ウイルス感染予防の第一線は、石けんでの手洗い。
石けんと水が病原体を洗い流してくれるのだと思っていたら、もっと分子レベルで興味深いことが起こっているようです。
石けんの効果とウイルスに打ち勝つ仕組み
ニューヨーク・タイムズ紙で、シドニーにあるニューサウスウェールズ大学の化学教授、超分子化学とナノ粒子が専門のソーダーソンさんが石けんの効果について説明していました。
ソーダーソン教授はまた、Twitterで25回にわたりこのトピックについて解説しています(英語)。
石けんは、分子がたくさんあるとミセルという分子の集合体を作ります。それがウイルスに触れるとウイルスを取り込んで皮膚から剥がし、ウイルスのRNAを守っている外膜(エンベロープ)を壊し、ウイルスが不活性可するというプロセスなのだそうです。
だから、石けんには、新型コロナウイルスをはじめ一定の構造を持つウイルスに対しての感染予防効果が高いのです。
教授によると、石けんの効果は液体でも固形でも変わらず、アルコール系除菌剤でも同じような効果があるそうです。
これで、石けんを泡だてて、徹底的に手洗いする理由にも納得がいきました。ただし、洗いすぎて皮膚を傷めないようにしたいです。
手洗いで推奨されている20秒は、アメリカでは「ハッピーバースデー」を2回歌う時間に相当すると言われています。自分の好きな曲を「手洗いソング」にしてもいいですね。
洗った後、濡れた手はどう乾かす?
さて、手がきれいに洗えました。次の、手を拭く・乾かすステップも大事です。ニューヨーク・タイムズ紙の別の記事では「(手を洗った後に)濡れた水栓を触ったら手洗いが無駄になる」ときっぱり。
手洗いや手のお手入れについては次のようなアドバイスが挙げられています。
- 使い捨てのペーパータオルがベスト。拭いた後のペーパータオルを使って水栓を閉める。
- 布タオルでもいいが、他人と共用しない。
- エアドライヤーで完全に乾かす。
- ハンドローションは使ってもよいが、自分専用として保存容器も清潔に保つ。
- マニキュアOK。しかし、爪が割れたりマニキュアがはげてくるとそこに病原体が繁殖する可能性がある。
手洗い方法をおさらい
正しい手の洗い方はいろいろなところで解説されていますが、わかりやすい動画でおさらいしましょう。
手洗いの方法 by WHO
まず、WHOの動画です。
ここでは、手洗い時間は1分としています。たっぷり泡だてて、両手をくまなく洗います。「水の使いすぎでは?」というコメントも多数ありますが、手洗いの方法についてはよくわかります。
手洗いの方法 by サラヤ
2本目は消毒剤や洗剤のメーカー、サラヤの動画です。
こちらでは、噴射式の手指消毒剤の使い方も紹介されています。消毒剤も石けん同様に、手のあらゆるところにゆきわたるように使います。これは盲点でした。
ペーパータオルがない時は?

上のどちらの動画でもペーパータオルを使っていますが、丸石製薬サイトではペーパータオルがない時には手首や肘で水栓を閉めるように勧めています。
自動水栓、自動ソープディスペンサー、そして手をかざすだけで出てくる自動ペーパータオルディスペンサーなどが完備されたタッチレスのトイレが早く定番になってほしいですね。
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Source: Twitter, The New York Times(1, 2), YouTube(1, 2), 丸石製薬