「SMART」目標設定をやったことがある人ならご存知でしょうが、これは5つの頭文字です。
- 「Specific(具体的な)」
- 「Measurable(測定可能な)」
- 「Assignable(もしくはAttainable)(達成可能な)」
- 「Realistic(現実的な)」
- 「Time-related(時間を区切った)」
特に、具体的な目標は、計画と記録がしやすくなります。
例えば、「テイクアウトの食事の回数を減らす」よりも、「テイクアウトの食事は週2回まで」の方が具体的ですよね。
しかし、複雑な状況では逆効果になることもあります。
具体的な目標の対価
テイクアウトの食事の回数を減らす、ということほどわかりやすくない目標を設定しようとしている場合、自分でもまだ何があるかわかっていない可能性があります。
このような段階では、具体的な目標を設定すると、自分がまだ知らない素晴らしい選択肢を見逃すことになります。
例えば、「TikTokで月3万円稼ぎたい」という目標は、一般的な「月3万円稼ぎたい」という目標よりも、他の稼げるかもしれない多くの選択肢を排除しています。
このような状況で大事なのは、興味のある追求したい分野を絞ることで、必ずしも具体的な結果にコミットする必要はまだありません。
著書『Chase, Chance, and Creativity』の中で、James H. Austinは「チャンスは意図しない気まぐれなものですが、人間が介入できないものだと結論づける必要もありません」と書いています。
運が良くなり、クリエイティブなアイデアを思いつくというのは、結果がどうなるかを知らずに調査したり、探求したりするということです。
これは、3Mは勤務時間の15%、Googleは勤務時間の20%を、従業員は特定されていない個人のプロジェクトに使っていいという原則の意図と同じです。
このようなプロジェクトでは、具体的ではなく、もっと大まかな計画が求められます。
米Lifehackerの子育て系エディターMeghan Moravcik Walbertは、自分の子どものクリエイティブなプロジェクトに時間を割くことの重要性について書いており、この考え方は個人や仕事のプロジェクトにも適用できます。
ここからは、具体的な目標に少し漠然とした余白を加える方法をお教えしましょう。そうすれば、インスピレーションや幸運が訪れた時に、それを受け入れることができます。
コントロールされたずさんさを許す
作家のRobert K. MertonとElinor Barberは、共著書『The Travels and Adventures of Serendipity』の中で、大まかな計画は探求の自由とチャンスを失わないと書いています。
彼らは、イリノイ大学の故Salvador Luria教授が、具体的な目標と大まかな目標を組み合わせたプロセスの研究について説明した言葉を引用しています。
「コントロールされたずさんさというのは、ずさんな要素を認識している研究は、多少ずさんな実験をしても何かしらを得られることが多い」というものです。
アレキサンダー・フレミングがペニシリンを発見したのは、細部にまで完全に几帳面ではなく、旅行から戻った後でシンクにあった古い培養皿をチェックする程度の勤勉さしかなかったからだと言われています。これが、コントロールされたずさんさの完璧な例です。
コントロールされ、意図的である限り、ずさんさは効力になり得ます。読みかけのものは机の上に置いておき、未読のタブはバックアップを取っておきましょう。
大事なのはバランスです。
私がクリエイティブな作品に関する本を探している時に、「The 100 Day Project」のファシリテーターLindsay Jean Thomsonが言ったように、大切なのはアイデアが混ざり合えるように、混沌としたエネルギーを構造の中に導くこと(この場合はずさんさをコントロールすること)です。
好奇心にしたがう
チャンスが約束された結果をもたらすか、それとも完全に時間の無駄に終わるかは、定かでないことが多いです。やらないよりは、とりあえずやってみた方がいいです。
Austinが書いているように、「前進すると確信できるまで動かない研究者は、ほとんど成功しない」のです。
作家でありコメディアンでもあるSarah Cooperが最近TikTokを始めましたが、この現象を体現しているいい例でしょう。
CooperがTikTokに賭けたからこそ、ドナルド・トランプ元大統領の口パク動画がバズって成功したのです。
これは特例ではありません、Cooperは、MediumからFacebookの広告、さらにはCosmopolitanのパロディを始めるなど、様々なプラットフォームで長い間実験していました。
この手の行動は、自分の個性と相まった時に一番うまくいきます。数年前、米Lifehackerでこのような幸運について書いたことがあります。
自分の本能と情熱にしたがいましょう。個人的な視点、多くの人生経験、独自のライフスタイルが組み合わさって、このような偶然が生まれることがあります。
最も希少で予測できないチャンスの形です。
自分の個人的な経験を結びつけ合ったり、それをより深く理解すると、創造性が生まれます。
頭と心の扉を開く
ひとつの仕事だけにどっぷりと浸ると、生産性に関しては多いに恩恵を受けてきましたが、あまりにも極端にそのやり方で仕事をしていたと気づきました。
Richard Hammingはこのスピーチでそのことについて語っていますが、言い換えるとこのような内容です。ドアを閉めて仕事をすると生産性は向上しますが、本当に大事な問題に対する感覚が鈍ります。
ドアを閉めて仕事をする人の方が努力していることが多いですが、ドアを開けて仕事をしている人と、最終的に大事な仕事をする人の間には、かなり相関関係があると言えます。
もちろん、集中して一生懸命仕事をするのは大事ですが、たまにある中断は痛みや迷惑ではないはずです。
中断や新しい情報が、仕事の起点や発展の機会にもなることもあります。そのような中断を歓迎し、もっと人と話しましょう。新しい人たちと出会いましょう。
『Chase, Chance, and Creativity』の中でAustinは、自身の神経学教授であるHouston Merrittの言葉を引用しています。
亀をよく見てみなさい。亀は首を出している時しか進まない。
ドアを開けておくことには、ある程度心の扉を開けておくことも必要です。頭と心の扉を開くことで、閉じている時には気づかないチャンスに気づきます。
『The Luck Factor』でRichard Wisemanはこのように書いています。
運の良い人たちがチャンスに気づくことができるのは、気楽に世界を見ているからです。特定のチャンスが見つかることを期待しているのではなく、むしろチャンスに出会った時に気づくのです。
具体と大まかのバランスを保つ
具体と大まかのバランスを保つというのは、逆説的でもありますが、どちらか一方を極端にする必要性はないということです。
スケジュールに自由な時間を増やすことから始め、その時間に自由なことを探求したり、期待していないことに気づいたりしましょう。
自分が気づいていなかった別の選択肢があるかもしれない状況では、SMARTに加え、大まかでオープンな目標があったほうがいいです。
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Source: Herberd Lui, Wikipedia, Google, The100dayproject, TickTok, Sara, FastComapny, Forge