海外用ポケットWi-Fiレンタルサービスの会社が「つながらない」がコンセプトのデジタルデトックスレストランをプロデュース? する?
「イモトのWiFi」と言えば、日本で初めてインターネットのモバイルサービスを始めたことでも知られる海外用Wi-Fiルーターのレンタルサービス。現在では、年間100万人以上が「イモトのWiFi」を利用して海外旅行に出かけています。
そんな「イモトのWiFi」がプロデュースする「つながらないレストラン」が2日間という期間限定で東京・五反田にオープンしました。
海外旅行時にはポケットWi-Fiの通信速度や容量、料金プランなんかから比較検討する立場としては、むしろそこはつながっていただきたい気もしますが、あえて「つながらない」というコンセプトを打ち立てたのにはどういう意図があるのでしょうか?

「つながらないレストラン」は、スマートフォンの普及で身近にいる人との会話やコミュニケーションが減っている現状を受け、「人とつながることの大切さを改めて実感してほしい」という思いからオープンしたデジタルデトックスレストラン。
試食会に登壇したエクスコムグローバル株式会社・西村誠司代表取締役社長は以下のように言います。
「つなげる」サービスを日頃提供している我々が「つながらない」レストランをプロデュースするのはパラドキシカルに思われるかもしれませんが、大切な時間にはインターネット環境を遮断し、目の前の時間や、目の前の人とつながることの大切さを再認識してほしいという思いを込めています。
大きな特徴としては以下のふたつ。
特徴①:インターネット環境を遮断することが入店の条件。
特徴②:食事代は客自身が決め、その食事代は「こども食堂」へ全額寄付されます。
つながらないことで得られるものは?

入店は「インターネット環境の遮断」が条件。係員さんのチェックのもと、自分のスマートフォンを機内モードに設定します。

さらに、テーブルの上にスマホを置いて、その上にフラグを立てておかないと料理が運ばれてこない仕組みとなっています。
たとえば誰かと食事をする際、向かい合って座っているのにお互いの視線はSNSのタイムラインを追っていたり、ライブでは動画の中継に夢中になったり。
例にもれず自分もそうで、なんだか最初は手持ち無沙汰な感じがして、動作の合間合間にスマホをチェックするという癖がついていたことに気づかされます。
なんとなく、学生の頃に友人たちと行った海外旅行でみんなとはぐれて迷子になって、ひとりで歩いた時に見た景色を思い出しました。
地図アプリは目的地までの最短距離を教えてくれるけれど、寄り道の仕方は教えてくれなかったなあ、なんて。
「五大陸の食材」のオリジナルメニュー

食事代は自身で決めていいこのレストラン。気になるのはメニューですが、「イモトのWiFi」にちなんで「五大陸の食材」を使用したオリジナルのコースが提供されます。

南アメリカ大陸からは「インカの目覚めのポタージュと焼きとうもろこし」。

アンデス地方原種のジャガイモ・インカの目覚めが入ったポタージュには、同じくアンデス地方の主食である、⾹ばしく焼いたトウモロコシが添えられています。
アフリカ大陸からは「ダチョウ肉のローストのカルパッチョとクスクスのサラダ」。

アフリカに生息するダチョウの肉をローストしてタタキ風のカルパッチョに。モロッコ料理で有名な”世界最小のパスタ”クスクスのサラダがアクセントになっています。
ユーラシア大陸からは「白身魚のソテー~トムヤンクン風ソース~」。
白身魚(この日はスズキでした)のソテーをタイのトムヤムクン風のレモングラスの効いた酸味のあるソースで。
オーストラリア大陸から「オージービーフのポワレ~ビートルートのロースト添え~」。

オージービーフのステーキ。付け合せにはオーストラリアでよく食べられている野菜「ビートルート」が添えられています。
そしてデザートは、北アメリカ大陸の「スフレチーズケーキとメイプルシロップのアイスクリーム」。

北アメリカでよく食べられているスフレチーズケーキとカナダ産メープルシロップのアイスクリームという組み合わせのデザート(「イモトのWiFi」のロゴマークつき!)。
インスタ映えするメニューの数々を前に、Instagramにアップできない…としょんぼりしてたら、こんな断り書きが。
今回のコンセプトではスマートフォンのご使用を控えて頂いていますが、お食事の写真撮影やイベント後のSNS投稿はご自由にどうぞ!
わーい! 「映え欲」はまだまだ否定できません。
食事代はこども食堂へ寄付

お会計には、封筒が挟まれた伝票が渡されるので、そちらに自分で決めた金額を入れて…

封筒はこちらのボックスへ入れるスタイル。
このレストランイベントで集まったお金は全額、こども食堂(子どもの孤食対策や地域のつながりのため、地域住民や自治体が主体となって無料または低料金で子どもたちの食事を提供するコミュニティ)「まいにち子ども食堂高島平」に寄付されます。

震災や、最近では大手キャリアの通信障害。つながっていることが当たり前になっているけれど、回線が途切れた時にどれだけ依存していたかがようなくわかるこの時代。
オンラインでいろんな人やものと簡単につながることができる替わりに、今目の前や隣で起こっていることに対する感度が低くなっている気がします。
たまには、自分の目の届く範囲の現実の思いを馳せつつ、目の前のことを楽しむ時間をつくってみても良いかもしれません。
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Photo: ライフハッカー[日本版]編集部
Source: イモトのWiFi, つながらないレストラン, まいにち子ども食堂高島平