私は何年も前からブラウザ拡張機能「The Great Suspender」を愛用してきました。

しかし、The Great Suspenderはもはや信頼できる拡張機能ではなくなりました。Googleは2021年2月にこの拡張機能を「マルウェア」であるとして、Chromeウェブストアから削除しました。

このかつて大いに役立ってくれた拡張機能の代わりとなるものを紹介する前に、SemiColin Gamesの主任開発者であるColin McMillen博士が説明する、Chromeウェブストアから消される1カ月前にこの拡張機能に埋め込まれた不正についておさらいしておきましょう。

マルウェア化した「The Great Suspender」

話は少し長くなります。The Great Suspenderの所有者が(Dean Oemcke氏から)何者かわからない人物に変わったあと、拡張機能はひっそりとアップデートされ、外部のサーバーに接続してコードを実行するようになりました。

そして、この拡張機能は急に新たな権限を要求しはじめました。そこには、ブラウザのウェブリクエストをいじくりまわす権限などが含まれていました。

GithubのTheMageKing氏は、昨年の11月に次にように書いています。

そうなると、この拡張機能は、広告の挿入、サイトのブロック、強制的なリダイレクトなど好き放題できるようになります。

この仕様変更は、新しいスクリーンショット機能を有効にするためのものと思われますが、はっきりしたことはわかりません。

またさらに、

11月6日に@lucasdfさんが、この拡張機能の新しい所有者が、悪意を持っているという決定的な証拠を見つけました。

Open Web Analyticsはまっとうなソフトウェアですが、この拡張機能が実行するファイルは、Open Web Analyticsのものではありません。

実行されるのは、Open Web Analyticsとは無関係なサイト owebanalytics.comでホストされているファイルであり、調べると、このサイトはかなり怪しいことがわかりました。

このサイトは、一カ月前に作られ、まっとうなサイトのようなフリをしています。public webhostでホストされ、CentOSプロジェクトのホームページに見えるように作られています。

しかし実際、このサイトには、まともな情報は何もなく、いくつかのトラッキングスクリプトが仕掛けられているだけであり、この拡張機能からしか使われていません。

最も重要なことは、このサイトに置かれたミニマイズされたjavascriptが、Open Web Analyticsプロジェクトで提供されているものとは大きく異なるということです。

何ら悪意はないという説明も不可能ではないかもしれませんが、私にはとてもそうだとは思えません。

この拡張機能のchromeウェブストア版をトラッキングを無効にせずに使用すると、信頼されていないサードパーティー由来のコードがユーザーのコンピュータ上で実行され、閲覧するウエブサイトを好きなように変えられる可能性があります。

トラッキングを無効にすることもできるという事実は、この拡張機能の200万人のユーザーのほとんどが、そのオプションの存在を知らないという事実を考えると、あまり意味を持ちません。

また、コードが明らかなマルウェアではないという事実は、それが予告なしに変更することができ、それがミニマイズされている(人間には読めない)という事実に照らせば、まったく無意味です。

こうした摩訶不思議な状況はすべて、この拡張機能の新しい所有者によってもたらされています。そして、彼らがこの問題(ほかの問題も含む)について完全に沈黙してるのも不気味であり、同じようなことがまた起こりそうな気がしてなりません。

私はすべてのブラウザからこの拡張機能を削除し、別のものに乗り換えました。読者のみなさまにも同じことをお勧めします。

The Great Suspenderの代わりとなるもの

まず、別のものを試す前に、The GreatSuspenderで開いているタブすべてを「一時停止解除」をしてから、この拡張機能をアンインストールしてください。

それが済んだら、タブを見直し、できるかぎりブックマークに変換しましょう。ブラウザがスッキリすると、気分もスッキリします。

The Great Suspenderをアンインストールした後、Chromeウェブストアで別の拡張機能を探さないでください。昨今では、似たような拡張機能がたくさん出回っていますが、どれだけ信頼できるでしょうか?

私はすでに多くの人に使われ、評価されている拡張機能を選ぶことを強くお勧めします。

たとえば、The Great Suspenderのこちらのバージョンを試してみてください。The Great SuspenderがChromeウェブストアから削除されたことを考えると、この別バージョンが今後も維持されるかは不明ですが、かなりの間は使えるはずです。

とはいえ、The Great Suspenderがそもそも必要でしょうか? 最近のブラウザは、使われていないタブのリソース管理をとてもうまくやってくれます。

たとえばChromeなら、TabFreezeが標準で組み込まれています。非アクティブなタブが使用しているメモリを、5分後に解放してくれる機能です。

それでも足りないという人は、開いているタブの数を減らしたり、システムリソースを解放してくれる拡張機能を試してみるとよいでしょう。

私はOneTabTabsOutlinerの大ファンです。これらの拡張機能は、開いているすべてのタブを、1つの見やすいページ(あるいはサイドバー)に変換してくれます。

ほかにも、開けるタブの数を制限する拡張機能もあります。リソースを節約しながら、ブラウザが無法地帯になるのを防ぐことができます。

また、The Great Suspenderの代わりが欲しいだけなら、同じように機能する拡張機能(12)がほかにもあります。

いずれにせよ、The Great Suspenderに正式に別れを告げる時が来ました。

何年もの間、私たちの役に立ってくれましたが、永久に君臨できる王はいないということなのでしょう。

あわせて読みたい

AppleがリリースしたChromeの拡張機能「iCloud Passwords」とは?

AppleがリリースしたChromeの拡張機能「iCloud Passwords」とは?

Google Chromeの「あとで読む」機能を一足先に試す方法

Google Chromeの「あとで読む」機能を一足先に試す方法


Image: Shutterstock

Source: Google(1, 2), Github,

David Murphy - Lifehacker US[原文