高校生のころ、嫌われものだった筆者。

所属していたグループのある女子から、私が誕生日パーティによばれなかったのは、「みんなが私のことをウザいと思っているから」と聞かされたことがあります。それから数カ月間、仲間外れにされました。

すべての人に好かれるのは不可能

正直、当時の私がウザかったのは事実だと思います。それでも仲間外れにされるのはやはりショックで、精神的に打ちのめされました。そのときから私は「皆に好かれるように生きていこう」と誓ったのです。

ところが、作家のDavid Foster Wallace氏が著作『Infinite Jest』に書いているように「あなたが何をしようとあなたのことを好きじゃない人はいる」ものです。

どんなに好かれるように振る舞っていても、会う人すべてに愛されることは不可能なのです。

催眠術療法士であり不安の専門家でもあるChloe Brotheridge氏もこう言っています。

誰も彼もを喜ばせることはできません。あなたにはあなたの性格があります。つまり、あなたを愛してかわいがってくれる人がいれば、そうでない人もいます。

このような考え方は、表面的には誰もがわかっていると思います。

それでも、たとえば同僚のパーティーに自分がよばれていないことを知ったり、友達になれそうだった相手から曖昧な返答がきたり、ルームメイトの悪口を聞いてしまったりしたとき、そのような考え方をするのはなかなか難しいと思います。

社会的な人間関係や恋愛関係など、種類を問わず、拒絶は苦しくて同然です。仲間外れにされて、自尊心を傷つけられない人はいないのです。

ショックを受け入れ、次のステップへ

でも、人から嫌われることは、よくあるだけでなく、健全なことでもあるのです。拒絶は、人と人との相性を試すための手段です。恋人に振られるのは「もっと適したパートナーに出会うため」、グループで仲間外れにされるのは「もっと気の合う仲間に出会うため」と考えてください。

そして、嫌われることを恐れない気持ちを持ちましょう。何も「社会的規範に反する行動をしろ」と言っているのではありません。

他人から好かれることにエネルギーを費やすのをやめたとき、自分のことを本当に好きになってくれる人に出会えるでしょう。そうやって築いた人間関係は、続けていくのが苦になることはありません。

それでも、やっぱり嫌われるのは嫌ですよね。他人から嫌われても、悲しみの淵に沈まないようにするための6つの考え方をご紹介します。

1. 苦しむのはいたって普通のこと

そもそも人間は社会的な生き物であり、拒絶に対して生物学的に苦しい反応をするようにできています。Brotheridge氏はこう言います。

歴史的に、それは人類の生存に欠かせないものでした。進化を遂げ、部族で暮らすようになったとき、拒絶は生死に関わる問題になったからです。

拒絶されると、脳は感情的な化学反応を示します。それがあまりにも強いと、身体的な痛みを伴います。

また、悲しみの各段階と似たような、一連の反応を経験することも多いようです。そのプロセスは、自分を責めることからはじまります。『When Kids Call the Shots』の著者であり心理療法士でもあるSean Grover氏はこう言います。

最初の停車駅は、「自分のせいだ。私は彼らを怒らせることをしてしまったに違いない」という自己非難です。次は羞恥心。恥ずかしい、屈辱を受けた、自分は弱いという感覚に襲われます。

嫌われる苦しみは、次に「執着」へ

そのあと、見捨てられた人と同じように、拒絶者を取り戻そうとします。Grover氏は、このプロセスをこう説明します。

相手に好かれたいというよりも、自分が嫌われている感覚が好きになれないからです。つまり、「自分の気持ちを改善したいから、相手を好きにさせてやろう」という感情です。

ただ、これは失敗に終わることが多く、結果として気持ちが落ち込みます。

これは非常に原始的な初期の感情であり、退行を引き起こします。あなたは恐らく、自分がクールかどうかがすべてだった高校生や中学生、小学生時代にまで引き戻されるでしょう。そのような感情に陥ると、気持ちが落ち込み、苦しむことになるのです。

この感情は、喜ばしいものではないかもしれません。でも、くよくよ悩んで前に進めなくならない限り、いたって健全で普通の心理的な反応なので安心してください。

2. あなたのせいではない

誰かにはっきり「嫌い」と言われると、自分の存在価値に疑問を感じてしまうのは無理もありません。でも誰しも、不安や自身の経験に基づいて行動をしています。そして多くの場合、嫌いという感情は双方向のもの。

つまり、悪いのは相手だけでもあなただけでもなく、両方なのです。動物行動の専門家で、デューク大学の非常勤教授を務めるJennifer Verdolinさんはこう言います。

相手がその人生で置かれているシチュエーションは、あなたのものとは異なります。誰しも性格の好みがあり、あなたの性格が悪いわけではありません。「私とあなたとは性格が違い、できれば自分に似た人と一緒に時間を過ごしたい」それだけの話です。

ひょっとすると、相手が気づいていないだけで、あなたの性格にも、相手と一致する側面があるかもしれません。

人間はとても社会的な生き物であり、極めて強力なヒエラルキーが存在しています。社会的な集まり(特に職場)において、誰もが戦略的な同盟を結び、自分のニーズに合うように同盟関係を切り替えたりします。だから人は、地位を獲得しようとするのです。そして多くの場合、他人から好かれているかどうかは、あなたの人間性には何の関係もありません。

いずれにしても、あなたが好かれるかどうかは、実感の有無を問わず、相手に何をもたらしているかが大きく関係します。

このことは、どんな種の動物にも共通します。どんな動物も、地位、性格、遺伝子的な何かが自分と似ている相手、すなわち家族との時間を好む傾向があります。つまり、双方の価値観に共通点がないかぎり、拒絶される可能性が高いということ。これはある意味、避けることができないのです。

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他人の感情に振り回されないよう、自分にできる行動や考え方とは?
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