ノイズに振り回されない情報活用力』(鈴木進介 著、明日香出版社)の著者は、「余分で価値がない情報」のことを「ノイズ」と呼んでいるのだそうです。

「思考の整理家」として、“誰でも簡単に実践できる"思考の整理術を研究し続けてきたという人物。注目すべきは、「現代はノイズだらけで情報の本質を見極めることが難しい世の中になってしまった」とも指摘している点です。

ことビジネス社会においては、ノイズに振り回されずにインプット(情報の入力:読む・見る・聞く等)やアウトプット(情報の出力:話す・書く・動く等)をしなければ生き残ることさえ難しい時代に私たちは生きています。

玉石混交の情報の中で、何が価値あるものなのかを「見極める力」は、この社会を生きていく上で必須のスキルと言っても過言ではないでしょう。(「はじめに 今こそ情報に振り回されない力を手に入れよう」より)

こうした考え方を軸に、本書では、情報洪水に襲われたとしても、ノイズに振り回されることなく成果を出すための方法を明かしているわけです。

なかでも気になるのは、「成果をあげる人は、『情報収集力』が他の人よりも勝っている」という視点。そこで、きょうは第2章「少ない労力でインプットする秘訣 【インプット編】」に焦点を当ててみたいと思います。

ゴール設定がインプットを効率化する

インプットするにあたり真っ先にやるべきこととして、著者は「ゴールの設定」を挙げています。インプットをする際、ゴール設定が抜けていることはよくあるもの。しかしテーマだけ決めて、あとは闇雲にインプットに走ってしまうとしたら、それは時間の無駄遣いにほかならないのです。

ゴールとは、「目的と目標」がワンセットになったもの。そもそもインプットをする際には、「なんのために行うのか?(目的)」「どのレベルまで行うのか?(目標)」の2点が重要であるわけです。

「目的」に関していえば、自分の見識を広げるためなのか、企画書に織り込むエビデンス(証拠となりうる裏付け情報)を入手するためなのかによって、インプットする内容と方法は変わるはず。

「目標」についても、あるテーマの概略だけを把握したいのか、それとも顧客向けのプレゼンに織り込む情報の詳細を得たいのかによって、求める量や質は変わってくることになります。

ゴールという指針が明確であれば、途中でノイズ(ゴールには関係がない情報)が入ってきても脱線しないので、ムダな時間を防げます。

ゴールがない状態で膨大な情報を集めたとしても、頭に入りにくいため、活用しにくいのです。(45ページより)

著者はここで、ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが1885年に発表した「エビングハウスの忘却曲線」という理論を引き合いに出しています。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、「人がなにかをインプットしたとき、20分後には42%忘れ、1時間後には56%忘れる」という実験結果。

この結果が私たちに与えてくれるのは、「人はなにが自分にとって重要かを明確に意識しない限り、すぐに忘れてしまう」という教訓。ゴール設定なきインプットは、時間や労力のムダにつながるので注意が必要だというわけです。(44ページより)

情報は捨てることを意識しながら収集する

「とりあえず集めよう」「なんとなく使えるかな」「いつか使うかも」というような曖昧な気持ちでインプットを続けていると、いつしか当初のゴールから脱線し、膨大な量の情報だけが手元に残ってしまいます。

それを避けるためには、「情報を集める」だけでなく「捨てる情報を見極める」スタンスを持つことが大切。単に知識をつけるためのインプットであれば、情報を集めるだけでもいいかもしれません。が、ゴールに即した“仕事で使える情報”を集めるためには、捨てる情報を明確にする必要があるわけです。

もしあなたが、情報を捨てるというスタンスを持たずにインプットし続けたらどうなると思いますか?

きっと手元には情報ノイズばかりが集まるでしょう。ゴールから脱線した情報、過剰に煽り立てたネガティブな情報、SNSのタイムラインから流れてくる他人の日常生活、フェイクニュースなど。(49ページより)

とくに、ネットでのインプットには注意が必要。意図しなくても、手軽に膨大な情報が集まってくるからです。それどころか、ネットにあふれる情報ノイズに集中力をそがれ、ムダな作業に翻弄され、著しく効果を下げてしまうことも考えられます。またネットは過去の閲覧・検索履歴によって、表示される情報が自動的に選別されるため、視野を狭めてしまうことになる可能性も大いにあります。

そこで著者は、そうならないための2つの方法を紹介しています。

1つ目は、検索する時に「複数のキーワードを組み合わせる」か「not検索を使う」ことです。

たとえば、テーマパークについて調べたい時は、「テーマパーク」と1つのキーワードだけを入れるのではなく、「テーマパーク、レストラン、人気ランキング、クチコミ」などと3つ以上のキーワードを入れることで、ピンポイントに入りたい情報だけを表示させます。

また、表示させたくない情報があらかじめ明らかな場合は、表示させたくない情報(キーワード)の直前に半角でマイナス記号(-)をつけます。(50ページより)

こうすれば検索の段階で不要な情報をカットできるため、時間の短縮にもつながるわけです。

2つ目は、気軽に「ブックマーク」をしないことです。

使えそうな情報があると「後で読もう!」と気軽に“とりあえずブックマーク”だけしがちですよね。

内容を吟味しないままブックマークをすると、使えない情報も溜まっていきます。これでは後で見返す際に整理するのが大変です。

そのため、ここで、ひと手間かけてください。

一度、読み込んでからブックマークするのです。(51ページより)

情報は「足し算」ではなく「引き算」することが大切。そうすれば、価値ある情報だけを手元に残すことができるわけです。

仕事の成果を生み出すインプットには、「なにかを得るためにはなにかを削る」ことが欠かせないということなのでしょう。(48ページより)

著者は本書を、自身の経験を交えつつ「誰でも実践できる実践書」を目指して書いたのだそうです。すぐに活用できそうなことばかりなので、ピンときたことを実践してみてはいかがでしょうか?

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Source: 明日香出版社/Photo: 印南敦史