ファッションに敏感な男性たちから、少しずつ注目を集めているフィッシングウェア。
近年のアウトドア、キャンプ人気に乗じて、バス釣りや渓流釣りが見直されたことがその要因です。
カジュアルにおけるアウトドア人気には止まることを知らず、もはやライフスタイルに欠かせないものとして広く受け入れられています。
キャンプやトレイルランニングはもちろん、近年静かなブームになっているフィッシングも注目すべきアクティブティのひとつ。
昨年あたりから国内外の有名釣り具メーカーが、ファッション性を強く打ち出した新レーベルを立ち上げるなど、その動きが本格化しています。
替えの針や糸、ルアーやフライなどの必要な小物を分けて収納できるたくさんのポケットはもちろん、防水性・撥水性を備えたフィッシングベストはその代表格。
実は90年代においてもフィッシングベストが脚光を浴びたことがありましたが、現在のストリートファッションのリバイバル的な側面とも重なります。
もちろん、過去のブームにおけるアイテムよりも機能性や着心地は向上しているだけでなく、ファッション性が高い点がここ数シーズンの大きな特徴。
というわけで、タウンユースでも遜色のなく、ギア好きな男性を刺激する秀作をご紹介します。
トレンド要素も取り入れた、ダイワ ピア39の「ミル フィールド ジャケット」

日本を代表する総合釣具メーカーであり、ゴルフ、テニス、サイクリングと幅広い分野を手掛けている「ダイワ精工」。
2009年、同社が社名を変更する際、クリエイティブディレクターとして佐藤可士和氏を迎えて、ブランドロゴを一新して大幅にリブランディング。
そんな転換期に新たにローンチさせたアパレルラインが、「ダイワ ピア39」なんです。
こちらは、ミリタリーが出自のフィールドジャケットを、マットな質感の高密度ポリエステル素材で再構築。
また、フィッシング時に欠かせない両胸の大きなポケットに加えて、ベルクロテープで取り外しが可能なポケットをアームに配置。
トレンド感のあるオーバーサイジングにすることで、旬のストリートテイストも取り入れています。
MIL FIELD JACKET価格2万5000円/グローブライド
一生モノとして愛用したい!フィルソンの「フライフィッシング ガイド ベスト」

アウトドアはもちろん、ハンティング、フィッシング、ワークウェアの分野でもパイオニアであり続けるアメリカの老舗ブランド「フィルソン」。
120年余にもおよぶ長い歴史の中で、マッキノークルーザージャケット、ツイルダッフルバッグなど、生み出してきた永世定番は数知れず。
こちらの「フライフィッシング ガイド ベスト」もそのひとつです。
フライフィッシングの毛針を刺しておく本羊毛のパッチはもちろん、替えの釣り糸やリールを収納するマチ付きのポケットやサングラスポケット、さらには背面の大容量ポケットまで、必要な小物をこの1着に集約できます。
長時間着用してもストレスが少ないリブ襟や、サイドとフロントに設けられたフィット感を調整するタブなど、実際の着心地にも配慮がなされているのが特徴。
ファッションとしてはもちろん、ギアとしても一生付き合いたくなるベストなのです。
FLY FISHING GUIDE VEST価格4万7000円/フィルソン
ベストにもなる!フォックスファイヤーの「アルフラックス ユーティリティジャケット」

熱心な釣り人やアウトドアファンから支持されている日本ブランドの「フォックスファイヤー」は、1982年に4型のフィッシングベストの製作からスタート。
以来、フィールドで得られた経験則からさまざまなアウトドアウェアを開発し、2007年にリニューアルを遂げました。
一貫しているのは、表層的なファッションのためのアウトドアウェアではなく、自然と触れるライフスタイルを実践する人々のためのリアルクローズであること。
「アルフラックス ユーティリティジャケット」は、そんな同ブランドの理念が息づいたフィッシングジャケットです。
素材は高密度なウェザー生地(コットンポリエステル)にパラフィン系ワックスを含浸させた、高い防水性を誇るアルフラックスクロス。
前面にはたくさんの小物用ポケット、背面にも大型ポケットを装備しているので、手ぶらで外出するのにも便利。
さらに袖を取り外してベストとしても使えるコンバーチブル仕様で、ノーカラーのデザインはレイヤードも楽しく、さまざまな着こなしに対応してくれます。
Alflux No Collar Utility Jacket価格4万6000円/フォックスファイヤー
コットンながら驚きの機能性を発揮する、スノーピークの「フィールド フィッシングベスト」

もはや説明不要の人気ブランドである「スノーピーク」の、定番的キャンプベストがこちらの「フィールド フィッシングベスト」。
味わいのある素材感とオーバーオールのようなフック留めボタンが目を引きます。
フロントに配置したたくさんのフラップポケットは、ベルクロテープやゴムリブで中身の落下を防ぐなど、実際のフィールドでの使い勝手も熟慮されています。
主にフライフィッシング用にデザインされていますが、キャンプはもちろん、普段のカジュアルに合わせやすいクラシカルな雰囲気にデザイン。
そして素材はコットン100%ですが、“FiberProtection”と呼ばれる特殊加工を施しているのがポイント。
従来の撥水加工のように表面に施すのではなく、繊維そのものに加工を施すことで、撥水・防汚効果をはじめ、抗菌消臭効果やUVカットに加え、帯電防止効果も発揮するそう。
また、着用を繰り返して撥水効果が低下しても、メンテナンスを依頼すればリフレッシュ可能なところもサステナブルで素晴らしい点です。
Field Fishing Vest M Navy価格3万7000円/スノーピーク
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たくさんのポケットと撥水・防水性のある生地が特徴のフィッシングウェアは、日常のさまざまなシーンに活用できます。
フォトグラファーやリポーターがこうしたベストを活用しているのも、両手が自由に使えてバッグ要らずだからこそ。
主張が強くて合わせづらいと思われがちですが、いつものスウェットやシャツの上に羽織るだけで違和感がありません。
色柄がごちゃごちゃしないようにトーンさえ合わせれば、いつものカジュアルがグッと新鮮かつ機能的になるはず。となれば、一過性のトレンドとして無視するのはもったいない!
Photo: 多田悟
Source: グローブライド, フィルソン, フォックスファイヤー,スノーピーク