あなたがもしGoogle Waveをいち早く体験できる招待状を手にしたラッキーな10万人のうちの1人ではなかったとしても、がっかりしちゃダメです。もうちょっとの辛抱ですよ。あなたがその手でGoogle Waveをいじくり倒せるその日まで、とりあえず他人様のレビューを読んで期待に胸を膨らませましょう。
というわけで以下、米Lifehackerの元編集長ジーナ・トラパーニによる、Google Waveの最初のレビューです。ここに掲載されているスクリーンショットは開発者版プレビューのもので、wave.google.comのものではありませんので、もっとリアルに近い情報が手に入り次第、続報をお伝えしていきますね。
ちなみに以下の文中では、「Wave」と表記の場合はGoogle Wave全体のことを指し、「ウェイブ」と表記の場合はメールやGoogleドキュメントなど、Waveで共有作業できるすべてのファイルのことを指すようになっています。ご注意のうえお読みください。
それではさっそく、以下からどうぞー!
Waveの中身を拝見
Waveにログインするとデフォルトで3つのカラムが現れます。左側のカラムは上方に「Navigation」(受信/送信ボックス、およびGmail のラベルだと考えてください)。その下に「Contacts」(Google トークの友達リストのようなもの)があります。真ん中のカラムは受信ボックスの中のアクティブなウェイブのリストです。そして右側のカラムはウェイブを新規に作成したり既存のものを開いたりすることができるスペースとなっています。キャプチャ画面はこんな感じ。
誰かがあなたの受信ボックス内のウェイブを更新したら、そのウェイブが受信ボックスのトップにきて太字で表示されます(Gmailと同じ方式ですね)。「Contacts」内の誰かがオンラインになったら、小さな緑のマル印がそのメンバーの横に点灯します。
これらはすべて折りたたんだり、最小化してスクリーン上部に格納できたりします。受信ボックスを折りたたんでいる状態で新規ウェイブが更新されると、グリーンに点滅して知らせてくれます。
新規ウェイブを立ち上げて、その他のカラムを全て最小化してスクリーン上部に格納すれば作業スペースが広がります。実際やってみると、こんな感じ。
ウェイブには、あらゆる種類のコンテンツを追加することができます。YouTube動画、Googleマップ、Googleイメージ、その他ガジェットなんでもOK。
下の画像は、色つきのテキストと動画をウェイブに埋め込んでみたところ。
ウェイブへの入力作業がひと通り終わって、「終了(Done)」ボタンを押すと、「参加者を追加」という表示がポップアップされます。そこで「Contacts」リストからメンバーを選べば、そのウェイブを共有できるというわけ。メンバーは名前から検索もできるし、ドラッグ&ドロップでも追加可能です。これがその画面。
さてウェイブを共有したところで、ここからが魔法の始まりです。
まず最初におったまげるのは、ウェイブを共有したメンバーがそこにタイピング入力していくさまをリアルタイムの生放送みたいに目撃した瞬間でしょう。どこか他の場所にいるメンバーのカーソルが自分のモニターの上でせかせかと文字をタイピングしていく様子を眺めていると、「み、未来がやってきた...!」って気持ちになりますよ。
しかし呆然としている場合ではありません。インスタントメッセンジャーみたいに誰かが話しかけてくるかもしれませんからね。
あなたはそれに対して、ウェイブのツールバー上にある「返信」ボタンで答えを返すことができます。でもいちばんクールなのは、インライン化された形でメッセージをやりとりする機能かもしれません。これにより、あなたとメンバーは作成中のウェイブに注釈を付けていくことができるんです。
たとえば、私はここサンディエゴでWaveについて説明し、そのためのノートをウェイブで用意しています。私はウェイブ内の質問に返答を差し挟んでいくことができるようになっています。
ツリー状に展開されるインライン化されたコメントは、簡単に折りたたんだり展開したりすることができます。下の画像はコメントを折りたたんだ状態のウェイブ。上のほうに小さなフキダシがあることに注目です。そしてこちらが、同じウェイブでインライン・コメントを展開したときのキャプチャ画像です。
このコメントのやりとりは、プライベートモードにすることも可能です。たとえば私とジャックとジルの3名がこのウェイブを共有していたとして、ジルがジャックには聞かれたくない、私だけへのメッセージがあるとします。その場合ジルはウェイブ右上のドロップダウンメニューから、「Private Reply(プライベート返信)」を選べばいいのです(下の画像参照)。
「Private Reply(プライベート返信)」を選ぶと、返信する相手を選ぶように指示されます。すべての返信はそれ自体で新たなウェイブとして作成されるのですが、返信から新規のウェイブを立ち上げることも、新規のウェイブに既存のウェイブをコピーすることもできます。
それから前述のリアルタイム更新のほかに、もうひとつSF気分を味わえる魔法のような機能がWaveにはあるんです。それは「更新プレイバック」という機能です。
たとえばあなたが他のメンバーよりだいぶ遅れてウェイブの共有メンバーに加わったとします。そうしたらそのウェイブではすでに色んな会話が行われて、数々の更新が繰り返し済んでしまったあとですよね。そこであなたは「プレイバック」ボタンをポチっと押すわけです。するとどうでしょう、時間が過去にさかのぼり、そのウェイブが構築されて現在の姿になっていくさまがもう一度再生されるのです。
たとえて言うなら、Wikipediaが改訂されていく過程がスライドショーで見られるというような感覚でしょうか。以下にその「更新プレイバック」の実際の様子を動画で置いておきますね。
Gmailと同じく、Waveにはパワフルな検索機能が付いています。その他、タグ付け、ファイルのアップロード(これは開発者版ではちょっと不安定な印象でしたが)なども機能に含まれています。それからWaveにはフォルダーがあるんですよ。あらゆるものがドラッグ&ドロップでこなせるようなインターフェースなので、すべてのウェイブをひっつかんでフォルダーやゴミ箱にぶちこむことができますよ。
Waveを拡張する:「Gadget」と「Robot」
Google Waveは、みなさんおなじみFirefoxのAdd-onと同様に、さまざまな「Gadget」と「Robot」で機能拡張ができるようになっています。
Gadgetはリッチコンテンツのパーツで、好きなようにウェイブに追加できます。Gadgetの例は下のGadget ギャラリーをどうぞ。チェスとか地図とかがありますね。
ウェイブのツールバーにある、パズルのピースっぽいこれらGadgetをクリックすると、ウェイブに選択したGadgetが追加されます。ここでは、右下にある「Who is Coming?」を紹介しますね。このGadgetを使うと、ミーティングなんかの招待状やその参加の返事を受け取ったり、送ったりするのが簡単にできます。招待に対して、誰が「OKしたか」「NOの返事をしたか」「参加不参加不明瞭な人が誰か」「それぞれの合計が何人か」がひと目でわかるように表示されます。
私が見たGadgetのうちで、一番便利そうなのが「Ribbit」。これをウェイブに入れ、入れたメンバーは自分の電話番号をこのガジェットに登録します。(Gadgetのウインドウ内に表示されるのは自分の番号のみ。他の人の電話番号は非表示になります。下のキャプチャのGinaのところだけ黒線が入ってますので、そこにGinaの電話番号が出ているわけです)。そして、写真のアイコンの左側にチェックを入れて「Start Conference」のボタンを押すと、複数の相手と同時通話できます(下のキャプチャはすでに押した状態なので、「End Conference」になってます)。英語ではありますが、「Ribbit」の詳しいレビューをCnetのRafe Needleman氏がアップしていたので、そちらもご参考に。
「Robot」は、,メールアドレスの形で、あなたのコンタクトリストに追加して使います。Robotはウェイブ内のコンテンツを変更してくれます。なかにもお遊び要素の入ったものもありますよ
たとえば、「Eliza the Robot Shrink(elizarobot@appspot.com)」は勝手にチャット相手になってくれるRobot。まだだれもチャットする相手が、Waveのコンタクトリストに居ない人は重宝できそうです。チャットの様子は以下のキャプチャで。
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お役立ち系のRobotでは、「Bloggy bot(blog-wave@appspot.com)」。こちらはウェイブ内のコンテンツをBloggerのブログ記事にしてくれます。例を挙げると、私のコンタクトリストにあるBloggy botを、Waveの一機能「Talk wave」に入れ込みます。 すると、下のキャプチャで黄色の帯があるところに「Bloggy published this wave here」と表示され、Blogへ投稿されます。
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「here」のリンクをクリックすると、投稿したブログへ。Ginaが作ったテスト用の「Wave blog」にtalk waveで書いた内容が、そのままブログの記事になっているのがわかります。下のキャプチャがそのブログです。
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もし、私以外のWaveユーザーが偶然このテストブログを見つけてコメントをブログに投稿したら、そのコメントは私のWaveクライアントにも表示されます。ブログとWaveとが自動で同期するわけです。今すぐWaveにログインしていないと、ブログ化されたコンテンツは見られません。ただそうではないケースもあるので、未ログインユーザーにもWaveのコンテンツを閲覧だけであれば可能なようにしているようです。
「Polly the Pollster (polly-wave@appspot.com)」は、またひと味違ったお役立ち系Robot。アンケートを手早く作れる、簡単に集計できる、とても便利なRobotです。
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他にも、TwtiiterにWaveのコンテンツを自動投稿してくれたり、空の返信(reply)を削除してくれたり、株価情報を挿入してくれたりするものも。現在公開されているWaveのエクステンション一覧は、こちらのページで見ることができます。ここはWaveの招待状がなくても見られますので、どうぞご覧あれ。
結局のところ、いったい全体、Google Waveをどうやって使えばいいのだろうか?
これが一番多い質問ですよね。ライフハッカー[日本版]編集部を含め、使いたいのはもちろん山々なんですが、「いったいどうやって使えばいいんだろうか?」。個人的には、Google Waveの機能を使って、ミーティングの議事録を共同で記録したり、ブログなどの記事を共同で執筆したりする、という程度では、Google Waveのアカウントが来ることを待つなんてしないでしょう。
でも、「Campfire」や『IRC』を使って、親しいlifehackerの編集者と行うグループチャットなどなら、Google Waveを使う可能性はあるだろうな、と思っています。個人的なレスをやりとりするチャットだと...まだ様子見かな。
今の時点では、Google Waveのような「コラボレーションツール」が使い物になるかどうか、という肝は「どれだけの利用者(業務で使うにせよ遊びで使うにせよ)、がいるか」でしょう。私は運良く"天使にタッチ"してもらってPreview版のGoogle Waveにアクセスできるようになったものの、実のところ、それほどWaveを使いこなしているなんて言えません。だって、知り合いや一緒に仕事をしているパートナーで、Google Waveに触れた人がほとんどいないんですから。その状態で、私が見た限りでは、Waveユーザーの頭に入っている知識や情報をくるみ、その情報をWaveのなかで共有し、そして「価値ある情報」としてWaveの(ネットワークの)なかに配する、という新しい情報のやりとりの扉を開くのでは、と思っています。
動画の解説は後ほど記事にする予定です!
Gina Trapani(原文/訳:吉川晶子・常山剛)