アメリカでは全体的に、新型コロナウイルスに新たに感染する人の割合が徐々に低下しています。このような状況から、オフィス勤務の再開が、現実的に近づきつつあります。

11カ月間にわたってパンデミックの中で暮らしてきた今となっては、何十人もの同僚と机を並べて、狭苦しいスペースで働く生活に戻ることに不安を覚えても無理はありません。

しかもそうした人は少なくないのです。

求人情報サイトのLive Careerが1000人を対象にして最近行った「オフィス勤務への復帰に関するアンケート調査」では、オフィスに通勤するくらいなら「仕事を辞める」と回答した人が全体の29%に達したそうです。

従業員をオフィスへ戻す計画を示す企業が増える中で、不安を覚える従業員と企業上層部との間で軋轢が生じるのは、もはや避けられないでしょう。

この記事では、パンデミックが完全に収束した時に、オフィス勤務の再開について勤務先と交渉する上で、従業員が考えておくべきポイントをご紹介します。

自分の取り組みを同僚と共有する

重要な問題について、たった1人で会社の上層部にかけあうのは困難かもしれません。

でも、同僚と一緒に交渉を試みれば、あなたにとって良い方向に話が進む可能性は高くなります。

特に、このグループが1つにまとまり、安全に職場に復帰したい(あるいはもうオフィスに戻りたくない)という要求をはっきりと示すことができれば、効果は高いはずです。

まずは身近なところで、同じような不安を抱えているかもしれない職場の友人に声をかけることから始めてみましょう。

そこから呼びかけを発展させ、例えばメーリングリストを始めたり、Slackのチャンネルを開設したりするなどして意思統一を図ります。

こうした手段を通じて、自分たちの懸念を効果的に会社上層部の耳に届けるために必要と思われることについて話し合いましょう。

ひと握りの従業員が散発的にあげる多少の不安の声には耳を貸さない企業でも、従業員が団結して行動を起こせば、態度を変える可能性が高くなります。

「適正な仕事環境」について、自分の考えをはっきり示す

たいていの交渉ごとと同じように、この場合も、目標は互いに納得できる妥協点を見つけ出すことです。

まず、上層部には金銭面で、会社が賃貸あるいは所有している建物を従業員に使わせたいと考える理由があります。

また、対面でのコラボレーションが生産性の向上に有益だとの主張もあります(それが本当なのかは議論の余地がありますが)。

ただし、無視できないポイントがあります。それは、従業員が自らに与えられた職務を十分に果たすためには、安心して働ける環境が不可欠だということです。

従業員は勤務先に対して、オフィス勤務への復帰に必要な条件について、従業員たちが何を望んでいるのか、調査を行うよう要求できるはずです。

オフィスのある建物のドアやエレベーターに、接触を避けるための措置があまねく導入されていれば、安心して働けるでしょうか?

あるいは、ソーシャルディスタンスを保ち、全員がマスクをつけている環境であれば、オフィスでの勤務を受け入れられるでしょうか?

そもそも、ソーシャルディスタンスを保ち、マスクをつけて働くのであれば、それは基本的に在宅勤務と変わらないということを、上司に納得してもらいたいのでしょうか?

何より、企業側が「適正な」状況をつくるために少なくとも努力をしていることが、従業員にはっきりしたかたちで伝わっていなければなりません。

リーダーシップ戦略の専門家Nate Bennet氏は先日Forbesに掲載された記事で、オフィス勤務の再開に関する提案をする際に、従業員が考慮すべきポイントとして、以下の4項目を挙げています。

会社の方針や手順は、従業員の尊厳を守り、その立場に十分に配慮していますか?

方針や手順の策定に関して、従業員に発言権はありましたか?

方針や手順をもとにした判断は、透明性、客観性、一貫性がある方法で行われていますか?

会社側の判断によって影響を受ける従業員が、適切な判断を求めて、会社の方針に異を唱える仕組みが用意されていますか?

これはあくまで、基本的なポイントです。

あなたの上司が、妥協点を探ることにほとんど、あるいは全く関心を示さない人だった場合は、次の手に出る必要があるかもしれません。

転職を考えるべき時を見極める

こちらがどれだけ不安を口にしても、上司が頑として譲らず、フルタイムのオフィス勤務に戻るよう要求してくる場合は、転職を検討するタイミングかもしれません。

折しも今は、パンデミックが(おそらくは)去りつつある中でも、リモートワークが人気で、リモートとオフィス勤務を折衷した勤務形態も当たり前に行われています。

そんな中で、オフィスでの勤務を義務付ける以外の選択肢を用意できない企業は、あまりに不合理に映ります。

こうした状況を踏まえて、従業員側が長期的な在宅勤務を全面的に取り入れている有力企業の例を挙げれば、それは交渉の切り札になるはずです。

リモートワークは今、一般的になりつつあります。アメリカの労働者のうち、フルタイムのリモート形態で働いている人の割合は22%に達しています(Upwork調べ)。

ですから、今の勤務先の方針に従業員への配慮がなくて困っているなら、リモートワークが可能な別の仕事を探すこともできるはずです。

ほかの従業員と一緒に働く環境で得られる、人とのリアルな触れ合いを好ましく思う人もたくさんいます。

けれども、個人的な都合や家族の事情などで、自分にとっては在宅勤務が望ましい勤務形態だと考えるなら、今後も恒久的に家で働けるよう努力することは、決して間違っていないはずです。

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Image: Shutterstock

Source: Forbes, Business Wire, Live Career

Sam Blum - Lifehacker US[原文