2014年12月01日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
定時で帰りたいものの、対応すべきメールがたまっているなどの状況では、会社を去るタイミングを見つけるのが難しいですよね。
そこで、罪悪感なくサクッと職場を離れるコツをお伝えします。
「働けなくなるまで働く」がモットーだった私
社会人になりたてのころは学生時代の夜型生活から抜け出せず、デスクでよく眠りに落ちていました。
毎晩のように、徹夜で仕事をするのが日常だったのです。私は自分がワーカホリックであることに気づいていなかったため、1日の仕事の終わりを定義していませんでした。
働けなくなるまで働く。それが私のモットーでした。これは通常、いつリタイアするかを語るときに使われるモットーですが、それを毎日の仕事に適用していたのです。
私たちのキャリアは、40年以上続くマラソンのようなものとよく言われます。でも私は、数十年の単位ではなく、毎日をそのような視点でとらえていました。
1日1日を変えれば、人生を変えられるのだと信じて。多くの「成功者」たちも、睡眠を削ってでもライバルよりも多く働くことをすすめていました。
- 「死んだらいくらでも眠れるさ」
- 「睡眠なんて、赤ん坊のすることだ」
- 「人生を振り返ったときに、ぐっすり眠った日のことを思い出すやつはいない」
成功者ではないけれど、私も自分なりの信念を決めていました。それは、「夢は見るけど、眠らない」というもの。
その信念のおかげで、誰よりも早くデスクに座り、誰よりも遅くまで残っていることができたのです。世界のどこかに存在している想像上のライバルが、自分より多く働いていることが怖くて。
とにかくToDoをすべて完了させることに必死で、毎日が戦争でした。しかも、連日の敗戦。いま思えば、何をもって「完了」としていいのかすら、わかっていませんでした。
とっとと仕事を切り上げてリラックスするためには、いったいどれだけ働けばいいのでしょうか。
正当な1日の労働に対する正当な1日の報酬

「正当な1日の報酬」という言葉を知っていますか? それは、フォードのような会社が、決められた時間内に組み立てラインでどれだけのウィジェットを組み立てられたかを測るための指標です。
生産性を時間で割ると、効率になります。ブルーワーカーの場合、何をもって「完了」とするかは、見た目でわかります。清掃員は、ビルがきれいになったら仕事完了です。
配管工は、水漏れが直ったら家に帰れます。電気技師は、電灯のスイッチがうまく動くようになったら業務終了です。ケーブルテレビの技師なら、5カ所の設置が終わったらその日はおしまい。このように、8時間以内に1つまたは複数のタスクが完了するように、仕事が区切られているのです。
でも、ホワイトカラーの場合、そうはいきません。仕事には終わりがなく、メールはひっきりなしに届き、ToDoリストが延々と続くのです。そのため、極めて生産的な1日を過ごしたあとでも、相変わらずたくさんの仕事に追われている感覚があり、気を抜けません。
やっとの思いでToDoリストの項目を減らしても、次々と新しい項目が増えていきます。自分だけでなく、上司、同僚、クライアントから、どんどん要望が寄せられるのです。
「何かを終わらせたければ、いちばん忙しい人に頼むと良い」ということわざは、このような状況をうまく表しています。それに加えて、テクノロジーのおかげで仕事は家までついてくるようになりました。
清掃員は掃除用具をビルに置いて帰ることができるのに、携帯電話やインターネットはあなたを離してくれません。つまり、メールという名の仕事は、どこまでもあなたを追いかけてくるのです。
定時の5時から家族と夕飯を囲む8時までの間に、ToDoリストが2倍に増えていると思うと、おちおち食事もできません。
「正当な1日の労働」を決めよう
仕事とは、月曜日から金曜日に通う場所のことでもなければ、週に40時間かけてする何かを指すわけでもありません。
仕事とは、個人または組織を、A地点からB地点へと進めるためのプロセスのことを指します。B地点を知らないままA地点を出発しなければならない状況ほど、モチベーションが下がることはありません。
終わりが見えなければ、今すぐ全エネルギーを投入していいのか、それとも後々のために残しておくべきかがわからないため、戦略的に働くことは不可能なのです。
そこで私は、「完了」の定義を流動的に変えることに決めました。そのプロセスは、朝に始まります。毎朝8時、その日の「完了」を定義します。
そして、午後一に定義を見直します。どちらも、5時には仕事を終えることを前提にするのです。具体的には、次のような4つのステップを踏みます。
- カレンダーを見ながら、電話、会議、出張など、その日やらなければならないことを把握する。
- そのために必要な時間を見積もる。
- やらなければならない仕事のタイプを把握する。
- それを踏まえ、その時間内に実際にできることを「完了」と定義する。
仕事完了の4つのタイプ
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ビジネスにはさまざまなタイプの仕事やシーズンがあり、それぞれに「完了」の種類が異なります。繁忙期と閑散期の仕事は、まったく種類が異なるのです。繁忙期は、納期とプレッシャーに追われ、負担が増大します。
一方の閑散期には、戦略的思考、計画立案、繁忙期の準備などを行います。これからやるべき仕事がどんなタイプであれ、適した「完了」の種類は必ず存在するはずです。
それにもかかわらず、私たちはつい、仕事のタイプを把握しないまま、非常事態であるはずの「働けなくなるまで働く」という選択をしてしまう傾向があります。
そうならないためにも、「完了」を定義するための4つの方法を紹介しましょう。
1. エネルギーベース:ヘトヘトになったら帰る
かつての私は、これがデフォルトでした。でも今は、緊急時や厳しい納期が近づいているときだけに限定しています。世の中には、毎日ヘトヘトになるまで働かなければならないと考えている人が、少なからずいるようです。ワーカホリックの人は特にそうでしょう。
それはなぜか? ホワイトカラーの私たちは、体を使わずに、脳"だけ"を使って仕事をしているため、脳はいくら働いても疲れることがないと考えているのです。多くの人が、一度はスポーツ選手になりたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
そのため、殿堂入りした選手たちのように、「全力を尽くす」必要があると考えてしまいます。でも、実際に優勝しているようなチーム、例えばサンアントニオ・スパーズの選手たちは、全試合に全力を尽くしているわけではありません。
むしろ、非常に戦略的に、スタープレイヤーのエネルギー管理を行っているはずです。極端に言えば、全力を出し切らなくても、そのクォーター、ハーフ、ゲーム、その日を勝つことができるだけのエネルギーを出せばいいのです。
相手よりも10点多くとることではなく、1点多くとることが重要なのです。
2. 時間ベース:時計が5時を指したら帰る
ToDoがそれほど多くない閑散期には、こうしています。ToDoを終えて時間が余っても、戦略的思考のために時間を取る必要があります。
かつての私は、仕事がないと不安になり、忙しく見せるためだけにわざわざ価値のない仕事をつくって取り組んでいました。
戦略を立てることは具体的な成果を生み出すわけではないため、罪悪感を感じ、5時以降に先延ばしにしていたのです。それを避けるためにも、時間で切ることに意味があると思います。
3. 結果ベース:今日のToDoリストがすべて完了したら帰る
ブルーカラーであれば、これが普通でしょう。その日の仕事が終われば、時間は関係ありません。でも、ホワイトカラーの場合、レポート作成やプレゼン資料の作成など、1日で終えられない仕事が多く、「その日の仕事」を定義するのが最大の難関です。
そのためにも、ToDoリストを具体的に書くことが重要です。ただ「四半期レポート作成」とするのではなく、「顧客分析セクションの下書きを終わらせる」など、1日または1週間で終わらせることができる細かい項目に分割するのです。会社によっては、これをサポートする「R.O.W.E.」(Result Only Work Environment:完全結果志向の職場環境)というポリシーを掲げているところもあります。
同じタスクを4時間で終わらせる人と、8時間かかる人がいるとします。多くの場合、4時間で終わらせる人は、2倍の仕事を押し付けられることになり、同じ給料をもらっているのに負担が多いという不平等が生じてしまいます。
そうならないために、例えばNetflixでは、やることさえ終わらせれば、無期限のバケーションを取れます。
でも、ほとんどの経営者が、そこまで従業員を信じることができず、このモデルへの移行をためらっているのが現状です。忙しく見せるテクニックや、職場にいる時間よりも、成果が重要なのは明らかなのに。
4. 感覚ベース:今日やったことに満足できたら帰る
成果がはっきりしないときや、取り組むべき課題が不明確なときには、この方法が便利です。新しい領域に足を踏み出すときや何かが変わったばかりのときは、会社に価値をもたらすために次に何をやっていいかわからないことがあるでしょう。
そんなときは、成果もわからなければ、達成にかかる時間もわかりません。だったら、自分の感覚で1日の終わりを決めてしまいましょう。
トイレに行って、鏡を見て、「よし、今日は十分がんばった」と自信を持って言えるなら、時間なんて関係ないのです。私は、「正当な1日の労働に対する正当な1日の報酬」という言葉を信じています。
多くの従業員が、「正当な1日の労働」を定義しないまま、働きすぎているのではないでしょうか。
人生は、少しの仕事、少しの睡眠、少しの愛、それでおしまい。
── メアリ・ロバーツ・ラインハート
誰もが、もっとハッピーな時間を過ごせますように。
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