メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手。彼が高校時代に作った「目標達成シート」が、一時話題になったのをご存知の方も多いでしょう。
この目標達成シートは、「ドラ18球団」(8球団からドラフト1位指名)という大目標を中心として、放射状に広がる多数の四角形のマスの中に、「スピード160km/h」や「変化球」といった小目標が細かく書かれたものです。大谷選手はこうした目標をクリアし、念願のメジャーリーグ入りを果たしましたが、夢の実現にこのシートが役立ったそうです。
その目標達成シートの原型となったのは、経営コンサルタントの松村寧雄氏が開発した「マンダラチャート」と呼ばれるもの。当初は主に経営者層に活用されていましたが、今では年齢を問わず多くの層に広がっています。
マンダラチャート自体は、いくつかのマスからなるシンプルなチャートで、「目標達成と問題解決の最強ツール」として知られています。また、マンダラチャートには「ひらめき力をアップ」や「バランス思考の確立」など多くの効用が認められています。費用もかからないので、実践しない手はありません。
今回は、『【図解】9マス思考マンダラチャート』(松村剛志著/青春出版社)をもとに、マンダラチャートの基礎的な事柄を解説しましょう。
マンダラチャートの基本形の「A型チャート」
マンダラチャートには、「A型チャート」と「B型チャート」の2種類あり、A型チャートは3×3の9マスから構成される、シンプルな基本形となります。

中央のマスは「センターエリア」。最初にここに、目標や課題といったテーマを記入します。それから真下のAエリアから順にHエリアまで、テーマに関連するキーワードを上のタイトル欄に書きます。それから、センターエリアとA~Hエリアの各キーワードにそって思いついたことを、各エリアに記していきます。
例として下図は、会社の事務所・倉庫などの清掃美化をテーマに作成したマンダラチャートです。

ご覧のとおり、センターエリアには目標として「ゴミゼロ」や「きれいな会社」など、あるべき姿・理想の状態を明記しています。そしてA~Hエリアには「会議室」や「材料倉庫」といった具体的な場所がタイトルとなっていて、各エリア内には即実施すべきことと成果が記載されています。
作成者は、以前はノートに箇条書きで、こうした内容をまとめていました。でも、マンダラチャートを使うようになってからは、「全体像が一目瞭然で、わかりやすくなったと好評」とのことで、社内ミーティングなどでさまざまな事柄についてマンダラチャートを活用しているそうです。
じっくりと分析・説明するのに最適な「B型チャート」
「B型チャート」は、A型チャートよりもずっとマスの個数が増えています。構造的には、A型チャートが中心部にあって、A~Hエリアの個別タイトルをさらに展開したものです。
つまり、1つのA型チャートの周囲に8つの別のA型チャートがあって、それぞれのセンターエリアには、もとになるA型チャートのA~Hエリアのタイトルがそのまま書き写されます。

簡潔にまとめるA型チャートに対して、B型チャートは、じっくりと分析・説明するのに向いています。
下図は、新入社員の採用計画・人材育成をB型チャートに落とし込んだものです。問題解決手法としてAの「現状分析」に始まって、Dの「目標値」で数値目標を決定(「内定4名、採用2名」等)、E~Gに重点施策、Hに組織・管理項目と、必要な事項がまとめられています。

マンダラチャートの書き方のコツ
マンダラチャートは手書きで作成しても、パソコンでエクセルなどを用いて作成してもかまいません。いくつかの色を使ってカラフルにしても、(目標達成がイメージできる)写真を貼ってもよいです。なかなか思いつかず、空欄のままのエリアがあっても大丈夫です。
書く内容のコツは「グ・タ・イ・テ・キ・ニ」。つまり、以下のポイントを押さえてエリアを埋めていきます。
グ:具体的に書く。抽象的な表現では行動が鈍るので、具体的に箇条書きします。
タ:達成可能なことを書く。高すぎる目標は、途中でくじける原因です。
イ:意欲がもてることを書く。他人から与えられた目標を書いても、自分が意欲を感じなければ、行動を起こす気が起きないものです。
テ:定量化する。単に「頑張る」でなく、日数や回数など、なるべく数字に置き換えて。
キ:期日を決める。これを決めておかないと、いつまでたっても目標は達成できません。
ニ:日課にする。習慣化し、常に意識して行動できるような方法を考えます。
マンダラチャートは1回書いたら終わりではありません。新しい気づきを得たら、その都度書き直してもよいのです。そして、常に見えるところに置いて、目標にどれだけ近づいているか、定期的に「振り返り」を行うのも重要です。
マンダラチャートの使い道は無限
マンダラチャートは仕事の目標だけでなく、ダイエットやマラソン大会出場、旅行や読書の記録など、スケジュール管理から、それこそ人生100年計画まで、さまざまなことに活用できます。
それにマンダラチャートには、「バランス思考が身につく」というメリットもあるので、仕事オンリーに陥ることなく、人生で大事なことを両立させながら、有意義で幸福な人生を歩む道しるべともなります。
簡単にマスターできて効果は絶大なので、今日からさっそく作成してみてはいかがでしょうか?
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Image: 『【図解】9マス思考マンダラチャート』, nelzajama / Shutterstock.com
source: 『【図解】9マス思考マンダラチャート』