ストレスへの反応は、人によって2つのタイプに分かれます。ギアを一段上げて問題解決に挑む全力タイプと、事態に対処できないほど縮こまってしまう萎縮タイプです。

この2つ、どちらが正しいということはありません。

なぜなら、前者はバーンアウトになりがちですし、後者はちょっとした障害でも苦しんでしまう傾向があるからです。

これら2タイプの人間が同時に同じストレスにさらされると、人間関係のいたるところに緊張が生じます。

一方があらゆる状況に対処しようとしているときに、他方はずっと縮こまっているため、全力タイプはすべてを1人でやらなければならないことに怒りを覚え、萎縮タイプはプロセスから締め出されている感覚を覚えてしまうのです。

全力タイプと萎縮タイプ

フィラデルフィアにあるTherapy For Women Centerの創設者であり、同施設でクリニカルディレクターを務めているAmanda White氏は、Shapeのインタビューにこう答えています。

全力タイプは特に、子を持つ親、誰かの世話をする人、上司など、なんらかの責任を担っている人がなりがちです。

それに、完璧主義で、他人に助けを求めることや境界線を引くのが苦手な人が多いようです。

グループでプロジェクトに取り組むときにリーダーになりやすく、また他者を信じられずに自分でなんでもこなそうとするタイプでもあります。

そして、実はその存在を助長しているのが萎縮タイプの人たち。じっとしているのが好きで、率先してやってくれる人に大方の仕事を任せてしまうからです。

さらに、萎縮タイプの人は、そもそもストレス対策を避けようとする性質があるものの、「それをすればするほど不安になってしまう」とホワイト氏は指摘します。

そのため全力タイプがすべてに対処することになり、結果としてどちらのタイプにとっても不健全なダイナミクスが働くことになります。

ストレス反応に対処する5つの方法

自分がどちらかのタイプに該当すると思ったら、以下の5つの戦略を試してみてください。

1. トリガーをメモする

とにもかくにも、トリガーの特定が先決です。それは、自分の内なるものかもしれませんし、外にあるものかもしれません。

外的な要因として考えられるのは、生活の大きな変化、環境要因、予測できない出来事、職場での問題、人間関係、トラウマになるような出来事など。

一方の内的な要因としては、恐怖、不透明感や優柔不断、制御不能な状況、自分自身への失望などがあるでしょう。

2. 呼吸法

どんな状況であれ、深呼吸をすれば体をリラックスさせることができます。時間をかけずに緊張をほぐすことができるので、特にストレスの多い今のような時期に有効なテクニックです。

世にはさまざまな呼吸法がありますが、いちばんの基本は腹式呼吸です。やり方は座っていても立っていても同じで、鼻から息を吸い、口から吐き出します。その際、胸を動かさずにお腹を動かすように意識してください。

3. セルフ・コンパッション

セルフ・コンパッションとは自分を思いやる気持ちであり、ストレス下においては特に重要な習慣です。

ストレス要因を直接コントロールすることは難しくても、起きている事象を認識し、それに対する自分の感情的な反応を知り、自らを責めることなく必要な対処法を見つける術を身につけることは、不可能ではありません。

ストレスの多い状況においては、自らを批判したり責めたりすると、さらなるストレスにつながってしまうでしょう。

4. 自分への期待をリセットする

ときに、自分への期待値を変えるだけでストレスが緩和されることがあります。

ささいなことにまでストレスを感じるようなら、自分の行動を見つめなおして、本当に大切なことは何か、変えられることはないか、しなくてもいいことはないかを考えてみてください。

ときには仕事の納期を延ばしてもらったり、プロジェクトを軌道修正したりしてもいいんです。優先順位の低いことは、思い切ってやめてしまうか、誰かに一任してみてはいかがでしょう。

5. 人とつながる

誰もがつながりを求めています。

それが、人間というものだから。ストレスを感じているときは、そのシチュエーションに適した人との時間を過ごすことで、地に足を付け、ストレス要因について考え直すことができるでしょう。

萎縮タイプの人は、誰かと一緒にいるだけで回復力が得られ、ストレス下であっても行動できるようになります。

全力タイプの人は、他人と一緒にいることで地に足を付けることができ、高ぶる気持ちを少しだけ落ち着かせることができるでしょう。

どちらのタイプであれ、行き過ぎは状況を悪化させるだけ。上で紹介した対策を参考に、自分なりのうまいバランスを見つけてください。


Source: Therapy For Women Center, Shape, Mayo Clinic, Well Good, University Michigan Health, Psych Central