花粉が舞う中、病院を受診するのを待てないほどつらいときは市販の内服薬が頼りになります。でも、市販の内服薬は種類が多く、価格もピンキリ。どれが自分の症状に効くのかわかりません。そこで今回は、花粉症の市販薬の選び方について、アレルギー専門医・永倉仁史先生に教えてもらいました。
さらに、先生にお聞きした選び方を参考に、編集部がおすすめの市販内服薬を厳選。効果の強さ、価格の安さに注目してランキング形式でご紹介します。 症状が辛いときに内服薬と併用可能な点鼻薬、花粉症に関するQ&Aもまとめました。
永倉仁史(ながくら・ひとし)先生

ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長。アレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患を専門とし、花粉症に関してはNPO花粉情報協会の理事を務める。鼻アレルギーの治療および減感作療法を専門とし、スギ・ヒノキ花粉症に対する「舌下免疫療法」など、最新の治療法の研究者としても知られている。
■ 目次
-Q1 2023年はいつから飲み始めればいい?
-Q2 花粉症の市販内服薬はどのくらい飲み続けていいの?
-Q3 妊娠中に使える市販内服薬はあるの?
-Q4 病院を受診するタイミングは?
-Q5 アレルギー性鼻炎と花粉症の違いは?
-Q6 点鼻薬に使われているステロイド剤は安全ですか?
-Q7 OTC医薬品、スイッチOTCとは?
花粉症の市販内服薬は、主に2タイプ!

※1:「効果の強さ」とは、花粉によって生じる、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどの症状に対する効き目の強さのことです。効果の強さは薬の即効性のことを指しています。薬は即効性に違いがあります。一般的に早く効くことで効果が強いと感じる傾向があるので、「即効性がある=効き目が強い」とみなすことができるとされています。
※2:副作用とは、薬を服用することで生じる、眠け、口の渇き、倦怠感などのことです。
※3:価格は、2022年1月20日時点のメーカー希望小売価格を1日の使用回数で割った税込価格です(一部、Amazonでの販売価格)。
花粉症の市販内服薬を選ぶ際は、最初に主なカテゴリを知っておくと比較検討しやすくなります。市販内服薬は「効果が強いが副作用も強め」「副作用弱め」の2カテゴリに分けられ、含まれている主な有効成分に違いがあります。
「効果が強いが副作用も強め」カテゴリに分類した薬で用いられている主な有効成分は、第1世代抗ヒスタミン剤。対して「副作用弱め」カテゴリに分類した薬で用いられている主な有効成分は、第2世代抗ヒスタミン剤です。
抗ヒスタミン剤には、くしゃみや鼻水、目のかゆみの原因となる「ヒスタミン」をブロックする働きがありますが、最初に開発されたものが第1世代、後で登場したものが第2世代と呼ばれています。第2世代は第1世代の副作用が弱くなるように改良されたもので、市販内服薬も処方薬も、どちらの場合も第2世代が主流になっています。
花粉症の内服薬・おすすめTOP3― 効き目が強く、副作用が弱い!
まずは、症状をとにかく止めたい!という方におすすめの内服薬3つをご紹介。第2世代抗ヒスタミン剤の中でも効果が強いとされる3つです。1日あたりの価格も算出し、価格が安い順に紹介します。
1位 クラリチンEX(大正製薬) 1日あたり155円
ここで紹介する3つの内服薬の中で、最もリーズナブルな薬。有効成分ロラタジンは第2世代抗ヒスタミン剤の中でも特に眠気の副作用が少なく、運転に関する注意がないのが特長です。錠剤タイプのほかに水なしで飲めるOD錠もあります。
有効成分(1錠中) | ロラタジン10mg(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日1回(毎日同じ時間) |
注意事項(抜粋) | ・服用前後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 14錠/2178円(メーカー希望小売価格) |
2位 アレジオン(エスエス製薬)1日あたり164円
有効成分エピナスチン塩酸塩が今すぐ止めたいくしゃみ、鼻水を抑制し、後からくる鼻づまりを防ぎます。就寝前に飲むことで睡眠中から効果を発揮し、就寝時の鼻づまりや朝のモーニングアタック(朝の発作的な鼻炎の症状)の緩和にも効果的です。
有効成分(1錠中) | エピナスチン塩酸塩20㎎(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日1回(就寝前) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・服用後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 24錠/3938円(メーカー希望小売価格) |
3位 エバステルAL(興和) 1日あたり183円
「エバステルAL」の有効成分エバスチンは、眠くなりにくく、口のかわきが起こりにくいという特徴があります。飲み忘れを防ぐために就寝前の服用が推奨されていますが、忘れた場合でも服用間隔を24時間あければ就寝前でなくても服用可能です。
有効成分(1錠中) | エバスチン5㎎(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日1回(就寝前) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・服用後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 12錠/2200円(メーカー希望小売価格) |
【注目】2020年末に登場した、最新の内服薬!
有効成分が処方薬と同量含まれている最新の内服薬がこちら。現在はオンラインでは購入できませんが、今後購入可能になる向きもあるので、覚えておくといいでしょう。
タリオンAR(田辺三菱製薬) 1日あたり281円

「タリオンAR」の有効成分ベボタスチンベシル塩酸は、服用後約1時間で体内に速やかに吸収される特徴があるため、効果も比較的早く現れるといわれています。現在は「要指導医薬品」に分類されているため、購入できるのは薬剤師の指導が受けられる薬局、またはドラッグストアに限定されています。
有効成分(2錠中) | ベボタスチンベシル酸塩20g(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日2回(朝夕、空腹時OK) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・服用後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 10錠/1408円(メーカー希望小売価格) |
花粉症の市販内服薬の選び方―自分に合うものを見つける3STEP
自分に合った市販薬内服薬の選び方を解説します。パッケージに記載の成分名をチェックする必要はありますが、簡単な3STEPです。
【STEP1】有効成分をチェックして、第1世代と第2世代を見分ける

冒頭の解説では、花粉症の市販内服薬を
- 効果が強いが、副作用も強い(第1世代抗ヒスタミン剤)
- 副作用弱め(第2世代抗ヒスタミン剤)
の2カテゴリに分けていますが、薬のパッケージにはカテゴリ名は書かれていません。そのため、まずはパッケージの成分表に書かれた有効成分をチェックし、薬がどちらのカテゴリなのかを判別。そのうえで好みのタイプを選ぶのがわかりやすく、おすすめです。
また、すでに飲んでいて体に合う処方薬がある場合は、同じ成分の市販内服薬を選ぶといいでしょう。逆に合わない場合は、違う成分の薬を選びましょう。
【STEP2】注意事項をチェックする
購入したい市販内服薬の候補を絞ったら、次は注意事項をチェック。服用後の運転、飲酒を禁じるなど、薬によって注意事項は異なります。
また、市販の花粉症用内服薬を服用している間は、ほかのアレルギー用薬(皮膚疾患用薬、鼻炎用内服薬などを含む)、抗ヒスタミン剤を含有する内服薬(かぜ薬、鎮咳去痰薬、乗物酔い薬、催眠鎮静薬などを含む)などを服用できないことも忘れずに。
【STEP3】飲む回数、飲み方など、自分に合った薬を絞り込む

最後に確認したいのが、飲む回数や飲み方。自分のライフスタイルや好みに合わせ、飲みやすいものを選びます。
【1日1回タイプ】花粉症の市販内服薬おすすめTOP2
第2世代抗ヒスタミン剤配合の市販内服薬の中で、1日1回飲めば効くタイプのおすすめです。記事中ですでに紹介した「クラリチンEX」「アレジオン20」「エバステルAL」も1日1回タイプです。1日あたりの価格が安い順に紹介します。
1位 コンタック鼻炎Z(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン) 1日あたり101円
「コンタックZ」の有効成分はセチリジン塩酸塩。処方薬の「ジルテック」にも同じ成分が含まれているので、「ジルテック」を医師に処方されて効き目があった人にはこちらがおすすめです。
有効成分(1錠中) | セチリジン塩酸塩10㎎(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日1回(就寝前) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・服用後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 32錠/3233円(2022年1月20日時点のAmazon販売価格) |
2位 ストナリニZジェル(佐藤製薬) 1日あたり181円
上記の「コンタックZ」と同様、「ストナリニZジェル」にもセチリジン塩酸塩が含まれているので、医師の処方薬「ジルテック」で効き目があった人にはおすすめです。「コンタックZ」は錠剤、「ストナリニZジェル」はカプセルなので、飲みやすいほうを選ぶといいでしょう。
有効成分(1錠中) | セチリジン塩酸塩10mg(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1カプセル/1日1回(就寝前) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・服用後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 12カプセル/2178円(メーカー希望小売価格) |
【朝夕2回タイプ】花粉症の市販内服薬おすすめTOP5
第2世代抗ヒスタミン剤配合の花粉症の内服薬の中で、朝夕2回飲めば効くタイプのおすすめです。1日あたりの価格が安い順に紹介します。
1位 PHARMA CHOICE アレルギー専用鼻炎薬 アレジークHI (日野薬品工業) 1日あたり46円
Amazon限定ブランドPHARMA CHOICEの「アレジークHI」は、次に紹介する「アレグラFX」と同じ有効成分フェキソフェナジン塩酸塩を同量配合した薬。「アレグラFX」の後発商品のため、価格がとても安くなっています。
有効成分(2錠中) | フェキソフェナジン塩酸塩120㎎(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日2回(朝夕) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 60錠/1409円(2022年1月20日時点のAmazon販売価格) |
2位 アレグラFX(久光製薬) 1日あたり148円
「アレグラFX」は脳に影響を及ぼしにくい(脳内移行が少ない)成分を使用しているため、眠くなりにくいだけでなく、「集中力、判断力、作業効率の低下といった、気づきにくい能力ダウンも起こしにくいお薬」という表記があります。そのため車の運転は禁止されていません。
有効成分(2錠中) | フェキソフェナジン塩酸塩120㎎(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日2回(朝夕) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 28錠 /2075円(メーカー希望小売価格) |
3位 アレルビ(皇漢堂製薬) 1日あたり148円
「アレルビ」も2つ前に紹介した「アレジークHI」と同様に「アレグラFX」の後発医薬品です。ドラッグストアなどでは、「アレグラFX」と隣り合わせで陳列されていることも多く、20品以上あるといわれている「アレグラFX」の後発医薬品の中ではメジャーな薬です。
有効成分(2錠中) | フェキソフェナジン塩酸塩120㎎(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日2回(朝夕) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 28錠/2075円(メーカー希望小売価格) |
4位 パブロン鼻炎カプセルSα(大正製薬) 1日あたり220円
即効性のある第1世代抗ヒスタミン剤配合の薬。血管収縮剤が早急に鼻粘膜の充血や腫れを抑えるので、つらい症状を早く止めたいときにおすすめです。
有効成分(2錠中) | 塩酸プソイドエフェドリン60mg(血管収縮剤) マレイン酸カルビノキサミン6mg(第1世代抗ヒスタミン剤) ベラドンナ総アルカロイド0.2mg(抗コリン成分) 無水カフェイン50mg(カフェイン) |
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用量/用法 | 15才以上、1回2カプセル/1日2回(12時間おき) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・3日間使用しても全く症状が改善しない場合、使用を中止し、医師または薬剤師や登録販売者に相談を |
容量/価格 | 24カプセル1320円/(メーカー希望小売価格) |
5位 エスタック鼻炎カプセル12(エスエス製薬) 1日あたり242円
1つ前の「パブロン鼻炎カプセルSα」と同様、こちらも即効性のある第1世代抗ヒスタミン剤配合。鼻水、くしゃみなどのアレルギー症状を抑えます。鼻粘膜の充血やはれを抑えて、鼻づまりを緩和し、鼻炎に伴う頭重感も和らげます。
有効成分(2錠中) | プソイドエフェドリン塩酸塩120mg(血管収縮剤) ベラドンナ総アルカロイド0.4mg(抗コリン成分) クロルフェニラミンマレイン酸塩8mg(第1世代抗ヒスタミン剤) サイシン乾燥エキス40mg(生薬成分) 無水カフェイン100mg(カフェイン) |
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用量/用法 | 15才以上、1回2カプセル/1日2回(朝夕) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・3日間使用しても全く症状が改善しない場合、使用を中止し、医師または薬剤師や登録販売者に相談を |
容量/価格 | 20カプセル/1210円(メーカー希望小売価格) |
【チュアブルタイプ】花粉症の市販内服薬おすすめTOP3
外出時や忙しいときにすぐ飲めて便利なチュアブルタイプのおすすめです。1日あたりの価格が安い順に紹介します。
1位 ロートアルガードゼロダイレクト(ロート製薬)1日あたり132円
水がなくても口の中でかむか溶かして服用できるチュアブルタイプ。有効成分フェキソフェナジン塩酸塩を内服薬の「アレグラFX」と同量配合し、1日2回の服用でアレルギー反応を24時間抑えてくれます。
有効成分(2錠中) | フェキソフェナジン塩酸塩 120mg(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日2回(朝夕、かむか口の中で溶かす) |
注意事項(抜粋) | ・服用前後は飲酒してはいけない ・授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けること |
容量/価格 | 30錠/1980円(メーカー希望小売価格) |
2位 コルゲンコーワ鼻炎フィルムα(興和)1日あたり194円
2020年11月に発売されたフィルムタイプの花粉症の薬。効き目の早い第1世代抗ヒスタミン剤が鼻のアレルギー症状を素早く抑えるほか、抗コリン成分が鼻汁の分泌を抑制し、血管収縮剤が鼻づまりの解消に役立ちます。今すぐにつらい症状を止めたいときに。
有効成分(1枚中) | β-クロルフェニラミンマレイン酸塩2.0mg(第1世代抗ヒスタミン剤) ベラドンナ総アルカロイド0.2mg(抗コリン成分) フェニレフリン塩酸塩5.0mg(血管収縮剤) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1枚/1日3回(4時間以上間隔をあける) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・3日間使用しても全く症状が改善しない場合、使用を中止し、医師または薬剤師や登録販売者に相談を |
容量/価格 | 18枚/1166円(2022年1月20日時点のAmazon販売価格) |
3位 ロートアルガードクイックチュアブル(ロート製薬)1日あたり264円
食前・食後に関わらず水なしで服用できるチュアブル錠です。メキタジンがアレルギー症状の発生を原因からしっかり抑制し、つらいアレルギー症状にもすぐれた効果を発揮。さわやかなフレッシュメントール味でスーッとした服用感があります。
有効成分(3錠中) | メキタジン 4.0mg(第2世代抗ヒスタミン剤) フェニレフリン塩酸塩 15.0mg(血管収縮剤) ベラドンナ総アルカロイド 0.4mg(抗コリン成分) 無水カフェイン 90.0mg(カフェイン) |
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用量/用法 | 15才以上、1回1錠/1日3回(4時間以上間隔をあける) |
注意事項(抜粋) | ・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・5~6日間使用しても全く症状が改善しない場合、使用を中止し、医師または薬剤師や登録販売者に相談を |
容量/価格 | 15錠/1320円(メーカー希望小売価格) |
【子ども用】花粉症の市販内服薬おすすめ2選
以前は子ども用の花粉症の薬の種類が少なかったため、大人用の薬の量を減らして飲ませる場合が多かったようですが、最近は子どもの花粉症が増えてきたこともあり、薬の種類が増えてきました。第1世代、第2世代から代表的な薬を紹介します。
宇津こども鼻炎顆粒(宇津救命丸)
乳幼児期から使える第1世代抗ヒスタミン剤配合の薬です。甘いぶどう味で、サッと溶ける顆粒タイプなので、飲ませやすいのがいいところ。
有効成分(3g中) | クロルフェニラミンマレイン塩酸6mg(第1世代抗ヒスタミン剤) フェニレフリン塩酸塩12mg(血管収縮剤) グリチルリチン酸二カリウム33mg(抗炎症成分) |
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用量/用法 | 1~2才は1回1/2包、3~6才は1回2/3包、7~10才は1回1包/1日3回(食後なるべく早く) |
注意事項(抜粋) | ・1才未満の乳幼児は使用してはいけない ・2才未満の乳幼児は、医師の診療を受けさせることを優先させ、やむを得ない場合のみ服用すること ・3日間使用しても全く症状が改善しない場合、使用を中止し、医師または薬剤師や登録販売者に相談を |
容量/価格 | 12包/1078円(メーカー希望小売価格) |
アレグラFXジュニア(久光製薬)
「アレグラFX」の子ども用の薬、7~14才の子どもが使えます。有効成分フェキソフェナジン塩酸塩の量は大人用の半分。大人用よりもひと回り小さいサイズの錠剤です。
有効成分(2錠中) | フェキソフェナジン塩酸塩60mg(第2世代抗ヒスタミン剤) |
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用量/用法 | 7~11才は1回1錠、12~14才は1回2錠/1日2回(朝、夕) |
注意事項(抜粋) | 7才未満の子どもは使用してはいけない |
容量/価格 | 16錠/1298円(メーカー希望小売価格) |
花粉症の【点鼻薬】もおすすめー症状が辛い時は併用しても
くしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどの花粉症の症状が辛いときは、花粉症の市販内服薬と花粉症の市販点鼻薬を併用することも可能です。点鼻薬は鼻腔内に直接噴霧して用いることで、花粉症のアレルギー症状を抑えます。商品によって即効性や有効時間が異なります。
花粉症の市販点鼻薬は、2タイプから選ぶ

症状が辛くて「すぐに効いてほしい!」というときは、即効性のある第1世代抗ヒスタミン剤+血管収縮剤が配合されたタイプを選びます。ただし、継続して使うと症状が悪化することがあるので、使用できるのは症状がつらいとき・短期間のみです。
一方、「長く効いて欲しい」「眠気を避けたい」という場合は、ステロイド剤配合のタイプを。こちらは、用法・用量を守って継続して使うことで効果を発揮します。
花粉症の市販点鼻薬のおすすめ4選
即効性があるタイプ、長く効くタイプのおすすめをそれぞれ2点ずつ紹介します。
新ルル点鼻薬(第一三共ヘルスケア)
第1世代抗ヒスタミン剤と血管収縮剤を使っているので、つらい鼻の症状にすぐに効果を発揮します。3~4時間おきに1日6回まで使えます。1プッシュにつき0.08mL噴霧されるので、1本で約200プッシュできます。
ナファゾリン塩酸塩0.5mg(血管収縮剤) クロルフェニラミンマレイン酸塩5mg(第1世代抗ヒスタミン剤) 塩酸リドカイン(無水物として)3mg(局所麻酔) ベンゼトニウム塩化物0.2mg(殺菌作用) | |
15才以上、左右の鼻腔に1回1~2噴霧/1日6回まで(3~4時間おき) | |
・3日間使用しても全く症状が改善しない場合、使用を中止し、医師または薬剤師や登録販売者に相談を | |
16㎖錠/801円(メーカー希望小売価格) |
ロートアルガードST鼻炎スプレー(ロート製薬)
アレルギー症状の発生を原因から抑える抗アレルギー成分を配合。かゆみを和らげる第1世代抗ヒスタミン剤、つらい鼻づまりを速やかに鎮める血管収縮剤も配合。くしゃみや鼻水など、不快な鼻の症状にすばやく働きかけます。
クロモグリク酸ナトリウム 1%(抗アレルギー成分) クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.25%(第1世代抗ヒスタミン剤) ナファゾリン塩酸塩 0.025%(血管収縮剤) ベンゼトニウム塩化物 0.005%(殺菌作用) | |
7才以上、左右の鼻腔に1回1噴霧/1日3~5回(3時間以上の間隔をあける) | |
・服用後、乗物または機械類の運転操作をしてはいけない ・3日間使用しても全く症状が改善しない場合、使用を中止し、医師または薬剤師や登録販売者に相談を | |
15㎖/1408円(メーカー希望小売価格) |
エージーアレルカットEXc<季節性アレルギー専用>ロールタイプ(第一三共ヘルスケア)
ステロイド成分ベクロメタゾンプロピオン酸エステルを配合。効果が持続する成分なので、1日2回で効果を発揮します。I-メントールとハッカ油を添加物として加えたクールタイプ。
・ステロイド点鼻薬を過去1年間のうちに3カ月以上使用した人は服用してはいけない ・1年間に3カ月以上連用してはいけない | |
10㎖/1980円(メーカー希望小売価格) |
ナザールαAR0.1%<季節性アレルギー専用>(佐藤製薬)
ステロイド剤の働きによって、鼻腔内のうっ血や炎症を抑え、鼻詰まりに作用します。一定量の薬液が噴霧できるスプレーです。一度スプレーした液は、容器内に逆流しないので衛生的です。
有効成分(100g中) | ベクロメタゾンプロピオン酸エステル0.1g(ステロイド剤) |
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用量/用法 | 18才以上、左右の鼻腔に1回1噴霧/1日2回(朝夕)※1日最大4回(8噴霧)まで使用できるが、3時間以上の間隔をあけること |
注意事項(抜粋) | ・ステロイド点鼻薬を過去1年間のうちに3カ月以上使用した人は服用してはいけない ・1年間に3カ月以上連用してはいけない |
容量/価格 | 10㎖/2178円(メーカー希望小売価格) |
花粉症の市販内服薬についてのQ&A
薬の飲み方や選び方、通院のタイミングなど気になる疑問についてお答えします。

Q1 2023年はいつから飲み始めればいい?
市販内服薬を飲み始める最適なタイミングは、有効成分によって異なります。
第1世代抗ヒスタミン剤配合の薬は即効性があるため、アレルギー症状が出てから使いましょう。第2世代抗ヒスタミン剤配合の薬は、アレルギー症状を引き起こす原因となる「ヒスタミン」を放出させない作用もあるため、花粉を感じる前、症状が軽症のうちから服用すると効果的です。
ちなみに、日本気象協会によると2022年の花粉シーズンは2月上旬からスタートし、ピークの見込みは次の通り。スギは大量飛散にともないピークが長引く可能性ありとのこと。
- スギ:3月下旬頃まで
- ヒノキ:4月上旬から下旬
Q2 花粉症の市販内服薬はどのくらい飲み続けていいの?
花粉症の市販内服薬は、長く使うことを前提にしていません。大半の商品の注意書きには「〇日間使用しても症状の改善がみられない場合には使用を中止し、医師又は薬剤師にご相談ください」とあります。用期間は3日~2週間と薬によって違うため、服用する前に必ず注意書きを確認しましょう。
Q3 妊娠中に使える市販内服薬はあるの?
花粉症の市内服販薬は、妊娠初期(妊娠4カ月まで)は薬の成分が赤ちゃんの悪影響を及ぼしやすいため、原則として使用してはいけません。安定期に入ると薬を飲むことはできますが、市販内服薬を自己判断で飲むことはN。妊娠または妊娠の可能性がある方は、必ず医師または薬剤師、登録販売者に相談してください。
Q4 病院を受診するタイミングは?
複数の市販内服薬を試してから受診するのではなく、ひとつの市販薬を試して効果が感じられなかったら早めに受診してください。アレルギー症状がひどくなるとより強い薬が必要になったり、薬の種類や用いる量を増やしたりしないと症状が治まらなくなる場合も…。早めに受診すれば、症状に合った薬を医師に処方してもらえます。
Q5 アレルギー性鼻炎と花粉症の違いは?
花粉症はアレルギー性鼻炎の一種です。アレルギー性鼻炎には通年性のものと季節性のものがありますが、季節性の代表格が花粉症です。花粉がアレルゲンとなって、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状を引き起こします。喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー素因のある人に起こりやすいと言われています。
Q6 点鼻薬に使われているステロイド剤は安全ですか?
点鼻薬に含まれているステロイド薬は、一回の使用量がごく僅かなため、全身に及ぼす悪影響がなく、安全性が高いとされています。一般的に継続して長く使わなければ問題ありません。
ただし、18才未満の人、妊婦または妊娠していると思われる人は使用禁止です。また、高齢者、持病のある人、授乳中の人は使用する前に必ず医師や薬剤師に相談してください。
Q7 OTC医薬品、スイッチOTCとは?
OTC医薬品はいわゆる市販薬のことで、医師の処方箋がなくても薬局などで購入できます。スイッチOTCとは、処方薬として長期間使用され、安全性が確認されたうえで要指導用医薬品または一般用医薬品として販売が可能になったOTC医薬品のことです。
●監修者は「選び方」について監修を行っています。また、掲載の情報は薬の有効性を保証するものではなく、医学的アドバイスも目的にしていません。アドバイスや情報を必要とされる場合は、医師や薬剤師、製品の製造者等の相談窓口にお問い合わせください。
●記事に掲載している情報は、紹介している市販薬に関する一般的情報であり、記載情報を用いて行う利用者の判断について責任を負うものではありません。あくまで自身の判断でお読みいただき、参考にしてください。
参考文献:
『子どもの花粉症・アレルギー性鼻炎を治す本』(永倉仁史著、講談社)
『スギ花粉症は舌下免疫療法(SLIT)でよくなる!』(永倉仁史著、現代書林)
『鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版(改訂第9版)』
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会ライフ・サイエンス
『OTC医薬品とは』公益社団法人東京と薬剤師会(toyaku.or.jp)
『2022年春の花粉飛散予測』日本気象協会(tenki.jp)
撮影・図版デザイン:鶴見裕也(SpearMint)、制作協力:辻治子(薬剤師)