新年度、始まりました。
年度末の慌ただしさから一息つくタイミングでもありますが、そんな新しい季節には、余計なものを捨て去って、新たな気持ちで挑みたいものです。
モノはもちろん、日常的に惰性で続けてしまっている悪い習慣も。
そこで、気持ちも新たで新年度を迎えるために、深酒・エナジードリンク・麺類・タバコなど、4人のライフハッカー[日本版]編集部員がそれぞれにやめようと思ってもやめられないでいた悪い習慣のリセットに挑戦してみることにしました。
悪い習慣をやめるにあたり、それぞれの編集部員がどのようにやめたのかを習慣化コンサルタントの古川武士さんに聞いてもらい、採点とアドバイスをいただきます。
古川武士(ふるかわ・たけし)/習慣化コンサルタント

関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。約3万人のビジネスパーソンの育成と約500人の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、オリジナルの習慣化理論・技術をもとに個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。主な著書に「続ける習慣」「やめる習慣」「早起きの技術」などがあり、全16冊、計70万部を超え、中国・韓国・台湾など海外でも広く翻訳され読まれている。公式サイト
これまで、さまざまなやめたいことにチャレンジしてきたライフハッカー[日本版]編集部員たち。ラストを飾るのは、編集長・松葉による「タバコ」をやめるです。
やめようと思ったきっかけ

・休日や家では吸わないが臭いが気になると家族に言われた
・休日は吸わないでいられるのだから、平日もできると思った
・世間的な肩身の狭さ
・やっぱり健康面が気になる
一番大きなきっかけは、やはり家族からタバコの臭いについて指摘されること。
また、住んでいるマンションが規約上ベランダで吸えないし、換気扇の下で吸うこともしたくないので、吸うなら近くのコンビニまで行かねばならず、もともと休日や平日の夜は吸わない習慣。
それもあり、だいたい1日10本くらいのペースでした。だったらいっそのことやめてしまえば、家族に臭いで不快にさせることもないのでは?と考えました。
あとは、世の中的に、これから喫煙者に優しくなる方向には絶対いかないよな、ということを考えると、やっぱりそろそろ潮時かなという感覚も。
ちなみに、30代後半にさしかかり、健康診断の項目ではちらほらアラートがありますが、どちらかというとお酒由来かな?という感じです。
やめるためにしたこと
・禁煙アプリで、禁煙時間や本数、節約したお金などを可視化
・キリのいいタイミングからはじめる(年末の会社の飲み会で宣言してスタート)
・節約したお金で自分にごほうび(安いBluetoothイヤホンを買いました)

やめるためにまずしたことは、数値化すること。
禁煙ウォッチ(AppStore , Google Play)というアプリを使って、禁煙時間・禁煙できた本数・節約できた金額を可視化しました。
1日に吸っていた本数と1箱の値段を入れるだけで、上記に加え、ちょっと眉唾ですが延びた寿命まで表示してくれるので、モチベーションにつながりました。
またはじめるタイミングとして、休日に吸わない習慣なことから年末年始を活用しようと、会社の納会の二次会で、その場にいる人に宣言してスタートしました。
おかげでいいスタートが切れた気がします。
年明けの仕事始めからというもの、タバコを吸う時間がなくなったおかげもあり、子どもが寝る前やお風呂を入れる時間に帰れることが多くなり、息抜きの時間や喫煙スペースでのコミュニケーションが恋しくなることがありつつも、メリットを感じていました。
結果、約1カ月で7000円ほどを節約でき、そのご褒美としてBluetoothイヤホンを買い、物欲も満たされ順風満帆といきたいところだったのですが…
や め ら れ ま せ ん で し た

仕事が忙しくなり、つい吸ってしまったんです…。
どうスムーズに仕事をしても子どもが起きているうちに帰れそうにないなと思うと、じゃあちょっと息抜きしながらやるか、という思考回路になってしまい、手を出してしまいました。
すると、瞬く間にすっかり前と同じような喫煙習慣に。
そこで古川さんには、失敗に終わったものの試してみたこと、そして何が足りなかったのかをお聞きしました。

・採点は80点。やめる施策はよかった。
・キリの良いタイミングではじめる、宣言するということができている。
・アプリで数値化するというのも習慣化としてはいい(効く人と効かない人がいるとは思うが)
まず試したことへの評価は上記のとおり。
失敗したにもかかわらず、なかなか高い評価をいただきました。そのうえで古川さんが続けたのが「タバコを断つ習慣化の難しさ」。
実は28歳まで1日に2箱半も吸っていたという古川さん。禁煙の難しさをロケットになぞらえて、「タバコという依存性の強いものは、“大気圏から抜けるエネルギー”が膨大。
せっかくロケットスタートを決めても、ギリギリのところで引力に負けて戻ってきてしまったりする」と解説。
だからこそ、それなりの決意のタイミングですることが大切。
そこまで待つのもひとつの手、といいます。なんとなく富士山に登ってきましたというひとがいないように、なんとなく禁煙しましたというひとはいない。
家族からきつく言われるとか、値上げ、使っていた喫煙スペースがなくなるとか、そういうタイミングを活用するべきだとアドバイスされました。
では、そのタイミングが来たときにどうすればいいのか? 答えは「退路を断つ」。
・四方八方、ぜんぶ宣言してしまう(職場も家も)
・禁煙外来などの助けを借りる
・別のことでストレス発散をする(依存性のあるものでもよい)
退路を断つには上記のことをするのがおすすめだそう。
1つ目の宣言に関しては、僕は宣言した飲み会の場にいた人や編集部、そして家族には伝えていましたが、もっと広く宣言したほうが効果があるようです。
確かに喫煙スペースで会っていた人には「最近いないねぇ」とか言われてもはぐらかしたりしていました。
たくさんの人と約束をすればするほど破りにくくなる。それほど「人との約束」の力は大きいんです。
また、古川さんのお知り合いの禁煙外来の方が言うには、脳は本数を減らしていっても1本に快感を感じてしまい、その1本がやたらうまく感じてしまうから、減煙ではなく禁煙がいいのだとか。こうした専門家の知見はやはり大切です。

そして、衝撃だったのが「他の依存性のあるものに代替してもよい」ということ。
例えば、僕の場合は、仕事が忙しくなるというのトリガーでした。
そこで、吸いたくなったらエナジードリンクを飲むというのもアリなんです。
やめていた1カ月間、炭酸水やコーヒー、ガムなどで紛らわせていたのですが、エナジードリンクはちょっと罪悪感もあったのでそれで代用しようという発想はありませんでした。
しかし、古川さんによると、他の依存に置き換える手法をとる必要があるくらい、タバコの習慣は手強いんです。
そうして“大気圏”を突破してから、置き換えたものをやめていく。確かに自分の場合、タバコよりもエナジードリンクのほうがやめられそうな気がします。
そして、その“大気圏突破”の目安になるのが「3カ月」と「半年」という期間。
脳には、タバコを吸うことでリフレッシュしているというシーンがこびりついています。
意識を消すには時間が必要で、頭のなかにイメージがあるうちは欲しくなり、イメージが薄くなると欲しくなくなっていきます。
例えば、恋愛して失恋する。失恋直後はキツイですが、だんだん時間がたつと、あまり思い出さなくなる。それは、時間がたつと鮮明に思い出せなくなり、回数も減るから。
タバコの場合も、僕のようにエナジードリンクでもいいし、人によってはチョコでもよくて、吸いたい衝動が出たときにパッと抑えられると続けられる。
まずは、それを3カ月続ける。そして、半年経つと脳の中の快感イメージが減ってきて、どんどん欲しくなくなってくるといいます。

古川さんは1日2箱半も吸っていたのをやめたあと、へんな咳がでなくなった、時間がとられる感覚がなくなった、空気が美味しく感じられた、と言っていました。
そんな話を聞いて、古川さんから教わったアドバイスに従って、もう一度、そして最後のチャレンジになるように禁煙を始めてみることにしました。
僕自身、いままで何度も禁煙に失敗してきました。この記事を読んでくれた方にもそういう方がいるかもしれません。まわりに宣言して、ときには代替品も大胆に活用して、“退路を断って”一緒に“大気圏突破”しましょう。
Image: Shutterstock.com(1, 2), ヨコヤマコム
Screenshot: ライフハッカー[日本版]編集部
Source: 禁煙ウォッチ(AppStore , Google Play)