まだコロナの影響が限定的で、海の向こうの話だった今年の1月下旬、東京・原宿に日本初のフラッグシップショップをスタートさせたオールバーズ(Allbirds)。
短期間で大成功を収めたスニーカーブランドとして、以前から注目していたライフハッカーでは、そのオープニングに駆けつけた創業者ジョーイ氏を迎えたインタビューを試みました。
その後、サステナブルを代表するブランドとして、メディアに大々的に取り上げられたこともあり、ショップは多くのお客で賑わうように。
コロナの影響で多くのブランドが苦戦する中で、オールバーズへの注目度は落ちることがなく、むしろ多くのメディアでSDGsが報じられるのと比例するように、幅広いファンを獲得。
その勢いに乗って、いよいよ待望のアパレルラインがスタートしました。
当然ながら、どのアイテムにもオールバーズらしいサステナブルな物作りが一貫しており、年齢・性別・スタイルを問わないプレーンなデザインが特徴になっています。
ランニングにも対応した新作スニーカーも含めて、その主要な注目作をピックアップしました。
上質でシンプル、そして長く付き合えるニットが欲しかった!

再生可能エネルギー分野のエンジニアであったジョーイと、ニュージーランド出身でメリノウールの特性に着目していたティム。
2人の出会いから生まれたオールバーズの根幹となるマテリアルは、もちろんメリノウール。
それゆえ、今季ローンチしたアパレルラインに、ニットが加わるのは自然な流れでもあります。
こちらはアニマルウェルフェアにも配慮したメリノウール100%のカーディガンとクルーネック。
ざっくりとしたローゲージで、型崩れしにくい二重編み構造が特徴です。耐久性もあるので、来年も再来年も愛用できるはず。もちろん、身体や環境へ有害な化学物質は一切不使用。
左:Wool Cardi 1万9000円/オールバーズ
右:Wool Jumper 1万7500円/オールバーズ
着る人はもちろん地球にも優しい「トリノ パファー ジャケット」

天然の機能性素材であるメリノウールの可能性をさらに高めた独自素材のひとつが、“トリノ”。
ユーカリの木から抽出した繊維と上質なメリノウールを混紡することで、やわらかく通気性に優れた生地で、こちらのジャケットのシェルに採用しています。
その表面に耐久性のある撥水加工(環境や人体に有害なフッ素は未使用)を施しているので、ちょっとした雨なら問題なし。
中綿はテンセルとリサイクルポリエステルを組み合わせたもので、いずれの素材も環境負荷の低いものばかり。
また、ネックの内側には自慢のメリノウールの裏地を配しており、暖かさと極上の肌触りを楽しめます。
Trino™ Puffer 各3万3000円/オールバーズ
ズワイガニの殻由来の消臭効果を発揮する「トリノXO」Tシャツ

こちらは、前述したメリノウールとユーカリの木を混紡した、オールバーズ独自のトリノ素材に、消臭効果をプラスした“トリノXO”素材によるTシャツ「TrinoXO™ Tee」。
地球上でもっとも廃棄されている海洋資源である、ズワイガニの殻から抽出したキトサンがその秘密。ドライタッチの化繊生地とは異なる、シルクのように滑り感のある肌触りはそのままに、気になる体臭を抑えてくれます。
洗濯してもスムーズな着心地と消臭効果は持続し、型崩れしにくいというのもありがたい限り。
肌寒い今は肌着として、暖かくなったらアウターとして一年中使えるアイテムなので、この着心地を体感すれば、きっとまとめ買いしたくなるはず。
TrinoXO™ Tee 各6300円/オールバーズ
ランニング対応モデルや快適なフワモコも追加されました!

アパレルラインと同時に注目したいのが、“ツリー ダッシャー”と名付けられたランニング対応モデル。
アマチュアランナーからプロアスリートまでが参加した1年間の試用期間を経て、優れたクッション性と地面からの反発力を獲得しているそう。
もちろん、素材は天然由来の再生可能素材によるサステナブルな仕上がり。そしてオールバーズらしく、余計なロゴや装飾を省いたプレーンなデザインが秀逸。
一方、人気のスリッポン型の“ラウンジャー”には、やわらかく通気性の高いメリノウールを使い、外側をふんわりと起毛させた新作が登場しました。リラックスした休日のコーディネートにおすすめです。
左:Wool Lounger Fluffs 1万2500円/オールバーズ
右:Tree Dashers 1万6250円/オールバーズ
服飾評論家で正しいクラシックなスーツの着こなしを提唱し続けていた落合正勝氏が、約20年前の著作の中で、「人間が身に着けるべきは、すべて自然由来の素材であるべきだ」といった内容を記しています。
その点、オールバーズは石油を主原料とする化学繊維に安易に頼らず、これまで見向きもされなかった資源を含めた天然資源の可能性を根底から探求。サステナブルな製品を拡充させる姿勢は、まさにそんな一文を思い起こさせます。
スーツとカジュアルウェアでは見た目も用途もまったく異なりますが、ウールをはじめとする天然素材の機能性を引き出した快適な服という点では、最上級のスーツもカジュアルウェアも同じなのです。
最近はリサイクル素材を使っただけで、サステナブルを謳う廉価な商品が多く見受けられるようになりました。
今後は、素材開発そのものからサステナブルに取り組む信頼できるブランドを見極めることも、我々消費者に求められるでしょう。
Photo: 多田悟
Source: オールバーズ