われたときも、同じ様に保存しておきましょう。

外からの評価ばかりに頼るのはいけませんが、自分の仕事が感謝されていること、誰かの役に立っていることを忘れないようにしてください

3. 「生産性」という概念を捉え直す

生産性に対する過剰な執着は、仕事以外の生活にも影響を与えます。オンラインフィットネスサービスで7日間連続記録を目指していたのに、最終日に仕事が忙しすぎたり、疲れすぎていて達成できなかったとします。

その1日に運動ができなかったことを失敗だと思うかもしれませんが、そうではありません。前日までの6日間は運動を続けたのですから。

目標を達成できなかったからといって、その過程で成し遂げたことがすべて帳消しになるわけではありません。私たちはみな、忙し過ぎの、がんばり過ぎなのです。

「生産性」という概念を捉え直してみましょう。たしかに、仕事をすべて終わらせたり、運動をしたり、毎晩一定の時間を副業や趣味に充てるのは生産的です。しかし、休息もまた生産的なのです

心と体をリラックスさせ、リフレッシュさせることで、それからしばらくの間、燃え尽きることなく、より多くを成し遂げることができます。

自分のやることすべてが生産性を高めるためのステップだと考えてください。休憩時間もリストに加えてください。休憩も重要なパートなのです。

最後に。あなたは、あなたの成果によって定義されるわけはありません。あなたの成果は、あなた自身によって定義されるべきものです。

あなたは、あなたが守った締切、あなたが獲得した購読者数、あなたが稼いだお金以上の存在です。あなたは多くのことを成し遂げています。それを忘れないでください。

Image: Shutterstock/Source: REFINERY29